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第八章 虚無の呪詛
虚無の呪詛 第一節
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月が雲の中に深く隠れた夜。町のはずれにある一軒の小屋から嗚咽が聞こえる。
「うぅ…何が創作だ…何が芸術だ…」
無残に蹴破れた絵。粉々に砕かれた彫刻。男の周りには芸術品だったものと思われる残骸が痛々しく散乱しており、壁のあちこちには腹いせにぶちまけた顔料が部屋一面を更に惨たらしく彩っていた。
「私の作品に、これっぽちの価値もありゃしないんだぁっ!」
自作と思われる男性の胸像を、男は思いっきり地面へと投げて壊した。無残に割れた胸像の姿は今の男の心境を表すかのようだった。
「やはり…才能のない奴がっ、いくらがんばっても…っ」
『ムダ?』
男がビクリと震えた。
『ワタシは、無価値?』
一羽の漆黒のカラスが、揺らめく部屋内の影から溶け出た。
「あっ、あああっ…」
カラスの、血で彩られたかのような赤い目が男を見つめる。
『ワタシは、無意味?』
虚無が覗いていた。
「ひいいぃぃぃぃーーーーっ!」
男の目から、耳から、口から、鼻から、カラスの目と同じぐらい真っ赤な鮮血が噴泉のごとく吹き出た。壊されてない残りの作品が、部屋の至るところが、血の顔料で塗られていく。
『ワタシは、ヒトリ』
血を大量に噴出した男が糸の切れた人形のように倒れ、絶命した。
部屋のドアが開き、黒い服を着込んだ男たちが入る。部屋の中を片付けると、またどこかへと消えていく。カラスが羽を広げて震えては、小屋の窓から外へと飛んでいった。
『カァッ、カァッ』
赤目のカラスは不吉な声を発しながら、暗い森の影の奥へと溶け込んでいった。
******
「おはようございますウィルくん、エリーちゃん」
「おはようアイシャ」
「おはようアイシャさん」「キュキュッ」
テントの片付けを手助けているウィルフレッドとエリネにアイシャが挨拶する。先日のフィレンスで素の自分をさらけ出して以来、普段は巫女や王女としてよりも、一人の友人として接して欲しいと一行に打ち明け、ウィルフレッド達は快く承諾した。
「なんだか忙しそうですね。私にも手伝えることあります?」
「良いのかアイシャ?」
「ええ。仲間ですからお手伝いするのも当たり前ですし」
「あ、それじゃこちらの食材の箱、コークスさんの所に運んでもらえますか?ちょっと量が多いから何回か分けて運ばないといけませんけど」
「なら俺が一緒に手伝うよ」
ボルガの手伝いを終えたカイが三人に話しかけた。
「おはよう、カイ」
「おはようお兄ちゃん。最近ちゃんと早起きしてて大変よろしい」
「うるせー、これぐらい普通だよ普通。…お、おはよう、アイシャ」
アイシャにはまだ少々歯切れた感じのカイ。アイシャが普通に接して欲しい件は、ウィルフレッドやレクスは最初から気にしていなかったし、エリネも元の人柄もありすんなりと適応したが、カイは未だに少しの不慣れがあり、その理由は言わずもながだった。
「おはようございます、カイくん。お手伝いどうもありがとう」
「お、おう」
アイシャの満面の笑顔に頬を軽く染めるカイは頬を掻きながら箱を持ち上げる。そんな彼を心でやっぱり可愛いと密かに思うアイシャだった。
「こっちは俺が持つから、アイシャはそちらの方を頼むよ」
「ええ、任せてください。よいしょっと」
片方の箱をなんとか持ち上げるアイシャ。
「ちょっと、大丈夫か?」
「へーきへーき、カイくん先導お願いしますね」
「ああ、足元に気をつけろよ」
離れていく二人を見送るウィルフレッド達。
「アイシャさん楽しそうだからいいけど、まさかお兄ちゃんがアイシャさんとここまで仲良くなるなんて、ちょっとびっくり」
「そうだな。アイシャは前よりも明るくなってるし、カイもそれで結構身を引き締めてるから、二人には良いことだと思う」
「それはそうですけど、お兄ちゃんがちょっと本気し過ぎて心配なんです。何せアイシャさんは王女様ですから…」
「? アイシャが王女だと何かまずいのか?」
「えっ、だって王女と平民ですよ?お兄ちゃんがもし本気でアイシャさんが好きだとしても、まず一緒にいられる訳ないですし」
「そ、そうなのか…」
ウィルフレッドは本気で驚いていた。もはや自由恋愛が一般的で、企業要人の愛人とかも普遍的に存在する今の地球の文化では、身分の違いで一緒にいられないことはまず聞かないから。
(そういえば、アオトが見せた話ではいくつかそういうのがあったな…)
「それに、お兄ちゃんは…」
「カイがどうかしたのか?」
続こうとするエリネだが、遠くからコークスが呼ぶ声が伝わってきた。
「あ、コークスさんが呼んでますね。早く残りの箱を運びましょうか」
「ああ。そうだな」「キュッ」
二人はいそいそと仕事に励むのだった。
――――――
一通りの仕度を終えてキャンプ地を散策するミーナ。気ままに歩いたら、あるテントの傍で剣を持っているラナと、その傍に座っているドーネを見つけた。
「む、ラナか」
「まあ、おはよう先生」
「おう」
「ドーネも一緒なのか?いったい何を…ってなんだぁ?」
ミーナは二人の傍に転がっている、刀身が溶けて折れているか刃こぼれしていた大量の壊れた剣に気付く。
「ちょっとした実験をしてたんです。ご覧のように結果はいまいちですけど」
「一応どれも壊れかけの剣だが、数には限りがあるから注意しろよ。溶かして鍛えなおすのにも手間はかかるしな」
「ええ。貴方には本当に感謝しきれないわ。私の剣の保守だけでなく、鎧まで強化してくれたのだから」
「礼には及ばん。ミスリル製の武器は滅多に触れないし、剣自体は簡単に研いなおしただけだ。鎧の補強もついでみたいなもんで、より良い強化にはやはり良い鍛冶場がなければできん」
「それでも十分よ」
ミーナは壊れた剣を持ち上げてじっくりと観察する。
「この跡…魔法剣を試してたのか?」
「ええ。この前のハーゼン町で先生達から聞いた話では、ウィルくんは魔法剣に似た技でゴーレムを倒してましたよね」
「うむ。変異した個体だが」
「その話を聞いて試してみたかったんです。魔法剣で果たして鋼鉄以上の硬さを誇るミスリル級ゴーレムを砕ける程の威力を出せるかどうか」
「なるほど、おぬしは昔からその手の勉強には熱心だったな。それで、結果はどうだった?」
「当然、全部失敗に終わったわ」
ラナが苦笑すると、目を閉じて剣に手をかざして呪文を唱える。
「邪を焼き尽くす聖なる炎よ。我が剣に宿れ――炎光刃」
剣が眩く光ると、刀身に白く輝きながら燃え盛る炎が宿った。
「先生もご存知ですけど、魔法剣は炎や冷気、風などを剣も含めた武器に纏わせる属性付与の魔法で、一度唱えれば詠唱者の意識がある限り消えず、強く念じるほど威力も強くなりますけど、その威力は正直あまり高いとは言えません」
「うむ、属性付与の魔法は特定の属性に弱い魔獣への攻撃をより通り易くするためのもので、劇的に攻撃力が上昇するものではないからな」
「ええ。それに普通の魔法使いでは力も限られますし、巫女である私ならどうなのかと思って試したのですが…」
ラナは剣に意識を集中し、剣がより熱く眩くなる。だが同時に刀身が徐々に溶けて変形しはじめ、彼女はとっさに魔法を解除した。
「この通り、普段の発動よりさらに力を注ぎ込もうとすると、刀身は熱に耐えられず壊れてしまいます。恐らく風や氷も同じような結果になるのでしょうね」
「そうだな。これ以上の威力だと、例えばミスリル製の武器ならある程度耐えれると思うが。おぬしのエルドグラムで試してはみたか?」
「しましたよ。途中まではいいのですが、更に力を入れると剣が震えだしたので止めました。さすがに皇族直伝の武器を壊す訳にはいかなかったのですし、凄くマナを消費してしまうんです。だからまずは力加減に慣れればと思って、ここの武器を使って力加減の練習をしていたのです。ただ、それができてもミスリルの武器でミスリルを砕けても意味はないですし、ウィルくん程の威力を出せるかどうか――」
「俺は無理と思うな」
ドーネがあの時の光景を思い出す。
「練習する前にも伝えたが、あんちゃんの破壊力は武器自身の力だけじゃねえ。アイツの並外れた膂力とあの得体の知れない青い光によるものだ。女神様の神器以外にそれ程の威力を出せるものはいねえと思う。神器の威力は見たこともねえから分からんがな」
「我もドーネと同意見だな」
ミーナが頷く。
「ザーフィアス殿のことを覚えておるか?その体に開けられた穴…あれは恐らく、例のギルバートとやらが同じ技で抉り出したものだ。千年も生きた竜の鱗をたった一撃で穿ち、心臓までも届く力…。それもひとえに、ウィル達が我らの理解を超えた力を持つ故だ。それを完全に真似るのはまず無理だろう」
「そうですね…。さすがにこれ以上やり続けるとドーネ殿の仕事が増えていくばかりですし、検証はここまでにしようか」
「俺は別に構わんがな。練習が終わったのなら先に仕事させてもらうぞ」
「ええ、お願いね」
ドーネが壊れた剣を荷台に詰めるのを手伝い、彼が離れるのを見送ると、ミーナはラナに問うた。
「…ラナ、ウィルのことだが、おぬしは彼をどう思っている?」
その問いが真剣なものだとラナはすぐに理解した。
「それは彼の人柄についてですか?それとも、彼の力について?」
「後者だな。人柄は今更聞くまでもない。君は、彼の力をどう思っている?」
ラナは率直に答えた。
「このハルフェンにおいては間違いなく過ぎた力ですね。ウィルくんが望めば、ここで好き勝手に生きようとしても、全てを滅ぼそうとしても、私達ではどうしようも出来ない程に。あのギルバートが大暴れしてないのが不思議なくらいです」
ミーナは頷き、少し躊躇いながら聞いた。
「もしもの話だが…彼の力が、この世界に危害を及ぼす可能性は、あるとは思うか?」
ミーナが何かを危惧しているのを察するラナは、目を閉じて真剣に返答する。
「まったくない、とは限りませんね。例え本人がそう思わなくとも、そうせざるを得ない場面が出てくる可能性はなくないです。それに、彼がここにいるだけに何らかの影響を与えることも。…けれど、先生なら私が次にどう答えるのかも、当然ご存知ですよね?」
「…そうだな。おぬしなら、これぐらいで彼に怖気つくにはならんだろう」
一点の曇りもない誇らしげな笑顔を見せるラナに苦笑するミーナ。
「さっきの件だが、直接ウィルに相談してみたらどうだ?あやつ戦闘に関しては相当のプロだから、聞いて損はしないだろう」
「そうですね。元々完全に真似るより、何かヒントを得られればという感じでやっていたのですから」
二人に向かってくるレクスが声をかけた。
「ここにいたんだラナ様。マティが領主さんとの挨拶の準備ができたってさ。アイシャ様ももう用意したから、ラナ様がよければいつでも出発できるって」
「分かったわ、行きましょう。先生、また後でね」
「うむ」
レクスとラナが離れるのを見て、自分はザーフィアスの言葉を気になりすぎているのだろうかと、ミーナは心で密かに思った。
(後でエリーからお茶でも頂いてリラックスしとこうか…)
******
フィレンス程ではなくともそれなりの規模を持つ町ソラ。いつものように連合軍が町の郊外で待機し、ラナ達は領主の館で一連の手続きと町長も兼ねる領主への挨拶をしていた。
「まあ、そこにある壷や彫刻、みんなケント様が仕入れたものですか?」
「ええ、その通りでございますアイシャ様。私は昔から美術商も営んでいてね。こういうものには結構目がないのです」
接待室で、アイシャが珍しそうに棚や暖炉の上で陳列されてる珍しい美術品を見ると、小太りしている領主ケントが嬉しそうに説明した。
「へえ、ケント様は美術商なの。町にはアトリエとか、美術品を取り扱ってる店が結構あったのも貴方の経営方針かい?」
「それはもう。レクス様なら存じてると思いますが、ルーネウスにおいて美術分野の商売は町の発展にも深く関わる大きな事業です。町の文芸活動を促進するために、不定期にコンテストやイベントなどを開催して若いアーティストを招くなど、昔から積もった経験を活かしながら領地を経営しているのです」
「なるほど、美術商であるケント様ならではの手腕だね。すごいよ」
「お褒めに預かり光栄です。今も小さなアート展や販売イベントが開催されておりますが、差し支えなければ寄ってみてはいかがですか」
ラナが礼儀正しく会釈する。
「ご厚意ありがとうございます、ケント様。残念ながらこちらは急いでる身でゆっくり見回ることができませんが、いつか情勢が落ち着いたらぜひまたお邪魔したいと思います」
「おお、それはもうぜひ。ラナ様にそう仰ってくださるだけでも十分です」
暫く歓談に興じる三人の挨拶が終わると、アイシャ達は外で待機しているマティと合流するよう館の廊下を歩いていた。
「ケント様、領地の経営に結構力入れてますよねレクス様。最近は若いアーティストを育てる貴族も結構減ってきていると聞きますのに」
「そうだね。今は若い人材を培うよりも、有力なアーティストを数名領地に招聘してそれで終わりという人達も少なくないからなあ」
「確か文芸革命により爆発的に膨張した界隈での競争が激化して、買い手である領主や商人が有利になっているからよね」
ラナに頷くアイシャ。
「文芸革命の光と影とも言えますね。どの分野でも似たようなことは起こりえますけど」
「そうだね。それにしてもアート展かあ…。できればじっくり見て周りたいところだね」
「レクス様もそう思いますよねっ、明日ですぐ出発しなければいけないのが残念です」
ラナが苦笑する。
「二人ともフィレンスでまだ遊び足りてないの?」
「だってぇ、せっかく窮屈な王宮から出られたんですもの。もう少し遊びたいと思うのが普通ですよねレクス様?」
「うんうん、アイシャ様の仰るとおり、遊びたくなるのは人の常、人の性、人の業というものだからさブフッ!」
ラナの拳がレクスの頭上に炸裂する。
「貴方は黙っていなさい」
「いつつ…へぇ~い…」
二人の遣り取りを見てアイシャがにんまりと笑っては、ラナと並んで耳打ちする。
「ねえねえラナちゃん。貴方レクス様には結構厳しいですけど、これってやっぱり、気になる殿方には意地悪したくなるあれですか?」
ラナはいつものような苦笑を浮かべた。
「違いますって。本当にアイシャ姉様はこういうの好きよね…。今度はどの小説の話?」
「『小悪魔な私と気になるあの方』、最近一番の人気作っ。素直じゃない主人公がやっと気持ちを伝えたシーンの描写がドキドキするぐらい凄くロマンチックなのっ。ラナちゃんも読んでみます?」
「丁重にお断りしますよ」
「んもう、相変わらず堅いですよラナちゃん」
これ以上構わずに歩くラナは、軽く頬を膨らませるアイシャをちらりと覗いては微笑んだ。
(カイくんと話し合ってから随分と元気になっているわねアイシャ姉様。やはりカイくん、良い働きしてるわ)
ふとラナの足が止まり、レクス達も慌てて立ち止まった。
「どうしたのラナちゃん?」
三人の右前方の部屋の入口から、一人の女性が何か訴えようとラナ達を見ていた。
「そちらの方、どうかしましたか?」
ラナが優しい口調で呼びかけると、女性はおどおどと部屋から出た。美しい妙齢の少女で、その身なりや典雅なドレスから、一目で貴族であることが分かった。
「あの…お二人方は巫女様のラナ様にアイシャ様とお見受けしますが、相違ありませんか?」
可愛らしい声で問うた少女にラナが頷く。
「ええ、その通りですが、いかがなさいましたか?」
そう聞いて少女は流麗にドレスの裾を持ち上げてルーネウス流のお辞儀をした。
「お初にお目にかかります。私、領主の娘アリスと申します。恐縮ながら巫女様に折り入ってお願いしたいことがありまして」
「お願いですか?」
「はい。私の恋人…邪神教団に連れ去られた私の恋人を探して欲しいのですっ」
【続く】
「うぅ…何が創作だ…何が芸術だ…」
無残に蹴破れた絵。粉々に砕かれた彫刻。男の周りには芸術品だったものと思われる残骸が痛々しく散乱しており、壁のあちこちには腹いせにぶちまけた顔料が部屋一面を更に惨たらしく彩っていた。
「私の作品に、これっぽちの価値もありゃしないんだぁっ!」
自作と思われる男性の胸像を、男は思いっきり地面へと投げて壊した。無残に割れた胸像の姿は今の男の心境を表すかのようだった。
「やはり…才能のない奴がっ、いくらがんばっても…っ」
『ムダ?』
男がビクリと震えた。
『ワタシは、無価値?』
一羽の漆黒のカラスが、揺らめく部屋内の影から溶け出た。
「あっ、あああっ…」
カラスの、血で彩られたかのような赤い目が男を見つめる。
『ワタシは、無意味?』
虚無が覗いていた。
「ひいいぃぃぃぃーーーーっ!」
男の目から、耳から、口から、鼻から、カラスの目と同じぐらい真っ赤な鮮血が噴泉のごとく吹き出た。壊されてない残りの作品が、部屋の至るところが、血の顔料で塗られていく。
『ワタシは、ヒトリ』
血を大量に噴出した男が糸の切れた人形のように倒れ、絶命した。
部屋のドアが開き、黒い服を着込んだ男たちが入る。部屋の中を片付けると、またどこかへと消えていく。カラスが羽を広げて震えては、小屋の窓から外へと飛んでいった。
『カァッ、カァッ』
赤目のカラスは不吉な声を発しながら、暗い森の影の奥へと溶け込んでいった。
******
「おはようございますウィルくん、エリーちゃん」
「おはようアイシャ」
「おはようアイシャさん」「キュキュッ」
テントの片付けを手助けているウィルフレッドとエリネにアイシャが挨拶する。先日のフィレンスで素の自分をさらけ出して以来、普段は巫女や王女としてよりも、一人の友人として接して欲しいと一行に打ち明け、ウィルフレッド達は快く承諾した。
「なんだか忙しそうですね。私にも手伝えることあります?」
「良いのかアイシャ?」
「ええ。仲間ですからお手伝いするのも当たり前ですし」
「あ、それじゃこちらの食材の箱、コークスさんの所に運んでもらえますか?ちょっと量が多いから何回か分けて運ばないといけませんけど」
「なら俺が一緒に手伝うよ」
ボルガの手伝いを終えたカイが三人に話しかけた。
「おはよう、カイ」
「おはようお兄ちゃん。最近ちゃんと早起きしてて大変よろしい」
「うるせー、これぐらい普通だよ普通。…お、おはよう、アイシャ」
アイシャにはまだ少々歯切れた感じのカイ。アイシャが普通に接して欲しい件は、ウィルフレッドやレクスは最初から気にしていなかったし、エリネも元の人柄もありすんなりと適応したが、カイは未だに少しの不慣れがあり、その理由は言わずもながだった。
「おはようございます、カイくん。お手伝いどうもありがとう」
「お、おう」
アイシャの満面の笑顔に頬を軽く染めるカイは頬を掻きながら箱を持ち上げる。そんな彼を心でやっぱり可愛いと密かに思うアイシャだった。
「こっちは俺が持つから、アイシャはそちらの方を頼むよ」
「ええ、任せてください。よいしょっと」
片方の箱をなんとか持ち上げるアイシャ。
「ちょっと、大丈夫か?」
「へーきへーき、カイくん先導お願いしますね」
「ああ、足元に気をつけろよ」
離れていく二人を見送るウィルフレッド達。
「アイシャさん楽しそうだからいいけど、まさかお兄ちゃんがアイシャさんとここまで仲良くなるなんて、ちょっとびっくり」
「そうだな。アイシャは前よりも明るくなってるし、カイもそれで結構身を引き締めてるから、二人には良いことだと思う」
「それはそうですけど、お兄ちゃんがちょっと本気し過ぎて心配なんです。何せアイシャさんは王女様ですから…」
「? アイシャが王女だと何かまずいのか?」
「えっ、だって王女と平民ですよ?お兄ちゃんがもし本気でアイシャさんが好きだとしても、まず一緒にいられる訳ないですし」
「そ、そうなのか…」
ウィルフレッドは本気で驚いていた。もはや自由恋愛が一般的で、企業要人の愛人とかも普遍的に存在する今の地球の文化では、身分の違いで一緒にいられないことはまず聞かないから。
(そういえば、アオトが見せた話ではいくつかそういうのがあったな…)
「それに、お兄ちゃんは…」
「カイがどうかしたのか?」
続こうとするエリネだが、遠くからコークスが呼ぶ声が伝わってきた。
「あ、コークスさんが呼んでますね。早く残りの箱を運びましょうか」
「ああ。そうだな」「キュッ」
二人はいそいそと仕事に励むのだった。
――――――
一通りの仕度を終えてキャンプ地を散策するミーナ。気ままに歩いたら、あるテントの傍で剣を持っているラナと、その傍に座っているドーネを見つけた。
「む、ラナか」
「まあ、おはよう先生」
「おう」
「ドーネも一緒なのか?いったい何を…ってなんだぁ?」
ミーナは二人の傍に転がっている、刀身が溶けて折れているか刃こぼれしていた大量の壊れた剣に気付く。
「ちょっとした実験をしてたんです。ご覧のように結果はいまいちですけど」
「一応どれも壊れかけの剣だが、数には限りがあるから注意しろよ。溶かして鍛えなおすのにも手間はかかるしな」
「ええ。貴方には本当に感謝しきれないわ。私の剣の保守だけでなく、鎧まで強化してくれたのだから」
「礼には及ばん。ミスリル製の武器は滅多に触れないし、剣自体は簡単に研いなおしただけだ。鎧の補強もついでみたいなもんで、より良い強化にはやはり良い鍛冶場がなければできん」
「それでも十分よ」
ミーナは壊れた剣を持ち上げてじっくりと観察する。
「この跡…魔法剣を試してたのか?」
「ええ。この前のハーゼン町で先生達から聞いた話では、ウィルくんは魔法剣に似た技でゴーレムを倒してましたよね」
「うむ。変異した個体だが」
「その話を聞いて試してみたかったんです。魔法剣で果たして鋼鉄以上の硬さを誇るミスリル級ゴーレムを砕ける程の威力を出せるかどうか」
「なるほど、おぬしは昔からその手の勉強には熱心だったな。それで、結果はどうだった?」
「当然、全部失敗に終わったわ」
ラナが苦笑すると、目を閉じて剣に手をかざして呪文を唱える。
「邪を焼き尽くす聖なる炎よ。我が剣に宿れ――炎光刃」
剣が眩く光ると、刀身に白く輝きながら燃え盛る炎が宿った。
「先生もご存知ですけど、魔法剣は炎や冷気、風などを剣も含めた武器に纏わせる属性付与の魔法で、一度唱えれば詠唱者の意識がある限り消えず、強く念じるほど威力も強くなりますけど、その威力は正直あまり高いとは言えません」
「うむ、属性付与の魔法は特定の属性に弱い魔獣への攻撃をより通り易くするためのもので、劇的に攻撃力が上昇するものではないからな」
「ええ。それに普通の魔法使いでは力も限られますし、巫女である私ならどうなのかと思って試したのですが…」
ラナは剣に意識を集中し、剣がより熱く眩くなる。だが同時に刀身が徐々に溶けて変形しはじめ、彼女はとっさに魔法を解除した。
「この通り、普段の発動よりさらに力を注ぎ込もうとすると、刀身は熱に耐えられず壊れてしまいます。恐らく風や氷も同じような結果になるのでしょうね」
「そうだな。これ以上の威力だと、例えばミスリル製の武器ならある程度耐えれると思うが。おぬしのエルドグラムで試してはみたか?」
「しましたよ。途中まではいいのですが、更に力を入れると剣が震えだしたので止めました。さすがに皇族直伝の武器を壊す訳にはいかなかったのですし、凄くマナを消費してしまうんです。だからまずは力加減に慣れればと思って、ここの武器を使って力加減の練習をしていたのです。ただ、それができてもミスリルの武器でミスリルを砕けても意味はないですし、ウィルくん程の威力を出せるかどうか――」
「俺は無理と思うな」
ドーネがあの時の光景を思い出す。
「練習する前にも伝えたが、あんちゃんの破壊力は武器自身の力だけじゃねえ。アイツの並外れた膂力とあの得体の知れない青い光によるものだ。女神様の神器以外にそれ程の威力を出せるものはいねえと思う。神器の威力は見たこともねえから分からんがな」
「我もドーネと同意見だな」
ミーナが頷く。
「ザーフィアス殿のことを覚えておるか?その体に開けられた穴…あれは恐らく、例のギルバートとやらが同じ技で抉り出したものだ。千年も生きた竜の鱗をたった一撃で穿ち、心臓までも届く力…。それもひとえに、ウィル達が我らの理解を超えた力を持つ故だ。それを完全に真似るのはまず無理だろう」
「そうですね…。さすがにこれ以上やり続けるとドーネ殿の仕事が増えていくばかりですし、検証はここまでにしようか」
「俺は別に構わんがな。練習が終わったのなら先に仕事させてもらうぞ」
「ええ、お願いね」
ドーネが壊れた剣を荷台に詰めるのを手伝い、彼が離れるのを見送ると、ミーナはラナに問うた。
「…ラナ、ウィルのことだが、おぬしは彼をどう思っている?」
その問いが真剣なものだとラナはすぐに理解した。
「それは彼の人柄についてですか?それとも、彼の力について?」
「後者だな。人柄は今更聞くまでもない。君は、彼の力をどう思っている?」
ラナは率直に答えた。
「このハルフェンにおいては間違いなく過ぎた力ですね。ウィルくんが望めば、ここで好き勝手に生きようとしても、全てを滅ぼそうとしても、私達ではどうしようも出来ない程に。あのギルバートが大暴れしてないのが不思議なくらいです」
ミーナは頷き、少し躊躇いながら聞いた。
「もしもの話だが…彼の力が、この世界に危害を及ぼす可能性は、あるとは思うか?」
ミーナが何かを危惧しているのを察するラナは、目を閉じて真剣に返答する。
「まったくない、とは限りませんね。例え本人がそう思わなくとも、そうせざるを得ない場面が出てくる可能性はなくないです。それに、彼がここにいるだけに何らかの影響を与えることも。…けれど、先生なら私が次にどう答えるのかも、当然ご存知ですよね?」
「…そうだな。おぬしなら、これぐらいで彼に怖気つくにはならんだろう」
一点の曇りもない誇らしげな笑顔を見せるラナに苦笑するミーナ。
「さっきの件だが、直接ウィルに相談してみたらどうだ?あやつ戦闘に関しては相当のプロだから、聞いて損はしないだろう」
「そうですね。元々完全に真似るより、何かヒントを得られればという感じでやっていたのですから」
二人に向かってくるレクスが声をかけた。
「ここにいたんだラナ様。マティが領主さんとの挨拶の準備ができたってさ。アイシャ様ももう用意したから、ラナ様がよければいつでも出発できるって」
「分かったわ、行きましょう。先生、また後でね」
「うむ」
レクスとラナが離れるのを見て、自分はザーフィアスの言葉を気になりすぎているのだろうかと、ミーナは心で密かに思った。
(後でエリーからお茶でも頂いてリラックスしとこうか…)
******
フィレンス程ではなくともそれなりの規模を持つ町ソラ。いつものように連合軍が町の郊外で待機し、ラナ達は領主の館で一連の手続きと町長も兼ねる領主への挨拶をしていた。
「まあ、そこにある壷や彫刻、みんなケント様が仕入れたものですか?」
「ええ、その通りでございますアイシャ様。私は昔から美術商も営んでいてね。こういうものには結構目がないのです」
接待室で、アイシャが珍しそうに棚や暖炉の上で陳列されてる珍しい美術品を見ると、小太りしている領主ケントが嬉しそうに説明した。
「へえ、ケント様は美術商なの。町にはアトリエとか、美術品を取り扱ってる店が結構あったのも貴方の経営方針かい?」
「それはもう。レクス様なら存じてると思いますが、ルーネウスにおいて美術分野の商売は町の発展にも深く関わる大きな事業です。町の文芸活動を促進するために、不定期にコンテストやイベントなどを開催して若いアーティストを招くなど、昔から積もった経験を活かしながら領地を経営しているのです」
「なるほど、美術商であるケント様ならではの手腕だね。すごいよ」
「お褒めに預かり光栄です。今も小さなアート展や販売イベントが開催されておりますが、差し支えなければ寄ってみてはいかがですか」
ラナが礼儀正しく会釈する。
「ご厚意ありがとうございます、ケント様。残念ながらこちらは急いでる身でゆっくり見回ることができませんが、いつか情勢が落ち着いたらぜひまたお邪魔したいと思います」
「おお、それはもうぜひ。ラナ様にそう仰ってくださるだけでも十分です」
暫く歓談に興じる三人の挨拶が終わると、アイシャ達は外で待機しているマティと合流するよう館の廊下を歩いていた。
「ケント様、領地の経営に結構力入れてますよねレクス様。最近は若いアーティストを育てる貴族も結構減ってきていると聞きますのに」
「そうだね。今は若い人材を培うよりも、有力なアーティストを数名領地に招聘してそれで終わりという人達も少なくないからなあ」
「確か文芸革命により爆発的に膨張した界隈での競争が激化して、買い手である領主や商人が有利になっているからよね」
ラナに頷くアイシャ。
「文芸革命の光と影とも言えますね。どの分野でも似たようなことは起こりえますけど」
「そうだね。それにしてもアート展かあ…。できればじっくり見て周りたいところだね」
「レクス様もそう思いますよねっ、明日ですぐ出発しなければいけないのが残念です」
ラナが苦笑する。
「二人ともフィレンスでまだ遊び足りてないの?」
「だってぇ、せっかく窮屈な王宮から出られたんですもの。もう少し遊びたいと思うのが普通ですよねレクス様?」
「うんうん、アイシャ様の仰るとおり、遊びたくなるのは人の常、人の性、人の業というものだからさブフッ!」
ラナの拳がレクスの頭上に炸裂する。
「貴方は黙っていなさい」
「いつつ…へぇ~い…」
二人の遣り取りを見てアイシャがにんまりと笑っては、ラナと並んで耳打ちする。
「ねえねえラナちゃん。貴方レクス様には結構厳しいですけど、これってやっぱり、気になる殿方には意地悪したくなるあれですか?」
ラナはいつものような苦笑を浮かべた。
「違いますって。本当にアイシャ姉様はこういうの好きよね…。今度はどの小説の話?」
「『小悪魔な私と気になるあの方』、最近一番の人気作っ。素直じゃない主人公がやっと気持ちを伝えたシーンの描写がドキドキするぐらい凄くロマンチックなのっ。ラナちゃんも読んでみます?」
「丁重にお断りしますよ」
「んもう、相変わらず堅いですよラナちゃん」
これ以上構わずに歩くラナは、軽く頬を膨らませるアイシャをちらりと覗いては微笑んだ。
(カイくんと話し合ってから随分と元気になっているわねアイシャ姉様。やはりカイくん、良い働きしてるわ)
ふとラナの足が止まり、レクス達も慌てて立ち止まった。
「どうしたのラナちゃん?」
三人の右前方の部屋の入口から、一人の女性が何か訴えようとラナ達を見ていた。
「そちらの方、どうかしましたか?」
ラナが優しい口調で呼びかけると、女性はおどおどと部屋から出た。美しい妙齢の少女で、その身なりや典雅なドレスから、一目で貴族であることが分かった。
「あの…お二人方は巫女様のラナ様にアイシャ様とお見受けしますが、相違ありませんか?」
可愛らしい声で問うた少女にラナが頷く。
「ええ、その通りですが、いかがなさいましたか?」
そう聞いて少女は流麗にドレスの裾を持ち上げてルーネウス流のお辞儀をした。
「お初にお目にかかります。私、領主の娘アリスと申します。恐縮ながら巫女様に折り入ってお願いしたいことがありまして」
「お願いですか?」
「はい。私の恋人…邪神教団に連れ去られた私の恋人を探して欲しいのですっ」
【続く】
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