70 / 140
第6章
ふたり
しおりを挟む『一生、護る…?』
昔、そう約束した忘れられない人…。
刹那、立っていられない程の眩暈を感じ、真田はズルズルと壁に凭れかかる。
嗚呼また、あの時と同じ感覚だーー。
異様な浮遊感を感じ、真田は堪らず目を閉じる。
…
……
………
佐助と月を見ていたーーー。
煌々と輝く月は青く澄んでいて、吸い込まれそうな錯覚に陥る。
縁側に座る二人は、柔らかな夜風を感じながら虫が紡ぐ静かな鳴き声に耳を傾けていた。
真田は、身じろぎ一つせずにジッと食い入るように月を眺めている。
『……ゆ、…………き…』
その時、不意に名を呼ばれた様な気がして、真田は小首を傾げて真っ直ぐに佐助を見つめ返す。
すると佐助は、まるで壊れ物を扱うかのように、優しく真田の頬にフワリと触れた。
一瞬どきりと心臓が脈打つ。
しかし、すぐに佐助はパッと手を離し、気まずげに真田から顔を逸らす。佐助の冷えた指先の感触だけがリアルに伝わってきた。
その事が何故か、どうしようもなく哀しかった。
真田は堪らず佐助の離した手を握り返す。
『さ……す、言いた…こ…、がある…なら言え。こ…時代、いつ果て……も、わ……ぬ命だ。』
確かに俺自身が言っている筈なのに、まるでノイズがかかったように途切れ途切れにしか聞こえない。
佐助は酷く苦しげな表情を浮かべていた。
しかし真田が瞬きをした瞬間には、いつもの佐助の姿があった。
そして佐助は、大切そうにゆっくりと言葉を紡ぐ。
『…なに言ってやがる。お前が簡単にくたばる訳ねぇだろ。だってーーー、
お前の事は、俺が未来永劫護るから。』
今までかかっていたノイズが晴れ、今度ははっきりと真田の耳に届いた。
0
お気に入りに追加
233
あなたにおすすめの小説
短編エロ
黒弧 追兎
BL
ハードでもうらめぇ、ってなってる受けが大好きです。基本愛ゆえの鬼畜です。痛いのはしません。
前立腺責め、乳首責め、玩具責め、放置、耐久、触手、スライム、研究 治験、溺愛、機械姦、などなど気分に合わせて色々書いてます。リバは無いです。
挿入ありは.が付きます
よろしければどうぞ。
リクエスト募集中!
エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので
こじらせた処女
BL
大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。
とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…
【R18】性の目覚め、お相手は幼なじみ♂【完結】
桜花
BL
始まりは中2の夏休み。
あれは幼なじみの春樹と初めてAVを見た日。
僕の中で、何かが壊れた。
何かが、変わってしまった。
何年も続けてきた、当たり前の日常。
全て特別なものに思えてくる。
気付かれるのが怖い。
もし伝えたら、どんな顔をするのかな…。
幼なじみ2人の数年にわたる物語。
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる