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第十二章 恐怖の町
恐怖の町 第九節
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「――なに、なんなの、これ」
目の前の出来事にミリィの思考が凍てついた。
下の床には多くの死体が倒れており、腐敗した死体の死臭、身も凍える寒気、そして物言えぬ怪しげな靄がその空間に充満している。それだけでも正気を失いそうなのに、それ以上に理解不能な光景が、そこにあった。
「ぁぁ…ひあぁ…ぉあ…」
『WruooOoo...』
失踪者が全てここに集まったかのような規模の人達が、誰も彼もが目をひん剝いたまま頭を上げ、悲鳴にも苦悶にもつかない声をあげていた。その口と、耳と鼻から伸びる、灰色のぬめりとした触手。その先端に紫の明かりを怪しく光らせては、この世とは思えない身の毛もよだつ音を発し、何かの舞いをしてるようにうねっては鳴く。
うねりの先は、全て天井に貼り付けられたそれに向けていた。触手と同じ、その表面がサンショウウオのように不気味にテカる、巨大な半球状のもの。微かにみえる表面の浅い凸凹が、物言えぬ生理的恐怖を掻きたてる模様を作っていた。
ミリィは噂に聞く死霊術士の邪法だと、自分の理解できるものの枠に入れ込もうとした。けれど徒労だった、目の前のそれは、それらとも異なる恐怖そのものであると、魂が直感で訴えていた。
「なによ、なによこんな――」
「ミリィさんっ」
冷静さを失って危うく叫びそうになるミリィの肩を掴むエリネ。
「落ち着いてっ、気付かれてしまいますっ」
恐怖で涙ぐむミリィをなんとかなだめようとするエリネ。
「ミリィさん、下がどうなってるのか説明してください。ここのマナ、酷く淀んでいて音も多すぎるからおぼろげな形しか掴めないの、そこにいるのは失踪した人達ですよね?天井に何かあるようだけど、あれはなに?」
「――分からない…分からないのっ!あんなもの、この世にあるわけない…っ、現実にある訳が…っ!」
「キュウッ…キュウウゥ…」
先ほどまで威嚇するように唸ってたルルが、いきなり何かの怯えたかのようにエリネに寄り添った。
「ルルっ?」
『oOooOOo....』
天井の球体が鳴き、表面から数本の触手が伸びた。体が激しく震えだす何名かの人に向けて。
「ひぁ…や、やめ、やめてくれぇ…っ、僕のせいじゃない…僕のせいじゃないんだ…っ!」
「ごめんよ…ラン…ごめんよぉ…」
「い、いやよ…来ないで…来ないでぇ…っ!」
球体に触手を向けられると、人々から伸びる触手が体の中へと引っ込み、ガクガクと体の震えがさらに強くなっては恐怖に満ちた声を発した。
「「「ひぎやぁああああああっーーーー!」」」
恐怖で心臓を引き裂かれたかのような悲鳴。激しい痙攣のなか、彼らの体が血を噴出しながらミイラのように絞られ、絶命した。
「―――!」
ミリィは必死に口を押さえた。
カラランと、干からびた死体たちが地面に転がった。エリネが顔をしかめる。
(この感覚、ライムの呪いと似てる…?それにここを充満している異様なマナの淀み…あの死体から発散したものなの?)
突如、死んだはずの死体群がびくっと動く。それが数度繰り返すと、大きく開いた口の闇から、にゅるりと濃厚な黒い靄を纏った何かが這い出た。
「…っ」
ヒトデに似た何かだった。奇怪にうねくりまわる触手で地面を這うと、その表面からさらに細い触手…触角に似たなにかを天井のそれへと伸ばし、口なのか目なのかにも定まらない何かの器官が鳴いた。
『『『RuRuoOORoo――』』』
天井から垂らされた触手が地面のそれらの触手と絡んでは、引張上げて黒い靄もろともそれを飲み込んだ。いや、溶け合ったのだ。
一際強い紫色の脈動がドクンと打つ。
『oOWuOooOoo――』
『『『RuoRuRuooo――』』』
球体から理解できない鳴き声が発せられ、地面の触手たちも共鳴するかのように鳴き、高ぶってるかのようにうねった。ミリィたちは思わず耳を塞いだ。空間が異界の脈動の光と声に満ちた。
やがて人々から伸びる触手が全て体の中へと引っ込む。呻き声も控えめになり、天井の球体の脈動もだんだんと淡くなっていった。
「…おい、食事が終わったみたいだぞ…」
「なら早く済ませよう」
下から響く会話の声にエリネ達は頭をさらに低く抑える。声は、この空間へと繋がる多くの通路の一つからのものだった。
ミリィをより安心させるようその手をしっかりと握り、エリネは尋ねる。
「ミリィさん、あそこに誰かが入ってきたのですか?」
エリネに手を握られながら、ミリィはなんとか声のする通路の方向を見る。そこには桶を手に持った二人の男がいた。
理解不能な怪物よりも、男達の怪しさの方がまだ理解できるミリィは少し落ち着きを取り戻し、なんとか二人を観察した。
「よ、よく見えませんけど…たぶん、黒いローブを着た人達、だと思います…服に…なにか変な、赤い模様があって…」
「邪神教団だわ…っ」
エリネは意識を会話する二人の方に集中する。マナは依然として淀んではいるが、怪物たちの鳴き声は既に大分落ち着いたため、なんとか会話の内容を聞くことができた。
「おやまあ、今日も凄く食い散らかしたな」
「おい、声が大きい、アイツらは人の心に潜む恐怖心以外に声にも敏感だという事を忘れるな」
男は平然とした顔して手首に着けた腕飾りを見せる。
「安心しろ、食事し終わったアイツは暫く休眠状態に入る。余程の大声でもなければ起きないさ。それにこの護符さえあればオレ達の恐怖心も感知できないし、ここの靄にも影響されない。奴らは目もないし臭いも嗅ぐことができないから問題ねぇよ」
「それでも俺は一秒も長くここに留まるのは嫌なんだ。さっさと用事を済ませてずらかろう」
二人の男は道具を使って、先ほどミイラとなった人々の死体から残りの血を抜き取り、持ってきた桶の中へと入れていく。
(血を集めてる…?いえ、ソラの時みたいに、死体の怨念を帯びたものを集めてるの?)
「それにしてもこいつの伝播速度…、いくらなんでも速すぎないか?」
男の一人がチラリと上の物体を見やる。
「数週間前にはまだ数名にしか寄生してないのに、既に死んだ人も入れればもう千人近く寄生しているぞ。作ってる肉体もめちゃくちゃ大きくなって、本体の力も凄く強くなってるし…この調子でいったら、あと数日でもすれば街中寄生体だらけになるんじゃないのか?」
「その方がこっちも塚作りが捗るってもんよ。今までは一人ひとり拷問しなければならなかったが、あいつらはみな精神的に強い人たちばかりでとにかく時間がかかる。だがこいつのお陰で今までよりも何倍の速度で素材を集められるからな」
「そりゃそうだなんだが…、このままこいつを放っておいたら、いつか俺達の世界を全部喰っちまわないか…?」
「なに、あの魔人殿はなんとかなるって言ってたから大丈夫じゃない?…けどまあ、気持ちは分からんでもないな」
比較的気楽だった男さえも、畏怖を込めた眼差しで天井の球体を見上げた。
「魔人殿もそうだが、こいつはオレ達の知っている魔獣とか妖魔とかとは根本的に違う、異質的な怪物と言うか…。元は俺たちの世界のものなのに、それが今俺らの世界そのものを喰ってるように思えるんだよなあ。…まったく、こんな恐ろしいものを作る魔人殿の世界っていったいどうなってんだ…」
二人の男の会話を聞いてエリネは確信した。
(あの怪物、やっぱり変異体…っ、町の連続失踪事件もみんなあれのせいなのね…っ)
それが変異体だと分かれば、とるべき行動は一つだ。
(ウィルさん…っ)
今だ震えてるミリィにエリネは耳打ちする。
「ミリィさん、早くここを出ましょうっ。あの怪物、私の仲間ならなんとかできます。申し訳ないですけど、フレンさんを探すのはその後で」
「え、ええ、そうです、ね、その方がいいです…っ」
「ルルっ」「キュッ」
ルルを肩に乗せ、二人はその場を離れるよう後ろの通路に戻ろうとした。
「ミリィ…」
振り返った瞬間、二人は、ミリィは凍りついたように足を止めた。
「フ、レン」「えっ」
ボロボロな服に痩せた体。その顔は憔悴しきっても、目の前に立ってる人は確かにミリィの知っているフレンだった。
「ミ、リィ」
彼の耳や口の奥で覗く触手から黒い靄が溢れた。
「ミリィ」
「あ、あ…ダ、ダン…っ」
ミリィの目に映るフレンの姿が、彼の声が、ダンのものに変わった。
「どうして…俺の気持ちを…裏切ったの…どうして…」
「ち、違うのっ、私…私…っ」
「どうして、僕に責任を…押し付けたんだい…?」
今度はフレンの声がミリィを責める。ダンとフレンの姿と声が交互に顕現し、一言喋るたびにミリィの体はすくみ、恐怖で震える。
「ミリィさんしっかり!この…っ」
エリネは杖を構えてフレンに魔法をかけようとした。
「「ミリィぃいぃっ!」」
「いやぁーーーっ!」
「ミリィさんっ!」「キュウゥ!」
恐ろしい形相で迫るフレンとダンの影に、ミリィは恐怖の声をあげては後ろへと転がる。さっきのようにエリネは即座に彼女の手を掴むも、勢いで諸とも土台から落下してしまう。
「きゃああぁーー!」
「くぅっ!――風よ!」
先程みたいに地面との衝突を避けるよう、極短呪文で突風を起こして落下の勢いを殺したエリネ達だが、姿勢の悪さで伏してしまう。
「ぐぅっ!」「あぅっ!」
『――Ruo』
呆然と立っていた人達の何名が、振り返った。
「あ、あ――」
彼らの顔が、声が全てフレンとダンに見え、その視線と言葉全てがミリィの臆病と無責任さを責めていた。
「「どうして…どうしてなんだ…ミリィ…」」
「い―――」
「ミリィさんっ」
エリネはすかさずミリィの口を塞いだ。振り返った人たちはそれ以上動きはなかった。上の方にいたフレンも、すでにそこにはいない。
「おやおや、騒がしいと思えば、こんなところに可愛いお客様が来てるとはねえ」
先ほどの教団の二人が、いつの間にかエリネ達の前に立ちはだかった。
「貴方たち…っ」
「おっと、大声を立てないでくれよ。でないとアイツらが目覚めてしまうからなあ。俺達は平気だが、アンタやアンタのお友達は死よりも恐ろしい目に会うよ?」
上の球体を指差しながらニヤつく信者に、エリネは思わず杖を強く握る。
「あんたらは運が良い。アイツが休眠しているときは寄生体の動きも鈍くなるから、少しぐらい音をたてても積極的には襲ってこないんだ。もっとも、あんた達から発散する恐怖を感知してしまうとその保証もないけどね」
彼女達を威嚇することを楽しむかのような口調だが、エリネは臆もせずに毅然としていた。
「貴方たちは邪神教団ね。あれはいったいなんなのっ」
「へえ、俺たちのことが分かるのかい?あんた、可愛く見えてただものじゃないね…?」
自分のことを計ろうとする視線を感じるも、エリネは動揺せずに対峙する。
「…くく、勇ましい子だ。まあ別に教えてやってもいいぞ。あれはね、ドッペルゲンガーの亜種だったものさ」
「ドッペルゲンガーの、亜種…?」
「そっ、あんたみたいなお利口さんなら、教会で教わったこともあるじゃないかい?人を驚かしてその感情を糧とするイタズラの精霊、ドッペルゲンガー。もっとも、ここにあるこいつは驚く人の恐怖が癖になって、そればっかしか食べなくなった亜種だ。それをある人からもらった道具であんなおぞましい姿になっちまったってわけ」
(ギルバートだわ…っ)
「こいつ、まさかあんなどでけぇものまで作り出したのは俺たちも意外だったよ。ドッペルゲンガーは実体のない精霊だから、自分だけの肉体が欲しかったのかねぇ。まっ、俺たちとしては奴に喰い殺された人の死体をもらえばいいけど」
「…喰い殺された人の死体?」
「正確には、死体に満ち溢れた恐怖心が欲しいのさ」
くっと男は嗤い、ぽんぽんと先ほど集めた血が入った桶を叩く。
「一般人からの恐怖だけじゃない。勇敢で、誇り高い気質を持った人たちの質の良い恐怖心を集めてるんだよ。あの怪物によって食い殺されたやつらの血には、その感情がたっぷりとこびりついてね」
「そんなものを集めて、いったい何に使うというの…っ」
「決まってるさ、俺たちの悲願、邪神ゾルド様復活のための塚を築くんだ」
「塚…?」
「フ、フレンは…」
ずっと震え続けたミリィが、ガチガチと歯を鳴らしながら男に問うた。
「フレンはどうなったの…彼にいったい何をしたのっ?」
「んん?フレンって...あんたの知り合いか何かか?ああ、ひょっとしたら寄生されたのかい?それはお気の毒に」
ミリィの反応を楽しむかのようなねっとりとした口調だった。
「き、寄生…?」
「そう、今ここにいる奴らはみな、あの怪物にその一部...寄生体と呼ばれるものを体内に植えつけられてね。寄生された奴はアイツの食料になるために恐怖を育てられ、その恐怖心が一定以上に育ったら...」
地面に転がっているミイラの死体を男は見やる。
「ご覧のように、寄生体は宿主の栄養を全て喰って体から離れ、あそこにあるアイツの肉体と化す。そして命を喰われた宿主は当然死ぬ。助ける方法は俺達も分からないから諦めな」
「そ、そんな…、フレン…フレン…っ」
絶望でぐらつくミリィ。
「ミリィさんしっかりっ、フレンさんを助ける方法はきっとあるわ!」
エリネは倒れそうなミリィを支えては元気付けようとする。男はその様子を見てさらに嗜虐的に嗤った。
「ふふふ、健気な子だね。あんたならさぞ良い恐怖心が育てられそうだ」
『『――Wuu…』』
寄生された人達から、断続的にあの奇声が再び聞こえてくる。
「おいっ、そろそろ離れよう。さっきの騒ぎでアイツら目を覚ましそうだっ」
「分かってる。…聞いてのとおりだお嬢さんたち。残念ながら俺達のことを見られた以上、生きて返すことは出来ない。けどあんたらが寄生されるのを見届ける余裕もない、だから…シンプルにいかせてもらうよ」
男はスラリとナイフを腰から抜いた。
「安心しろ、大きな声も出せないよう一瞬で逝かせるからな。感謝しろよ?こいつに寄生されて殺されるよりは何倍もマシな死に方だからな」
「くぅ…っ」
にじり寄る男からミリィをかばうエリネ。この間合いでは詠唱できる攻撃呪文が殆どない。彼が突っ込む瞬間に杖を叩き込むしか反撃が出来ない。けれど二人相手に、果たしてそれができるかどうか。
「さあ、観念し――」
「キュキュウゥゥーーーッ!」
二人の後ろの影からルルが突如、近寄る男の顔に飛び掛った。
「ぬあああっ!なんだこいつっ!」
「ルルっ!」
「お、おいっ!」
ルルの猛烈な引掻き攻勢に思わず後退する男が後ろの人にぶつかってよろめく。その一瞬の隙をついて、エリネはすかさず男に追撃の体当たりを食わせた。
「ええいっ!」
「「ぐおっ!」」
エリネはさらに彼の腕の護符を掴み、男の倒れこむ勢いに乗って思い切って引っ張ってそれを引きちぎった。
「やあっ!」
「「があっ!」」
教団の男達二人は地面に叩き込まれた。
「ミリィさんっ!ルルっ!走って!」
「は、はいっ!」「キュっ!」
ルルの先導のもと、二人は通路の一つへと全力で走り出した。
「くそっ!あのガキがぁっ!」
めったに引掻きされた顔を抑え、男は怒りの面相で立ち上がろうとした。
「まちやが――ぬあっ!?」
『Wruooo――』
男の足が引張られる。先ほど棒立ちしていた人達が、再び口や耳から触手を伸び、彼を掴んで引張っているのだ。
「うおっ!離せ!離せっ!なぜだ!俺のことは感知できないはずなのにっ!」
「ひ、ひぃいぃぃ!お、おまえ!護符が!」
地面を這うもう一人の男の声でようやく気付いた。自分の護符がエリネに引きちぎられてることに。
「あ、あのガキっ、俺の護符を――うあっ!」
『WruruOooOo』
寄生された人々が男を引きずる。触手と手を絡んでは、人混みの奥へと引きずっていく。
「ひ、ひゃあああぁぁああっ!」
「あっ!貴様!俺を置いてくな――わっ、や、やめろっ、やめろっ!」
振り返りもせず逃げる仲間の反対側に、男はぐんぐんと引張られていく。球体の真下へと。
「はなせっ!はなせ――ぶふっ!」
地面から引張上げられ、また勢いよく地面へと放り出される教団の男を、寄生された人々は逃がさないよう囲んでは触手を空中でうねらせた。
「クソッ…は、早く逃げないと――」
男が固まった、心底から湧く恐怖によって。寄生された人々の間から、ひときわ暗き靄の塊が進み出たのを見たからだ。
「あ…あ…そんな…ほ、本体が…いつのまに、戻って…」
『RuoOoWrooOoo――』
光を通さない闇の靄、その塊の中で、上の球体に合わせて紫色の明かりが怪しく脈動する。その脈動が描くは、無機質とも有機物ともつかない、おぞましいなにか。魂的に刻まれた恐怖を搔き出す、怖れの模様。
「や、やめてくれ…やめてくれっ、お、俺はあんたらに、餌まで――」
「「グルルル…っ」」
「ひぃっ!」
幼い頃に一人で夜の森に迷った時に聞く恐ろしい獣達の声が周りに声が響く。暗がりから無数の飢えた視線が投げられる。そしてそれらさえも全て塗りつぶすドッペルゲンガー変異体の、恐怖を煽る模様からの目なき視線に、男は戦慄した。
「ひ、ひぎゃああ――」
『WrooOoooo!』
男の断末魔を、変異体から伸びる触手が遮った。
【続く】
目の前の出来事にミリィの思考が凍てついた。
下の床には多くの死体が倒れており、腐敗した死体の死臭、身も凍える寒気、そして物言えぬ怪しげな靄がその空間に充満している。それだけでも正気を失いそうなのに、それ以上に理解不能な光景が、そこにあった。
「ぁぁ…ひあぁ…ぉあ…」
『WruooOoo...』
失踪者が全てここに集まったかのような規模の人達が、誰も彼もが目をひん剝いたまま頭を上げ、悲鳴にも苦悶にもつかない声をあげていた。その口と、耳と鼻から伸びる、灰色のぬめりとした触手。その先端に紫の明かりを怪しく光らせては、この世とは思えない身の毛もよだつ音を発し、何かの舞いをしてるようにうねっては鳴く。
うねりの先は、全て天井に貼り付けられたそれに向けていた。触手と同じ、その表面がサンショウウオのように不気味にテカる、巨大な半球状のもの。微かにみえる表面の浅い凸凹が、物言えぬ生理的恐怖を掻きたてる模様を作っていた。
ミリィは噂に聞く死霊術士の邪法だと、自分の理解できるものの枠に入れ込もうとした。けれど徒労だった、目の前のそれは、それらとも異なる恐怖そのものであると、魂が直感で訴えていた。
「なによ、なによこんな――」
「ミリィさんっ」
冷静さを失って危うく叫びそうになるミリィの肩を掴むエリネ。
「落ち着いてっ、気付かれてしまいますっ」
恐怖で涙ぐむミリィをなんとかなだめようとするエリネ。
「ミリィさん、下がどうなってるのか説明してください。ここのマナ、酷く淀んでいて音も多すぎるからおぼろげな形しか掴めないの、そこにいるのは失踪した人達ですよね?天井に何かあるようだけど、あれはなに?」
「――分からない…分からないのっ!あんなもの、この世にあるわけない…っ、現実にある訳が…っ!」
「キュウッ…キュウウゥ…」
先ほどまで威嚇するように唸ってたルルが、いきなり何かの怯えたかのようにエリネに寄り添った。
「ルルっ?」
『oOooOOo....』
天井の球体が鳴き、表面から数本の触手が伸びた。体が激しく震えだす何名かの人に向けて。
「ひぁ…や、やめ、やめてくれぇ…っ、僕のせいじゃない…僕のせいじゃないんだ…っ!」
「ごめんよ…ラン…ごめんよぉ…」
「い、いやよ…来ないで…来ないでぇ…っ!」
球体に触手を向けられると、人々から伸びる触手が体の中へと引っ込み、ガクガクと体の震えがさらに強くなっては恐怖に満ちた声を発した。
「「「ひぎやぁああああああっーーーー!」」」
恐怖で心臓を引き裂かれたかのような悲鳴。激しい痙攣のなか、彼らの体が血を噴出しながらミイラのように絞られ、絶命した。
「―――!」
ミリィは必死に口を押さえた。
カラランと、干からびた死体たちが地面に転がった。エリネが顔をしかめる。
(この感覚、ライムの呪いと似てる…?それにここを充満している異様なマナの淀み…あの死体から発散したものなの?)
突如、死んだはずの死体群がびくっと動く。それが数度繰り返すと、大きく開いた口の闇から、にゅるりと濃厚な黒い靄を纏った何かが這い出た。
「…っ」
ヒトデに似た何かだった。奇怪にうねくりまわる触手で地面を這うと、その表面からさらに細い触手…触角に似たなにかを天井のそれへと伸ばし、口なのか目なのかにも定まらない何かの器官が鳴いた。
『『『RuRuoOORoo――』』』
天井から垂らされた触手が地面のそれらの触手と絡んでは、引張上げて黒い靄もろともそれを飲み込んだ。いや、溶け合ったのだ。
一際強い紫色の脈動がドクンと打つ。
『oOWuOooOoo――』
『『『RuoRuRuooo――』』』
球体から理解できない鳴き声が発せられ、地面の触手たちも共鳴するかのように鳴き、高ぶってるかのようにうねった。ミリィたちは思わず耳を塞いだ。空間が異界の脈動の光と声に満ちた。
やがて人々から伸びる触手が全て体の中へと引っ込む。呻き声も控えめになり、天井の球体の脈動もだんだんと淡くなっていった。
「…おい、食事が終わったみたいだぞ…」
「なら早く済ませよう」
下から響く会話の声にエリネ達は頭をさらに低く抑える。声は、この空間へと繋がる多くの通路の一つからのものだった。
ミリィをより安心させるようその手をしっかりと握り、エリネは尋ねる。
「ミリィさん、あそこに誰かが入ってきたのですか?」
エリネに手を握られながら、ミリィはなんとか声のする通路の方向を見る。そこには桶を手に持った二人の男がいた。
理解不能な怪物よりも、男達の怪しさの方がまだ理解できるミリィは少し落ち着きを取り戻し、なんとか二人を観察した。
「よ、よく見えませんけど…たぶん、黒いローブを着た人達、だと思います…服に…なにか変な、赤い模様があって…」
「邪神教団だわ…っ」
エリネは意識を会話する二人の方に集中する。マナは依然として淀んではいるが、怪物たちの鳴き声は既に大分落ち着いたため、なんとか会話の内容を聞くことができた。
「おやまあ、今日も凄く食い散らかしたな」
「おい、声が大きい、アイツらは人の心に潜む恐怖心以外に声にも敏感だという事を忘れるな」
男は平然とした顔して手首に着けた腕飾りを見せる。
「安心しろ、食事し終わったアイツは暫く休眠状態に入る。余程の大声でもなければ起きないさ。それにこの護符さえあればオレ達の恐怖心も感知できないし、ここの靄にも影響されない。奴らは目もないし臭いも嗅ぐことができないから問題ねぇよ」
「それでも俺は一秒も長くここに留まるのは嫌なんだ。さっさと用事を済ませてずらかろう」
二人の男は道具を使って、先ほどミイラとなった人々の死体から残りの血を抜き取り、持ってきた桶の中へと入れていく。
(血を集めてる…?いえ、ソラの時みたいに、死体の怨念を帯びたものを集めてるの?)
「それにしてもこいつの伝播速度…、いくらなんでも速すぎないか?」
男の一人がチラリと上の物体を見やる。
「数週間前にはまだ数名にしか寄生してないのに、既に死んだ人も入れればもう千人近く寄生しているぞ。作ってる肉体もめちゃくちゃ大きくなって、本体の力も凄く強くなってるし…この調子でいったら、あと数日でもすれば街中寄生体だらけになるんじゃないのか?」
「その方がこっちも塚作りが捗るってもんよ。今までは一人ひとり拷問しなければならなかったが、あいつらはみな精神的に強い人たちばかりでとにかく時間がかかる。だがこいつのお陰で今までよりも何倍の速度で素材を集められるからな」
「そりゃそうだなんだが…、このままこいつを放っておいたら、いつか俺達の世界を全部喰っちまわないか…?」
「なに、あの魔人殿はなんとかなるって言ってたから大丈夫じゃない?…けどまあ、気持ちは分からんでもないな」
比較的気楽だった男さえも、畏怖を込めた眼差しで天井の球体を見上げた。
「魔人殿もそうだが、こいつはオレ達の知っている魔獣とか妖魔とかとは根本的に違う、異質的な怪物と言うか…。元は俺たちの世界のものなのに、それが今俺らの世界そのものを喰ってるように思えるんだよなあ。…まったく、こんな恐ろしいものを作る魔人殿の世界っていったいどうなってんだ…」
二人の男の会話を聞いてエリネは確信した。
(あの怪物、やっぱり変異体…っ、町の連続失踪事件もみんなあれのせいなのね…っ)
それが変異体だと分かれば、とるべき行動は一つだ。
(ウィルさん…っ)
今だ震えてるミリィにエリネは耳打ちする。
「ミリィさん、早くここを出ましょうっ。あの怪物、私の仲間ならなんとかできます。申し訳ないですけど、フレンさんを探すのはその後で」
「え、ええ、そうです、ね、その方がいいです…っ」
「ルルっ」「キュッ」
ルルを肩に乗せ、二人はその場を離れるよう後ろの通路に戻ろうとした。
「ミリィ…」
振り返った瞬間、二人は、ミリィは凍りついたように足を止めた。
「フ、レン」「えっ」
ボロボロな服に痩せた体。その顔は憔悴しきっても、目の前に立ってる人は確かにミリィの知っているフレンだった。
「ミ、リィ」
彼の耳や口の奥で覗く触手から黒い靄が溢れた。
「ミリィ」
「あ、あ…ダ、ダン…っ」
ミリィの目に映るフレンの姿が、彼の声が、ダンのものに変わった。
「どうして…俺の気持ちを…裏切ったの…どうして…」
「ち、違うのっ、私…私…っ」
「どうして、僕に責任を…押し付けたんだい…?」
今度はフレンの声がミリィを責める。ダンとフレンの姿と声が交互に顕現し、一言喋るたびにミリィの体はすくみ、恐怖で震える。
「ミリィさんしっかり!この…っ」
エリネは杖を構えてフレンに魔法をかけようとした。
「「ミリィぃいぃっ!」」
「いやぁーーーっ!」
「ミリィさんっ!」「キュウゥ!」
恐ろしい形相で迫るフレンとダンの影に、ミリィは恐怖の声をあげては後ろへと転がる。さっきのようにエリネは即座に彼女の手を掴むも、勢いで諸とも土台から落下してしまう。
「きゃああぁーー!」
「くぅっ!――風よ!」
先程みたいに地面との衝突を避けるよう、極短呪文で突風を起こして落下の勢いを殺したエリネ達だが、姿勢の悪さで伏してしまう。
「ぐぅっ!」「あぅっ!」
『――Ruo』
呆然と立っていた人達の何名が、振り返った。
「あ、あ――」
彼らの顔が、声が全てフレンとダンに見え、その視線と言葉全てがミリィの臆病と無責任さを責めていた。
「「どうして…どうしてなんだ…ミリィ…」」
「い―――」
「ミリィさんっ」
エリネはすかさずミリィの口を塞いだ。振り返った人たちはそれ以上動きはなかった。上の方にいたフレンも、すでにそこにはいない。
「おやおや、騒がしいと思えば、こんなところに可愛いお客様が来てるとはねえ」
先ほどの教団の二人が、いつの間にかエリネ達の前に立ちはだかった。
「貴方たち…っ」
「おっと、大声を立てないでくれよ。でないとアイツらが目覚めてしまうからなあ。俺達は平気だが、アンタやアンタのお友達は死よりも恐ろしい目に会うよ?」
上の球体を指差しながらニヤつく信者に、エリネは思わず杖を強く握る。
「あんたらは運が良い。アイツが休眠しているときは寄生体の動きも鈍くなるから、少しぐらい音をたてても積極的には襲ってこないんだ。もっとも、あんた達から発散する恐怖を感知してしまうとその保証もないけどね」
彼女達を威嚇することを楽しむかのような口調だが、エリネは臆もせずに毅然としていた。
「貴方たちは邪神教団ね。あれはいったいなんなのっ」
「へえ、俺たちのことが分かるのかい?あんた、可愛く見えてただものじゃないね…?」
自分のことを計ろうとする視線を感じるも、エリネは動揺せずに対峙する。
「…くく、勇ましい子だ。まあ別に教えてやってもいいぞ。あれはね、ドッペルゲンガーの亜種だったものさ」
「ドッペルゲンガーの、亜種…?」
「そっ、あんたみたいなお利口さんなら、教会で教わったこともあるじゃないかい?人を驚かしてその感情を糧とするイタズラの精霊、ドッペルゲンガー。もっとも、ここにあるこいつは驚く人の恐怖が癖になって、そればっかしか食べなくなった亜種だ。それをある人からもらった道具であんなおぞましい姿になっちまったってわけ」
(ギルバートだわ…っ)
「こいつ、まさかあんなどでけぇものまで作り出したのは俺たちも意外だったよ。ドッペルゲンガーは実体のない精霊だから、自分だけの肉体が欲しかったのかねぇ。まっ、俺たちとしては奴に喰い殺された人の死体をもらえばいいけど」
「…喰い殺された人の死体?」
「正確には、死体に満ち溢れた恐怖心が欲しいのさ」
くっと男は嗤い、ぽんぽんと先ほど集めた血が入った桶を叩く。
「一般人からの恐怖だけじゃない。勇敢で、誇り高い気質を持った人たちの質の良い恐怖心を集めてるんだよ。あの怪物によって食い殺されたやつらの血には、その感情がたっぷりとこびりついてね」
「そんなものを集めて、いったい何に使うというの…っ」
「決まってるさ、俺たちの悲願、邪神ゾルド様復活のための塚を築くんだ」
「塚…?」
「フ、フレンは…」
ずっと震え続けたミリィが、ガチガチと歯を鳴らしながら男に問うた。
「フレンはどうなったの…彼にいったい何をしたのっ?」
「んん?フレンって...あんたの知り合いか何かか?ああ、ひょっとしたら寄生されたのかい?それはお気の毒に」
ミリィの反応を楽しむかのようなねっとりとした口調だった。
「き、寄生…?」
「そう、今ここにいる奴らはみな、あの怪物にその一部...寄生体と呼ばれるものを体内に植えつけられてね。寄生された奴はアイツの食料になるために恐怖を育てられ、その恐怖心が一定以上に育ったら...」
地面に転がっているミイラの死体を男は見やる。
「ご覧のように、寄生体は宿主の栄養を全て喰って体から離れ、あそこにあるアイツの肉体と化す。そして命を喰われた宿主は当然死ぬ。助ける方法は俺達も分からないから諦めな」
「そ、そんな…、フレン…フレン…っ」
絶望でぐらつくミリィ。
「ミリィさんしっかりっ、フレンさんを助ける方法はきっとあるわ!」
エリネは倒れそうなミリィを支えては元気付けようとする。男はその様子を見てさらに嗜虐的に嗤った。
「ふふふ、健気な子だね。あんたならさぞ良い恐怖心が育てられそうだ」
『『――Wuu…』』
寄生された人達から、断続的にあの奇声が再び聞こえてくる。
「おいっ、そろそろ離れよう。さっきの騒ぎでアイツら目を覚ましそうだっ」
「分かってる。…聞いてのとおりだお嬢さんたち。残念ながら俺達のことを見られた以上、生きて返すことは出来ない。けどあんたらが寄生されるのを見届ける余裕もない、だから…シンプルにいかせてもらうよ」
男はスラリとナイフを腰から抜いた。
「安心しろ、大きな声も出せないよう一瞬で逝かせるからな。感謝しろよ?こいつに寄生されて殺されるよりは何倍もマシな死に方だからな」
「くぅ…っ」
にじり寄る男からミリィをかばうエリネ。この間合いでは詠唱できる攻撃呪文が殆どない。彼が突っ込む瞬間に杖を叩き込むしか反撃が出来ない。けれど二人相手に、果たしてそれができるかどうか。
「さあ、観念し――」
「キュキュウゥゥーーーッ!」
二人の後ろの影からルルが突如、近寄る男の顔に飛び掛った。
「ぬあああっ!なんだこいつっ!」
「ルルっ!」
「お、おいっ!」
ルルの猛烈な引掻き攻勢に思わず後退する男が後ろの人にぶつかってよろめく。その一瞬の隙をついて、エリネはすかさず男に追撃の体当たりを食わせた。
「ええいっ!」
「「ぐおっ!」」
エリネはさらに彼の腕の護符を掴み、男の倒れこむ勢いに乗って思い切って引っ張ってそれを引きちぎった。
「やあっ!」
「「があっ!」」
教団の男達二人は地面に叩き込まれた。
「ミリィさんっ!ルルっ!走って!」
「は、はいっ!」「キュっ!」
ルルの先導のもと、二人は通路の一つへと全力で走り出した。
「くそっ!あのガキがぁっ!」
めったに引掻きされた顔を抑え、男は怒りの面相で立ち上がろうとした。
「まちやが――ぬあっ!?」
『Wruooo――』
男の足が引張られる。先ほど棒立ちしていた人達が、再び口や耳から触手を伸び、彼を掴んで引張っているのだ。
「うおっ!離せ!離せっ!なぜだ!俺のことは感知できないはずなのにっ!」
「ひ、ひぃいぃぃ!お、おまえ!護符が!」
地面を這うもう一人の男の声でようやく気付いた。自分の護符がエリネに引きちぎられてることに。
「あ、あのガキっ、俺の護符を――うあっ!」
『WruruOooOo』
寄生された人々が男を引きずる。触手と手を絡んでは、人混みの奥へと引きずっていく。
「ひ、ひゃあああぁぁああっ!」
「あっ!貴様!俺を置いてくな――わっ、や、やめろっ、やめろっ!」
振り返りもせず逃げる仲間の反対側に、男はぐんぐんと引張られていく。球体の真下へと。
「はなせっ!はなせ――ぶふっ!」
地面から引張上げられ、また勢いよく地面へと放り出される教団の男を、寄生された人々は逃がさないよう囲んでは触手を空中でうねらせた。
「クソッ…は、早く逃げないと――」
男が固まった、心底から湧く恐怖によって。寄生された人々の間から、ひときわ暗き靄の塊が進み出たのを見たからだ。
「あ…あ…そんな…ほ、本体が…いつのまに、戻って…」
『RuoOoWrooOoo――』
光を通さない闇の靄、その塊の中で、上の球体に合わせて紫色の明かりが怪しく脈動する。その脈動が描くは、無機質とも有機物ともつかない、おぞましいなにか。魂的に刻まれた恐怖を搔き出す、怖れの模様。
「や、やめてくれ…やめてくれっ、お、俺はあんたらに、餌まで――」
「「グルルル…っ」」
「ひぃっ!」
幼い頃に一人で夜の森に迷った時に聞く恐ろしい獣達の声が周りに声が響く。暗がりから無数の飢えた視線が投げられる。そしてそれらさえも全て塗りつぶすドッペルゲンガー変異体の、恐怖を煽る模様からの目なき視線に、男は戦慄した。
「ひ、ひぎゃああ――」
『WrooOoooo!』
男の断末魔を、変異体から伸びる触手が遮った。
【続く】
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