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第9章
気配
しおりを挟む「……?」
保健室の扉に手をかけた佐助は、施錠されていることに気付いて首を傾げた。
扉の磨りガラスに掛けてあるプレートには、不在中とは書かれていない。
あの几帳面な北条が掛け忘れる事なんてあるのだろうか。
佐助は妙な違和感を覚えた。
スッと感覚を研ぎ澄まして眼を閉じる。
するとやはり、部屋の中から人の気配がした。
『ん…、二人いる……?』
この薄氷のように鋭く怜悧な気配は恐らく北条だろう。
だけどもう一つのこの気配はなんだ?
佐助は更に意識を集中させる。
「!…これって…」
佐助がこの気配を間違えるわけがなかった。
『真田…!』
何故保健室に二人がいるのか。
佐助は聴覚を極限まで高め、常人には拾えないような微小な音までをも拾う。扉に耳をそばだてていると、妙な声音が聞こえた。
「や……!触らな……っで………!」
「大丈夫で………全て……任せ………」
苦しげに呻く真田の声と、熱情に濡れた北条の声。
嫌な予感がした。
佐助はガッと鍵が掛かった扉に手をかける。力任せに開けられないこともないが、派手な音を立てて騒ぎにはしたくない。
鍵穴を確認すると、針金で開けられるタイプの代物だった。佐助は自身のネームの安全ピンを外し、鍵穴に合った形に捻じ曲げる。
わずか数秒で完成した合鍵を差し込み、慎重にロックを外す。カチャリとした乾いた音が響くと同時に、佐助は扉を開け放った。
しかし、すぐに二人の姿を捉えることが出来ない。
『あそこか!?』
ベッドが並ぶスペースの一画がカーテンで仕切られている。
駆け寄ってカーテンに手を掛けようとした刹那、
「おや、今度は逃げなかったようですね。遊馬佐助。」
中にいる気配が変わった。
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