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第3章
愛憎表裏 (R-18)
しおりを挟む開いたままの屋上の扉からは、絶え間無く凍てつく風が吹き荒ぶ。
冷え切った空間とは裏腹に、身体の芯は熱を帯びて、どんどん体温を上げていく。
「は…ぁ…っ、うぅ…」
艶を含んだ声が静寂を突き破り、自身の昂る鼓動を震わせる。
「んだよ、嫌々言ってるわりには随分気持ち良さそうじゃねぇか…。」
佐助は抑揚のない声で鋭利な言葉を投げつけ、真田の心を犯していく。硝子玉のように澄んでいた双眸は、生理的な涙で濡れて濁ってしまっていた。
膝下まで降ろされたスラックスをうっとおしげに見やり、佐助は掌の中で猛る真田のものを扱く手に力を込めた。
瞬間、真田はひゅっと息を呑み、涙を散らしながら僅かに動く指先で佐助のシャツを掴んで縋り付く。
「あ、すま…っ!おねが…ぃ、離して…っ」
ずくりと胸に痛みが奔る。
駄目だ。ここで止めたらいけない。
もう二度と俺に近寄れないようにしないと。
中途半端な距離にいられるのが一番辛いんだ。
そう、わかっているのに……。
ーー嗚呼、俺は一体何をしてるんだろう。
俺が護るって言ったのに。
死ぬまで側にいると誓ったのに。
「………す…まねぇ……」
「…っ、え……?」
不意に零れた懺悔の言葉は、灰色の空間に入り込んだ北風が掻き消し、真田の元に届くことはなかった。
「…解」
術を解き、真田を戒めから解放する。
途端、膝から崩れ落ちた真田を抱き止め、ゆっくりと壁に凭れかけさせた。
張り詰めていた覇気が一気に霧散したせいか、真田は眠るように気を失っている。
涙と血で濡れた頬を見つめ、佐助は高波のように押し寄せる罪悪感に苛まれる。
真田の乱れた衣服を直し、袖口で涙と血を拭う。
「…幸村…、ゆき、むらっ…」
佐助は意識の無い真田を包み込むように抱きしめる。
こんな風に触れたくなかった。
こんな風に出逢いたくなかった。
教師と生徒。
幸村はいつだって自分の先にいる。
この距離はどう足掻いても縮まらなくて、いつも佐助は置いていかれないようにするので精一杯だった。
『何度生まれ変わろうと俺は、未来永劫あの頃の‘佐助’にはなれない』
「幸村…いや、真田。俺はお前が憎くて憎くて堪らねぇ。」
きっとそれは、
お前のことを死ぬほど愛していたから…。
ごめんな。
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