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第7章
望まぬ望み (R-18)
しおりを挟む「お前、それは反則だ。」
「な、に…が…だよ!」
訳がわからないまま、佐助はソファーに押し倒され、口を塞がれる。
「ふ…ぅ、んんっ」
互いの唾液が行き交い、佐助は媚薬でも飲まされたかのように思考回路を奪われていく。
佐助のものはもう限界までに膨張し、中断された快楽を求め、無意識に下肢に手を伸ばす。
しかし政宗に手を絡め取られ、それは叶わなかった。
「…政宗…っ、」
「焦んじゃねえよ。んな物欲しそうな目で見るな。」
「見、てね…っぅ!」
たくし上げられたシャツから覗く両突起に齧り付き、吸い上げられると、その刺激だけでイきそうになる。
「おっと…、まだイくんじゃねえぞ。」
「い…、っ!」
急に根元をギュッと握られ、佐助は引き攣った声を上げた。堰き止められた行き場のない熱がグルグルと疼き、息を詰める。
「や…!まさ、むね…っ、離せ…よ!」
「そう急かさなくったってすぐにイかせてやるよ。‘こっち’でな。」
政宗はするりと佐助の後孔を撫でた。
「ちょ…っ、待…て…!」
「一応昨日も慣らしたからな。すんなり解れると思うからジッとしていろ。」
先走りで溢れた蜜をたっぷりと後孔に塗り付け、一気に二本の指を突き入れた。
「…っ!!」
佐助は声にならない悲鳴を上げて喉を仰け反らせる。
「おい佐助、もう少し力抜かねえとお前が辛いぞ。」
「む、無茶…言うんじゃ…ね、ぇっ!」
男性経験があると言っても、挿れられる側になった事は間者だった頃でも殆どないのだ。佐助は呼吸をするのが精一杯で、どうすればいいのかわからなかった。
「ったく、しゃーねぇな。」
政宗は佐助の下肢に顔を埋め、佐助のものを咥え込む。
「は…ぁ、あ…っ」
生暖かい感覚に目の奥がチカチカする程の快感が押し寄せるも、根元を締め付けられている為絶頂に達する事はできず、佐助はもどかしさに歯噛みする。
だが段々滑りが良くなり、更に指を増やされても息苦しさは無くなってきた。
「ん…、そろそろいいか。」
政宗は銀色の糸を引きながら、佐助のものから口を離す。そして政宗はどこに仕込んでいたのか、コンドームを取り出して器用に片手で自分のものに被せていく。
「佐助…。」
そっと頬を撫でられ、佐助はふと伏せていた顔を上げる。澄んだ蒼い義眼に魅入られ、訳もなく鼓動は高鳴っていく。
「挿れるぞ。いいか?」
「っ!んな事、聞くんじゃ…ねぇ!」
佐助は居た堪れなくなり、両腕を顔の前で交差させる。
「もう俺は…っ、どうなったっていいんだよ!」
口をついて出た言葉は残酷なほど嗜虐的で、佐助は泣きたい気持ちを必死に抑えつけた。
これでいいんだーーー。
もう叶わぬ想いなら、心を殺して生きて行く。
何処かであいつが幸せに笑っていれば、それだけでいい。
もう何も、望まないからーーー。
「馬鹿野郎…っ、そんな風に言うんじゃねえ!」
政宗は佐助の腕を掴んで無理矢理開かせ、噛み付くような口付けを落とす。
「…ふ、ぅ…んんっ!」
政宗に口付けされる度に目からぼろぼろと大粒の涙が零れ、佐助はギュッと目を瞑った。
政宗は佐助に口付けたまま足を抱え上げ、熱く怒張したものを後孔に当てがい、そのまま息をつかせずに一気に佐助を貫いた。
「ーーーッ!」
今までとは桁外れの質量に押し開かれ、佐助はびくびくと身体を痙攣させる。
はくはくと浅い呼吸を繰り返していると、政宗は佐助の口に掌を押し当てた。
「深呼吸しろ。酸素ばっか吸ってると過呼吸になっちまうぞ。」
「…やっ、む…りだ…って!」
政宗が丹念に解してくれたお陰であまり痛くはなかったが、息苦しさが半端じゃない。
「暫くこのままでいてやるから落ち着け。」
政宗は佐助の前髪をかき上げ、額に触れるだけのキスをする。
いつだって、政宗は優しい。
優しすぎて苦しいくらいだ。
だけど、どうしてお前は俺にそこまでする?
『駄目だ…っ。この関係に意味を持ってはいけない』
「大丈夫か?佐助。」
政宗はあやすような声で佐助を呼び、手を伸ばす。
此処で手を取れば、
きっと何度でも俺はお前に縋ってしまう。
佐助は手を遮るように自ら政宗の首に手を回し、引き寄せてキスをした。
「もう…大丈夫だから、動けよ…っ!」
政宗は一瞬躊躇するも、直ぐに律動を開始した。
「あっ、は…ぁ…!」
「すげ…っ締めつけ…」
佐助の中に入った政宗のものはびくびくと脈打っていて滅茶苦茶熱かった。
まるで内側から溶かされていくようで、佐助はあられもない声を上げる。
「は…ぅ…んんっ!ひぁっ!」
「っやべ、佐助の中…気持ち良すぎ…っ!」
政宗は佐助の腰を鷲掴み、どんどんピストンを早めていく。パンパンと肉同士がぶつかり合う音が響き、互いの汗が飛び散る。
苦しさで少し萎えていた佐助自身も再び硬度を取り戻し、蜜を溢れさせていた。
「んぁ!はっ、そこ…やばっ…!」
「んっ、ここだろ…?」
政宗は昨日探り当てていた佐助の前立腺を即座に見つけて執拗にそこを攻め立てる。
ゴリゴリと擦られれば強烈な快感が迸り、危うく意識を飛ばしそうになるも、佐助はグッと唇を噛んで耐えた。
いつの間にか異物感も息苦しさも消え、絶え間ない快楽だけが佐助の全身を支配していた。
「政宗…っ、も、イきそ…っ!」
政宗の首に腕を絡め、懇願する。
涙で潤んだ瞳に政宗は口付け、俺も、と囁いた。
がくがくと腰を振り、ギリギリまで引き抜いてズンっと思いっきり奥まで貫いた刹那、
「ぁ、んんっ…ひ、ぁああぁっ!」
「ぅ…く…っ!」
背を反らして、佐助と政宗は同時に白濁した液体を吐き出して果てた。
まだ強く脈打っている政宗のものを腹の中に感じながら、佐助は深く息を吸い込む。
「……佐助。」
政宗は、何かを言いかけてやめた。
佐助は首を傾げるも、政宗はそれ以上なにも言わず、ずるりと中のものを引き抜いた。
「佐助。先、シャワー浴びて来い。」
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その笑顔は何処か切なげで、佐助は何故か胸が苦しくなった。
「ほら、早く行かねえと二回戦目に突入すんぞ。」
「…阿呆。」
政宗は一瞬でいつもの飄々とした態度に戻り、悪戯っぽい笑みを浮かべていた。
佐助はそのまま何も聞くことができず、逃げるように浴室に向かった。
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