異世界少年タケルの冒険記

ソウト

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第1の世界

幹部との遭遇

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森の4分の3ほどを過ぎただろうか。いまだにプラント・インテリジェンスの幹部とは遭遇していない。情報によると、幹部が5人とボスがいるらしい。幹部のうち3人は植物と人間が融合して生まれたそうだ。
 残るエリアは4分の1だが、幹部が1人も出てこないとは思えない。必ずどこかで遭遇することになるのだろう。これまで以上に慎重に進んでいかなければならない。
 プラント・インテリジェンスの幹部はそれぞれ使う技が違っていて、攻略法も全く異なるのだという。こちらが深手を負う前に、しっかりと情報を分析したうえで、瞬時に判断しなければならないだろう。

 しばらく歩いていると、急に雰囲気が変わった。自然と緊張感がこみ上げてきた。おそらく近くに強敵が居るのだろう。それくらいの強い気を感じる。心して進まなければならない。油断は禁物、命取りだ。
 ふと、どこからか視線を感じた。僕は剣をかまえた。思ったとおり、最初の幹部が出てきた。向日葵から作られたプラント・インテリジェンスのようだ。どのような敵なのか、攻撃をかわしながら見極めていきたい。
 どうやら手の部分にあたる茎が伸びてくるようだ。向日葵らしからぬトゲがたくさんついている。何かにあたるとトゲから粘性の液体が出ている。その液体を手袋をして採集した。刺激臭がする。強い毒があるようだ。毒消しの薬を持ってはいるが、できる限りトゲに当たらないほうがいいだろう。
 口からは種を吐くようだ。通常よりもはるかに硬い種になっていて、勢いよく吐き出している。それに当たってしまうと、かなり痛いことだろう。速度が速いため、好き市でも気を抜くと避けきれない。
 やはり幹部ともなると、倒すのは容易ではない。的確に判断して動かなければならない。炎魔法で焼き尽くそうとしてみた。少し燃えたものの、ほとんどを跳ね返されてしまい周囲に燃え移ってしまった。あわてて水魔法で消火した。その隙に種を吐き出され、ダメージをくらってしまった。思っていた以上のダメージだった。
 いったん木陰に隠れて、回復魔法を使った。なんとか相手の動きを封じることができればいいのだが。相手の攻撃の合間にしかけることにした。

 敵の攻撃をかわしながら氷魔法を発動させた。すこし攻撃が弱かったようで、すぐに氷が溶けてしまった。魔力を集中させて、再び魔法を放った。すると今度は、敵全体を凍らせることができた。
 次は剣に炎魔法の力をできる限りため込んだ。魔導剣士の真骨頂、ただ剣で斬るだけではなく、魔法の力と混ざってより強力な攻撃になる。炎の剣で相手を氷ごと斬った。やっと最初の幹部を倒すことができた。何かのカギが落ちていた。念のために拾っておくことにした。



 まだ一人目を倒しただけだ。あと4人の幹部が残っている。心して進まなければならない。次の強敵はすぐにやってきた。今度の敵はバラから生まれたインテリジェンスのようだ。さっきの敵よりもトゲトゲしている。当たるとかなり痛そうだ。
 トゲをミサイルのように飛ばして攻撃するようだ。甘い香りを周囲に漂わせることで、相手の集中力を下げる攻撃もあるみたいだ。剣を一振りして茎を斬った。しかし、すぐさま再生してしまった。なんどやっても、すぐに再生してしまう。普通に攻撃しても倒せないのかもしれない。
 胴体部分なら効果があるのではないかと思い、一気に斬りかかった。一瞬だけ敵がうめき声をあげて倒れたが、また再生してしまった。魔力と合わせて木端微塵に斬りきざんだ。それでもなお、敵は再生を繰り返す。隙をつかれてしまい、敵のトゲがうでに刺さってしまった。その周囲が瞬く間に腫れてしまった。回復魔法で何とか対処できたが、まだ敵を倒せる有効な方法はわかっていない。
 相手をよく観察していると、さっき木端微塵に斬りきざんだ時に硬くて斬れなかった丸いものが敵の心臓部分にあることが分かった。それは通常はトゲトゲの花びらでおおわれているようだった。おそらくそれが敵のコアなのだろう。コアを破壊すれば倒せるかもしれない。
 とてつもない硬さだが、なんとかして破壊する方法を考えた。今はまだ物質変換の魔法を習得していない。剣で貫くためにはコアの属性を知らなければならない。その属性に対して有効に働く属性の魔法を剣にまとわせればよいのだ。

 コアを分析したところ、炎の属性を持っているようだ。なので、習得している水魔法の中で最も強力なものを使用することにした。ひとまず相手の動きを封じるため、眠らせることにした。氷魔法で凍らせてしまうと、水属性では斬ることが難しくなるからだ。敵はすやすやと眠っている。その隙に剣へ魔力をまとわせた。そのまま青手のコアめがけて剣を突き刺した。すると、コア内部の液体が勢いよく噴出して、敵の体は消滅した。
 なんとか倒すことができた。コアを破壊するというのは思ってもみない倒し方だった。この先、より強い敵が待ち受けていることだろう。幹部だってまだ3人も残っている。だけど、くじけてはいられない。自分の使命を胸に前に進んでいくだけだ。
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