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第1章
輪廻-りんね-
しおりを挟む指先が冷たくなっていく。
息も絶え絶えに、彼はふらつく足取りで近くの木に倒れる様に身体を預けた。
もう、痛みの感覚すらない。
血が止まらない傷口を力なく押さえ、ふと彼は空を見上げた。
雲ひとつ無い澄んだ青空。
自然と口元が緩む。
遠く鳴り響く喧騒が何故か心地よく聞こえ、不意に眠気に襲われた。
「…ゆ、…むら……。」
限界を迎えた彼の意識は、ゆっくりと暗転していく。
『佐助ーーー。』
瞼を閉じる刹那、アノヒトの声が聞こえたような気がしたーーー。
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