忍の恋は死んでから。

朝凪

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第6章

ふたり

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『一生、護る…?』


昔、そう約束した忘れられない人…。

刹那、立っていられない程の眩暈を感じ、真田はズルズルと壁に凭れかかる。


嗚呼また、あの時と同じ感覚だーー。


異様な浮遊感を感じ、真田は堪らず目を閉じる。









 …
……
………










佐助と月を見ていたーーー。

煌々と輝く月は青く澄んでいて、吸い込まれそうな錯覚に陥る。

縁側に座る二人は、柔らかな夜風を感じながら虫が紡ぐ静かな鳴き声に耳を傾けていた。

真田は、身じろぎ一つせずにジッと食い入るように月を眺めている。

『……ゆ、…………き…』

その時、不意に名を呼ばれた様な気がして、真田は小首を傾げて真っ直ぐに佐助を見つめ返す。

すると佐助は、まるで壊れ物を扱うかのように、優しく真田の頬にフワリと触れた。

一瞬どきりと心臓が脈打つ。

しかし、すぐに佐助はパッと手を離し、気まずげに真田から顔を逸らす。佐助の冷えた指先の感触だけがリアルに伝わってきた。

その事が何故か、どうしようもなく哀しかった。

真田は堪らず佐助の離した手を握り返す。

『さ……す、言いた…こ…、がある…なら言え。こ…時代、いつ果て……も、わ……ぬ命だ。』

確かに俺自身が言っている筈なのに、まるでノイズがかかったように途切れ途切れにしか聞こえない。

佐助は酷く苦しげな表情を浮かべていた。

しかし真田が瞬きをした瞬間には、いつもの佐助の姿があった。

そして佐助は、大切そうにゆっくりと言葉を紡ぐ。


『…なに言ってやがる。お前が簡単にくたばる訳ねぇだろ。だってーーー、

お前の事は、俺が未来永劫護るから。』


今までかかっていたノイズが晴れ、今度ははっきりと真田の耳に届いた。
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