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第十三章 ウィルフレッド
ウィルフレッド 第十六節
しおりを挟む「おかえり。無事帰って来てくれてうれしいよ」
コノハは満面の笑みで静葉を迎えた。遺跡を沈めた地下水脈にはあらかじめオアシス地下の拠点までの道が用意されており、簡単に帰ることができた。拠点の実験室にはすでにベアードとティータが帰還していた。ティータは頬に絆創膏を貼り、右腕にギブスを巻いている。
「いやぁ、今回はやばかったわぁ。あの僧侶、洒落にならんでホンマ」
「マジで?そんなにやべぇのいたの?」
二人は椅子に座って雑談していた。静葉はその話題になっている僧侶の遺体を脇に抱えている。それを見たティータは目玉をひん剥いて驚いた。
「うお!?それなんスか魔勇者様?」
「そこの支部長様に持ってこいと言われてね」
静葉は溜息をついた。彼女の右腕は遺体から流れている血によって赤く汚れている。
「お、それそれ。彼女の身体はそこに置いといて」
「わかったわ」
コノハにそう指示されて静葉はメイリスの遺体を研究用のテーブルの上に寝かせた。
「あと、これね」
静葉はポーチから取り出した聖剣の刀身をコノハに渡した。
「…うん、この白銀の輝き…間違いなく聖剣エクセリオンだね」
「本当にそれで裏の伝説がわかるの?」
静葉は質問した。
「ん?まぁ、そうだね。他に有力な手掛かりもあるしね」
「他?」
「なんでもない。とにかく、これで任務は完了だよ。三人ともお疲れ様。あとは食事でもとってゆっくり休んでね」
コノハは労いの言葉を送りながら道具箱をいじり出した。
「そう…それじゃお言葉に甘えるとするわ」
「いやー、腹減ったぜ」
「ほんまやな。あ、この有様やから食うの手伝ってな」
三人はぞろぞろと実験室を後にした。
「さて…と…」
三人を見送ったコノハはテーブルに寝かせた僧侶に目を向けた。
「…ゆっくりと休めたかい?僧侶様?」
コノハが声をかけると僧侶はパチリと目を開き、声の主に顔を向けた。
「…おかげさまでね。もう少し良いベッドに寝かせてほしかったけどね」
「おっと、気が利かなくてごめんね。アハハ」
コノハは笑いながら答えた。
「それにしてもすごいね。あれだけのダメージを受けたにも関わらずもう動けるようになってるなんてね」
「えぇ、その代わりだいぶお腹すいたけどね」
メイリスは身体を起こし、修道士服の穴の開いた部分を指さした。そこから見える胸部には魔勇者が黒い炎の手刀で貫いた風穴があったはずだが、まるで何事もなかったかのように塞がっていた。
「へぇ、ここまでキレイに塞がるとはねえ」
コノハは何も動じることはなくその色白の肌を直視していた。
「あら、お姉さんのセクシーなお胸を見て何とも思わないの?」
メイリスは期待した反応を得られず不満げに尋ねた。
「人間の裸体は男女問わず実験の過程でたくさん見てきたからね。それに、こう見えて長生きなんだよ僕」
コノハは肩を竦めた。
「あらそう…残念ね」
メイリスは溜息をついた。
「…ところで、いつ気づいたの?」
胸部をさすりながら彼女は尋ねた。
「あなたが魔勇者様に一撃入れた時かな。あれほどの威力、僧侶に…いや、どんな達人でも人間には出すことはできないはず」
「へえ?」
「生物は肉体の自壊を防ぐために無意識に筋力を抑制している。たとえ魔力や薬物を用いて上乗せしても潜在能力の数パーセント程度しか力を発揮することはできない」
コノハは淡々と説明した。
「…しかし、そのような枷が存在しない種族が存在している。魔王軍には珍しくないけどね。つまり…」
「ええ、ご明察よ」
メイリスは足を下ろし、テーブルに端座位になった。その足をなまめかしく組みながら彼女は答えた。
「そう。私は不死の人間……いわゆるアンデッドよ」
コノハは満面の笑みで静葉を迎えた。遺跡を沈めた地下水脈にはあらかじめオアシス地下の拠点までの道が用意されており、簡単に帰ることができた。拠点の実験室にはすでにベアードとティータが帰還していた。ティータは頬に絆創膏を貼り、右腕にギブスを巻いている。
「いやぁ、今回はやばかったわぁ。あの僧侶、洒落にならんでホンマ」
「マジで?そんなにやべぇのいたの?」
二人は椅子に座って雑談していた。静葉はその話題になっている僧侶の遺体を脇に抱えている。それを見たティータは目玉をひん剥いて驚いた。
「うお!?それなんスか魔勇者様?」
「そこの支部長様に持ってこいと言われてね」
静葉は溜息をついた。彼女の右腕は遺体から流れている血によって赤く汚れている。
「お、それそれ。彼女の身体はそこに置いといて」
「わかったわ」
コノハにそう指示されて静葉はメイリスの遺体を研究用のテーブルの上に寝かせた。
「あと、これね」
静葉はポーチから取り出した聖剣の刀身をコノハに渡した。
「…うん、この白銀の輝き…間違いなく聖剣エクセリオンだね」
「本当にそれで裏の伝説がわかるの?」
静葉は質問した。
「ん?まぁ、そうだね。他に有力な手掛かりもあるしね」
「他?」
「なんでもない。とにかく、これで任務は完了だよ。三人ともお疲れ様。あとは食事でもとってゆっくり休んでね」
コノハは労いの言葉を送りながら道具箱をいじり出した。
「そう…それじゃお言葉に甘えるとするわ」
「いやー、腹減ったぜ」
「ほんまやな。あ、この有様やから食うの手伝ってな」
三人はぞろぞろと実験室を後にした。
「さて…と…」
三人を見送ったコノハはテーブルに寝かせた僧侶に目を向けた。
「…ゆっくりと休めたかい?僧侶様?」
コノハが声をかけると僧侶はパチリと目を開き、声の主に顔を向けた。
「…おかげさまでね。もう少し良いベッドに寝かせてほしかったけどね」
「おっと、気が利かなくてごめんね。アハハ」
コノハは笑いながら答えた。
「それにしてもすごいね。あれだけのダメージを受けたにも関わらずもう動けるようになってるなんてね」
「えぇ、その代わりだいぶお腹すいたけどね」
メイリスは身体を起こし、修道士服の穴の開いた部分を指さした。そこから見える胸部には魔勇者が黒い炎の手刀で貫いた風穴があったはずだが、まるで何事もなかったかのように塞がっていた。
「へぇ、ここまでキレイに塞がるとはねえ」
コノハは何も動じることはなくその色白の肌を直視していた。
「あら、お姉さんのセクシーなお胸を見て何とも思わないの?」
メイリスは期待した反応を得られず不満げに尋ねた。
「人間の裸体は男女問わず実験の過程でたくさん見てきたからね。それに、こう見えて長生きなんだよ僕」
コノハは肩を竦めた。
「あらそう…残念ね」
メイリスは溜息をついた。
「…ところで、いつ気づいたの?」
胸部をさすりながら彼女は尋ねた。
「あなたが魔勇者様に一撃入れた時かな。あれほどの威力、僧侶に…いや、どんな達人でも人間には出すことはできないはず」
「へえ?」
「生物は肉体の自壊を防ぐために無意識に筋力を抑制している。たとえ魔力や薬物を用いて上乗せしても潜在能力の数パーセント程度しか力を発揮することはできない」
コノハは淡々と説明した。
「…しかし、そのような枷が存在しない種族が存在している。魔王軍には珍しくないけどね。つまり…」
「ええ、ご明察よ」
メイリスは足を下ろし、テーブルに端座位になった。その足をなまめかしく組みながら彼女は答えた。
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