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目覚めの時
少年の目覚め
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僕はタケル。どこにでもいる普通の中学生だ。この春から3年生になった。受験生だ。よくある家庭でのびのびと育ってきた。父さんと母さん、家族3人で仲良く暮らしている。人ほど優れているところがあるわけでもない。ただコツコツ努力するタイプだ。
今日もいつも通り学校へ行く。友達は学校から反対方向なので、登下校はいつも一人だ。でも、休みの日には一緒に遊ぶ仲だ。今日も一日、なんら変わらない日常のはずだった。ヤツが現れるまでは......
それは突然やって来た。辺りが薄暗くなり、急に風が吹き始めた。あっという間に空は黒い雲に覆われた。天気予報では一日中晴れだっていっていたはずなのに。ふと誰かに呼ばれているような気がした。辺りを見回しても誰もいない。
気のせいかとも思ったが、次第に声が大きくなってきた。
「......よ。......け。」
僕は怖くなって体が震えた。必死に声を振り絞り、
「だれ? どこにいるの?」
と言った。今度は呼びかける声がハッキリと聞こえた。
「数多の世界を救う運命《さだめ》を背負いしワールド・トリッパー、タケルよ。我が呼びかけに耳を傾けよ。我は数多の世界を統べる者なり。」
声のする方に目をやると、何かモヤモヤしたものがそこにはあった。それに気づいた時には不思議と恐怖は無くなっていた。それどころか、懐かしさすら感じていた。気がつくと、僕はモヤモヤした影に近づいていた。そして、涙を流していた。でも、悲しい涙じゃない。
懐かしく、嬉しい涙だった。出会うべくして巡り合ったのだと理解した。
「ワールド・トリッパー、タケルよ。我は人を超えた存在。数多の世界に通ずる者なり。我のことは『コンゲルネ』と呼べ。」
影はそう言った。体の内から力がみなぎってくるのを感じた。コンゲルネが僕の頭に手をかざすと、知識が僕の中に入ってきた。自分の使命を理解した。コンゲルネが言った。
「そなたはまだ力が弱い。今しばし、修行をするのだ。そなたの師匠はすぐ近くにいる。世界を救う希望となることを願っている。」
それだけ言うと、コンゲルネは姿を消した。その直後、母さんがやって来た。母さんの目は、今まで見たことないくらいに真剣だった。僕は今起きたことを話すか悩んだ。普通は信じられないし、頭がおかしいと思われてしまうかもしれない。でも、その心配はすぐに吹き飛んだ。
「やっぱりタケルが私の後継者か~。コンゲルネも物好きだな~。これから毎日修行だからね。覚悟しときなよ。」
と母さんが言った。唖然としている僕を見て、母さんは続けた。
「母さんが先代のワールド・トリッパーなの。だから、タケルが今さっき体験したことは理解できるのよ。でも、父さんは非科学的なことを信じられないみたいだから内緒ね。」
僕は母さんが話を理解できると知って安心した。でも、この先どんなことが待ち受けているのかと思うと不安だった。そんな僕を見て母さんが悟ったのか、
「もちろん、ワールド・トリッパーとして活動するなら簡単なことばかりじゃない。命に関わるほどの危険があるかもしれない。でも、世界を救うことのやりがいもある。タケルがやるかやらないか、どちらの選択をしようとも、母さんはそれを尊重するし讃えるつもりよ。それが悩み抜いた末に出した結論ならね。」
と言ってくれた。そうだ、僕には先代という心強い師匠がいるのだ。選ばれた者として、救いを必要としている人の役に立ちたい。きっとその経験は無駄にならないだろう。
僕は覚悟を決めた。その覚悟を表情から母さんも読み取ったらしい。ニコッと微笑んでくれた。どれだけ僕が通用するのかは分からない。でも、コツコツと修行を頑張ってしっかりと力をつけたい。
今日もいつも通り学校へ行く。友達は学校から反対方向なので、登下校はいつも一人だ。でも、休みの日には一緒に遊ぶ仲だ。今日も一日、なんら変わらない日常のはずだった。ヤツが現れるまでは......
それは突然やって来た。辺りが薄暗くなり、急に風が吹き始めた。あっという間に空は黒い雲に覆われた。天気予報では一日中晴れだっていっていたはずなのに。ふと誰かに呼ばれているような気がした。辺りを見回しても誰もいない。
気のせいかとも思ったが、次第に声が大きくなってきた。
「......よ。......け。」
僕は怖くなって体が震えた。必死に声を振り絞り、
「だれ? どこにいるの?」
と言った。今度は呼びかける声がハッキリと聞こえた。
「数多の世界を救う運命《さだめ》を背負いしワールド・トリッパー、タケルよ。我が呼びかけに耳を傾けよ。我は数多の世界を統べる者なり。」
声のする方に目をやると、何かモヤモヤしたものがそこにはあった。それに気づいた時には不思議と恐怖は無くなっていた。それどころか、懐かしさすら感じていた。気がつくと、僕はモヤモヤした影に近づいていた。そして、涙を流していた。でも、悲しい涙じゃない。
懐かしく、嬉しい涙だった。出会うべくして巡り合ったのだと理解した。
「ワールド・トリッパー、タケルよ。我は人を超えた存在。数多の世界に通ずる者なり。我のことは『コンゲルネ』と呼べ。」
影はそう言った。体の内から力がみなぎってくるのを感じた。コンゲルネが僕の頭に手をかざすと、知識が僕の中に入ってきた。自分の使命を理解した。コンゲルネが言った。
「そなたはまだ力が弱い。今しばし、修行をするのだ。そなたの師匠はすぐ近くにいる。世界を救う希望となることを願っている。」
それだけ言うと、コンゲルネは姿を消した。その直後、母さんがやって来た。母さんの目は、今まで見たことないくらいに真剣だった。僕は今起きたことを話すか悩んだ。普通は信じられないし、頭がおかしいと思われてしまうかもしれない。でも、その心配はすぐに吹き飛んだ。
「やっぱりタケルが私の後継者か~。コンゲルネも物好きだな~。これから毎日修行だからね。覚悟しときなよ。」
と母さんが言った。唖然としている僕を見て、母さんは続けた。
「母さんが先代のワールド・トリッパーなの。だから、タケルが今さっき体験したことは理解できるのよ。でも、父さんは非科学的なことを信じられないみたいだから内緒ね。」
僕は母さんが話を理解できると知って安心した。でも、この先どんなことが待ち受けているのかと思うと不安だった。そんな僕を見て母さんが悟ったのか、
「もちろん、ワールド・トリッパーとして活動するなら簡単なことばかりじゃない。命に関わるほどの危険があるかもしれない。でも、世界を救うことのやりがいもある。タケルがやるかやらないか、どちらの選択をしようとも、母さんはそれを尊重するし讃えるつもりよ。それが悩み抜いた末に出した結論ならね。」
と言ってくれた。そうだ、僕には先代という心強い師匠がいるのだ。選ばれた者として、救いを必要としている人の役に立ちたい。きっとその経験は無駄にならないだろう。
僕は覚悟を決めた。その覚悟を表情から母さんも読み取ったらしい。ニコッと微笑んでくれた。どれだけ僕が通用するのかは分からない。でも、コツコツと修行を頑張ってしっかりと力をつけたい。
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