自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

独立国家の作り方

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横須賀米海軍基地

第35話 青と白のコントラスト

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 寝室のクローゼットには、部屋着の他、外出用と思われるカジュアル、フォーマルな服も揃っていた。
 これはマーシャンのセンスか?大丈夫かな。
 といいつつ、実際に見てみると、意外と普通の服装だった。
 ジーンズにシャツ、季節的にはこんなものかな。

「雄介様、ご準備はいかがですか?」

 先ほどまで朝食の準備と片付けをしていた彼女が、外出用の服に着替えて待っていてくれた。
 車はまだ、マーシャンのラボに入ったままだったので、今日は二人とも自転車で基地内を散策だ。
 いやー、これはまさにデートってやつだよな。
 彼女は一体、どんな服装で来てくれるんだろう。

「雄介様、お着換えはお手伝いしなくても大丈夫ですか?」

 寝室に入ってきた彼女を見て、俺は思わず息を飲んだ。
 彼女は白いワンピースにカーディガン、白い麦わら帽子と、これまでとはまた違った美しさを見せつけてきた。
 、、、、本当に美しい。
 俺は世界一の果報者だ。

「玲子君、似合っているね」

 すると、彼女はいつものように、少し照れ隠しをしながら、にっこり笑うと部屋の外へ出て行った。
 自転車のところで待っています、と。
 外は良く晴れた真っ青な空に、彼女の白いワンピースは良く映えた。
 まあ、若干、この時代の女性が実際にこの服装で自転車に乗るかと言われれば、ちょっと別ではある。
 何と言うか、あまりに綺麗すぎて、ちょっとわざとらしい印象すら受けてしまう。

 、、、大丈夫か?ちょっと米軍内で目立ちすぎじゃないか?

 俺たちは、自転車で何気なく走り出した。
 すると、すぐ先の道路の奥にはもう海が見えた。
 海軍基地だから当たり前と言えばそうなのだが、軍港以外にも海があるんだなと、思った。
 今日は抜けるような青空だから、海も真っ青で、少し風もあって、自転車には気持ちが良い。
 二人の横を、何度か黄色いバスが追い抜いてゆく、アメリカのテレビドラマとかに出てくるスクールバスってやつだ。
 もう気分は外国ってところだな。

「今から、どこへゆくのだ?」

「基地内をただ散策しているだけですわ」

 ん?、目的のない散策?、彼女がそんなこと、するだろうか?

「この自転車散策には、何か目的があるのだろう?」

「はい、米軍基地とはいえ、いつ敵が侵入するか解りません。ですので、大まかな基地の構造は知っておく必要があるかと」

 なるほどね、ただのデートではないと思ったよ。
 そうこうしていると、基地内のトンネルに入り、そこを抜けた時、俺の目には、多分人生で一番デカい人工物が目に入ってきた。

「空母か、大きいな」

「はい、この時代はまだ原子力空母が全盛期ですから、サイズも特大ですね」
 
 空母に気を取られていたが、ほかにもイージス駆逐艦や輸送艦と、アメリカ海軍の力をまざまざと見せつけられる光景だった。
 この海軍をバックにしていたら、敵なんて入ってこようという気にはならないだろうと思ったほどだ。 
 更に自転車を進めると、トンネルとトンネルの間に、何か作業所のような一角があり、そこでだれかがこっちに手を振っている。
 悪目立ちが、仇となったか?
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