自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

独立国家の作り方

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横須賀米海軍基地

第36話 ん?任務?

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 少々目立ち過ぎの彼女の服装に、若干の後悔をしていると、よく見たら手を振っているのはマーシャンだった。

「ヘイ、ミスターGF、おはようございます。よくねられましたか?」

「ああ、おかげ様で、刺激的な夜だったよ」

「OH、それはなにより。美鈴は任務を果たしたのですね」

 ん?任務?、なんかエロい任務でも帯びてたの?、俺、何もしてないけど、してなくはないけど、。

「昨晩の車両は、ちょっと修理に時間がかかりそうです、もしかしたら別の車に乗り換えたのかもしれませんネ」

 意外とダメなものなんだな。
 でも、マーシャン達も一晩頑張ってくれたのから、感謝しないとな。
 、、、しかし、あんまりニヤニヤしてこっち見るなよな、自然妊娠するような事は何もしていないからな。
 
 俺たちは、マーシャンのラボを後にして、更に進んだ。
 基地内の艦艇の配置は、なんとなく頭に入った。
 俺たちが昨日泊まっていた宿舎の反対側になるのだろうか、自衛隊の潜水艦が何隻か見えてきた。
 潜水艦って、こんなところに停泊しているものなんだと、あらためて思った。 
 一応、俺も神奈川県出身だが、考えてみれば米軍基地内なんて来ることも無いし、案外俺は今、凄いものを見ているんだろうな。
 そんなことを考えながら、彼女が向かったのが飲食店だった。
 こんなアメリカ人向けの店に、日本人の俺も入れるんだと思ったが、もしかしたら、陸軍将校の玲子君の影響なのかもしれない。
 
 店に入ると、日本の店舗とは明らかに異なる方式の飲食店が複数入っていて、ハンバーガーやアイスなど、好きなものを選んで、自由に座って食べる方式のようだった。

「雄介様は、昼食ハンバーガーでもよろしいですか?」
 
 まだ昼食には大分早いが、それでいいと返事をした。
 俺は、てっきりここで食べて行くものだと思っていたが、玲子君は天気も良いので、外に出て食べましょう、と誘ってくれた。
 なるほど、なんだか本当にデートみたいで照れるな。
 再び自転車に乗ると、アメリカンサイズのハンバーガーと飲み物を袋に入れて、玲子君と共に近くのベンチを目指した。
 そこは横須賀市の公園に面したスペースで、初めて見ると、少しギョッとする光景だった。

「なんか、軍艦がいるな」

 俺が軍艦と言ったのは、さっきまで見ていた米海軍の最新鋭艦艇とは明らかに異なるオーラを放っている艦が、そこになったからだ。

「あれは、戦艦三笠ですね」

 ああ、聞いたことがある、こんなところにあるんだ。
 多分、旧日本海軍の艦艇では、唯一にして最後の戦艦、「三笠」
 日露戦争で、ロシアのバルチック艦隊を打ち破った連合艦隊の旗艦だった船だ、神奈川県民ならみんな知っているが、実は現物を見たのは初めてだった。
 まさか初めて見る「三笠」が、米軍基地内からとは、夢にも思わなかった。

「雄介様、それではここで昼食にしましょう」

 玲子君は、戦艦「三笠」にもよく映えた。
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