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第五章 月の巫女と黒の魔人
月の巫女と黒の魔人 第三節
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「まあ、エリーさんの魔法は教会のシスターから学んだのですね。ひょっとしたらシスター見習いだったのでしょうか?」
「ううん、確かに学んでる呪文は相性から殆どが治癒関係の魔法だけど、単に丁度魔法の素質があって、人の助けにもなるからってだけで、シスターになりたい訳ではないんです。あ、でも祈りの禊はしてますよ。魔法力を高めるのにも役立ちますから」
荷車の前に、手綱を握ってるカイの傍にエリネとアイシャが歓談し、その後ろでウィルフレッドとミーナが荷物の隙間に座り、残りの騎士達は荷車の後ろについていく形となった。一行はお互い名前だけ紹介した後、キャンプ地へと戻る帰路に着いていた。
「なるほど、この子がエリーさんの歩きの補助をしてたの。賢い子ですねルルは」「キュッ」
肩に乗って懐いてくるルルを楽しそうに撫でるアイシャ。歓談する彼女達の傍で馬を歩かせながら、カイは時折チラチラとアイシャの方を覗き見ていた。
「それにカイさんも。さっきの会話で分かってはいますけど、妹思いでとても素敵なお兄さんなのが分かりますよ」
「えっ、あ、いやまあ、その、なんだ、そりゃ当たり前だよ、大切な妹なんだから…」
いきなりアイシャに視線を向かれては頬を赤くして、前を向いたまま語るカイ。
「もうお兄ちゃんったら、相手が美人さんだとすぐ態度変わるんだから。昔も隣の村のナミアさんが来た時は一目ぼれして何日も浮かれてたよね」
「なっ、お前、そりゃ大昔に俺がまだガキの頃の話だろーがっ」
「今でも十分子供っぽいわよ」
二人が再びじゃれあうのを見てアイシャがまた笑い出し、肩に乗るルルも合わせて鳴いた。
「ふふふ、本当にお二人さんは仲良しなんですね。なんだか羨ましいです」「キュッ」
そんなアイシャにカイはまた恥ずかしそうに黙って前を向いた。
そんな和気藹々なカイ達を、ウィルフレッドは微笑みながら後ろから覗いては、先ほどずっと自分に向けてるミーナの視線に少し困惑していた。
「…すまない、何か?」
「なんでもない。気にせんでくれ」
そうは言うものの、ウィルフレッドがまたカイ達を見ると、やはりミーナの視線は自分に釘付けだった。理由は言うまでもない、先ほど自分の戦闘のせいだろう。説明するのも複雑なため、とにかく無視すると決め込んだ彼はカイ達を見続ける。それでもミーナの視線が離れることはなかった。
(やはりこの男、どこか変だ…。先ほどの怪力は勿論だが、どこか感じる異質な、まるでこの世界の現実に割り込んだような感覚…。一番妙なのはあれだ、こいつ、マナを発していないぞ…?例え石ころ一つでも痕跡ぐらいはあるはずなのに、こやつはいったい…)
「あっ、キャンプ地が見えてきたぞ!」
カイの声で全員が前を見ると、騎士団のキャンプ地と、その外で会話をしているアラン、マティとレクス、そしてラナの姿が見えた。
「! あの方は…っ」
アイシャは遠くに見えるラナの姿に驚く。
「ミーナ先生っ!」
「ああっ、まさかここで見つかるとは!」
ミーナもまたラナの姿を見る途端、いきなり立ち上がってアイシャとともに荷車を飛び降りた。
「あっ、ちょっとアイシャさん!?」
「アイシャさんっ?」
カイとエリネが呼び止める暇もなく、二人はラナに向かって走り出した。
「ということで、残りの作業の手配は頼むよマティ…あ、ウィルくん達帰ってきたようだね」
レクスの一言でウィルフレッド達の方向を向くと、見慣れない二人と後ろについている騎士達に気付いた。
「おや、どうやら客人を連れてらっしゃるようですねレクス様」
「! あの二人は…!アランっ」
「ええ、間違いありませんラナ様っ」
「あ、ラナ様っ?」
ラナとアランもまた二人の方に向かって走り出した。
「ラナ様…っ!やっぱりラナ様だったのですね!」
「アイシャ姉様こそ、どうしてここに!?」
ラナとアイシャがまるで旧知のように両手を合わせ、年頃の少女のように嬉しく挨拶を交わした。
「久しいなラナ、まさかここで出会うとは、これも女神達のお導きというものか」
笑顔でラナに挨拶するミーナ。
「ミーナ先生も元気そうで何よりです。最後に会うのは一年前になるのでしょうか」
「アイシャ様、ミーナ様、またお会いになられて光栄です」
「アラン様こそ、ラナ様ともども良くぞご無事で…」
そんな彼らを呆然と見ているレクス達。
「アイシャ?アイシャってどこか聞いたことあるような…?」
「あっ、レクス様、あの騎士達の鎧、ルーネウス王族近衛騎士の制式鎧ですよっ!」
マティの一言でようやく思い出したレクス。
「ああ~っ!そうだっ!あのお方、僕達ルーネウス王国の第三王女アイシャ様じゃんか!」
「アイシャ様…?」「アイシャ様だって…!?」
それを聞いたレクスの騎士団の騎士達もどよめき、レクスとマティと共に急いで彼女の前へと駆けては跪いた。
「アイシャ王女、お初にお目にかかります。レタ領の領主レクス・アートゥルスと申します。まさかこのような地でお会いになられるとは光栄の至りであります」
レクスが珍しくも正式な挨拶でアイシャに名乗った。
「貴方がレクス様なのですね。どうか顔をお上げください。この地で貴公と、なによりもラナ様と巡りあえたのも正に女神様のご采配でありましょう。一旦落ち着いて貴方がたにご相談したいことがありますが、構わないでしょうか」
「勿論でございます。マティ、お願いするよ」
「はっ、すぐに場所を用意いたします」
エリネは終始驚いた顔を浮かべ、特にカイは口を開きっぱなしでアイシャをジッと見つめていた。
「驚いたぜ…まさかアイシャさん…アイシャ様が俺達の王女様だったなんて」
「うん、道理でどこかで聞いた名前だと思った…」
ウィルフレッドはレクスとアイシャ達の貴族らしいやりとりを観察した。
「…王女だから当たり前だが、言葉遣いも動きも中々優美だな、アイシャは。ラナ以上かもしれない」
「うん、アイシャ王女はね、文芸や気品を重んじるこのルーネウス王国でも特にその淑やかさと優美さで有名ですから」
かつて見た神話や童話でこういう遣り取りの知識は申し訳程度あったが、実物を見ると実に奇妙と感じるウィルフレッドだった。
******
アイシャの付き添いの騎士達はレクスの騎士達が面倒を見ることになり、マティが急いで用意した会議用テントの中で、マティとアラン含む総勢九人がテーブルを囲んでいた。
「なるほど、ウィル殿たちが丁度邪神教団に追われているアイシャ様たちを助けたのですね」
マティが茶を各員に配る。
「ええ、この方達がいなかったら、今頃どうなっているのかも分かりません。カイさんやエリーさん、ウィル様には改めて御礼を申し上げますね」
「いや、その、こほんっ、アイシャさん、アイシャ様がご無事であれば、こっちとしてもとても嬉しく存じます。本当です」
カイの不慣れな言葉遣いとわざとらしい口調に、エリネの背筋にゾゾゾと寒気が走り、肩に乗るルルもまた総毛立つほど震えた。
「お兄ちゃん格好つけすぎ」
「な、なんだよ、王女様相手なら礼儀もって接するのあたりまえだろっ?」
アイシャがまたもや微笑んだ。
「あの、他の皆様もそうですが、今は公の場ではありませんし、そうかしこまらずにさっきのように気軽に話してくれた方が私としては嬉しいです」
「そんな、アイシャ様と言葉を交わすだけでも十分失礼なのに――」
カイの言葉をレクスが軽い口調で遮った。
「ほんと?いやあ実はと言うとさっきのような堅苦しいの滅茶苦茶苦手なんだよね僕、お言葉に甘えて気軽に話してもらうよ」
流石ここまで愉快とは思わなかったアイシャとミーナが目を大きくしてレクスを見て、マティがすかさず突っ込む。
「レクス様っ、いくらなんでもそんな喋り方は失礼極まりないですっ、王室の御方ですよっ?」
「別にいいじゃん、アイシャ様が気軽って言ってくれたんだから、ここで堅くなりすぎたらそれこそアイシャ様に失礼だよ?」
「別に構いませんよマティ様、レクス様のそういう口調、寧ろとても気楽で助かりますから」
ほらねとレクスがマティに両手を軽く広げ、マティは軽い溜息をした。
「ほんと、自国の王女までもここまでふざけられるなんて、ある意味たいした度胸だわ」
「その言葉、褒め言葉として受け止めるよラナ様」
苦笑するラナにウィンクするレクス。テント内にエリネ達の小さな笑い声が響いては軽やかな雰囲気となる。
「実に愉快そうな人たちと旅をしているではないかラナ。時おり張り詰めすぎるおぬしには寧ろ丁度いいかもな」
「冗談でもおやめくださいミーナ先生」
ニヤニヤと笑うミーナに更に苦笑するラナ。
「まっ、冗談はここまでにしておいて…。聞きたい話しは山ほどあるけど、最初に確認したいのは貴方のことだね」
レクスの一言とともに全員がミーナの方を見た。
「ラナ様とアイシャ様とも結構親しいと見られるけど、差し支えなければご紹介していただけるかな?」
「ごもっともな質問だな。ではまず自己紹介しておこう。我はミーナ・シルヴァティヌ。ラナとアイシャの家庭教師を務めているものだ」
「家庭教師?両国の王族を跨いでですか?」
マティが訝しむ。
「ミーナ先生は独特な身分を持っていて、唯一三大国と教会国の指導者層と自由に接触できる権利を持っているのです」
アイシャの説明でレクスがさらに困惑する。
「そりゃまた凄い権利だね。いったいどのような経緯でそれ程の特権を?」
「それについては後で説明しよう。その前にラナ、おぬしがここに至るまでの出来事を教えてくれまいか?エイダーン暗殺事件後、おぬしのことを随分と心配していたんだぞ」
「心配させてすみませんミーナ先生。では私から先に説明しますね」
ラナはミーナとアイシャに、オルネス領でアランと共に襲撃を受けたこと、レクスやカイ達の助力を得てロバルト王に会おうとすること、そして先日採掘場で邪神教団と戦ったことを説明した。
「なるほど、さっきの追手と良い、邪神教団もいよいよ本格的に活動し始めたのだな」
ミーナが軽く顔をしかめた。
「ええ。それとすみません。独断で巫女であることを明かしてしまって」
「構わん。元々巫女の情報開示は巫女自身に委ねてるし、これからの相談内容を考えると寧ろ丁度良いタイミングだ」
「あの…一つ宜しくて?」
レクスが手を挙げる。
「ミーナ殿は、ラナ様が女神の巫女であることを知っていたの?」
「うむ。そもそも我は最初の巫女の誕生からこの件にずっと関わってきたのだからな」
「最初の巫女の誕生から関わってきたって…あんたって一体何者なんだ?」
カイが問うた。普通に国や王族にとって最重要事項となりえる巫女に最初から関わる人がただものではないことは、たとえカイでも理解できた。
「我は邪神ゾルドの封印を管理する封印の民の一人。その管理後継者となる人だ」
「邪神の封印の管理…」
「封印なんてものが本当に存在してるだなんて…」
カイとエリネが呟く。
「私も聞いたことがあります。邪神戦争後、各種族の精鋭達により選び抜かれて、代々邪神の封印を管理する民が存在すると。まさか貴方がその一人だったなんて」
マティが頷く。
「そういうおぬしはエル族のエルフか、引き篭もりで有名なエル族が人間に仕えるとは珍しいな」
「色々と事情があるのですよ。そんな貴方はビブリオン族のエルフでしょうか。最も知識や研究に長ける氏族なだけあって、各種族の精鋭の集まりというのは本当のようですね」
「ほほう、目端も利くとはなかなか良い人材だな。レクスとやら、こやつを大事にしておくようにな」
「そりゃもう言われなくても、ですよ」
レクスは苦笑するマティと目を合わせた。
「マジかよ、こんなチビ助が、そんな重要な人物だったなんてイテェ!」
ミーナが机から投げた空のコップがカイにクリーンヒットした。
「だからチビ助呼びは止めんかこの青二才」
「って~!無闇にものをぶつけてくんなよっ!バカになったらどうするんだ!?」
「実際まだまだ未熟なバカだからその心配はないだろう?」
「んだよっ、じゃああんたをチビ助と呼ぶのも問題ないだろっ、実際俺より身長低いだしさっ!可愛げのない奴!」
「なにぃ~?」
にらみ合う二人をレクスやアイシャ達が慌てて制止する。
「まあまあ、カイくん落ち着いて落ち着いてって」
「そうよお兄ちゃん、大事な話なんだから静かにしてよ」
「先生も、ここはどうか穏便に…」
カイとミーナは互いに不満そうな顔をしてそっぽ向く。そんな二人にウィルフレッド達も軽く苦笑した。
「それにしても封印の民かあ、ならラナ様のことや三国の指導層と直接接触できるのもおかしくはないね」
「うむ、そもそも我々は三国建国の時から勇者と関わりある民だからな。有事に備える意味でも、歴代の指導者たちとは長いあいだ密かに連絡をとってある」
「それじゃあ、ミーナ様が巫女であるラナ様の家庭教師を担当したって言うのは…」
ラナはエリネに頷く。
「封印の民たちは、邪神の封印を管理すると同時に、いつか巫女と勇者が再び現れた時、彼女達を支えて導く役目も負っているわ。そしてその民の一人であり、かつ膨大な知識量を蓄えているビブリオン族のミーナ先生は、巫女の教育係としては最適だったの」
「え…ちょっと待ってくれ、巫女の教育係…そういやさっき確か、ミーナはラナ様とアイシャ様の家庭教師だと言ってたよな。じゃあ…じゃあまさかアイシャ様は…」
カイの言葉で全員がアイシャを見た。
アイシャはミーナが同意するように頷くのを見ると、右手の袖をまくり上げ、包帯で巻かれた二の腕を見せる。白く透き通った美しいその肌にカイは小さく息を呑む。そして彼女が包帯を解くと、テント内に彼らの驚く声が上がった。
「月の形の痣…月の聖痕なのか」
「ええっ?」
ウィルフレッドの言葉でエリネが声を上げた。
「ご覧のとおりです。私、アイシャ・フェルナンデス・ルーネウスは、ルーネウス王国第三王女であると同時に、月の女神ルミアナ様の魂の力を受け継いだ、月の巫女でもあります」
「こりゃ驚いた…自国の第三王女がまさか女神の巫女の一人だったなんて」
アイシャが包帯と袖を戻す。
「巫女の中で最初に生まれたのがアイシャでな。彼女についた聖痕を見たロバルト王は即座にヘリティア皇国のエイダーン皇帝、エステラ王国の女王メアリー、教会国ミナスの大司教アイーダ、そして一族の代表として我が秘密裏に会議を行った。巫女の真偽の鑑定や、その対処をどうするべきかについて話し合うためにな。あの時はそこのアランも護衛として参加してたか」
アランが頷く。
「最初の会議では巫女の正体を隠しながら、普通の王族として育てると同時に、巫女の教育係として我が担当することになった。程なくして生まれた二人目の巫女であるラナの教育の兼ね合いは、それなりに苦労してたな」
ミーナがラナとアイシャを見て微笑む。
「王族の間でそんな大事な会議が秘密裏に行われてたなんて…いや、巫女の重要性を考えると寧ろ至極当然なことだよね」
納得するレクス。
「じゃあラナ様とアイシャ様が知り合いなのも、そういう縁からなのですね」
エリネに頷くアイシャ。
「私達の魔法の指導もミーナ先生が担当していましたけど、巫女同士での切磋琢磨や交流も必要だという理由で、時にはミーナ先生と共に互いの国に行って一緒に魔法の練習や勉強、遊びもしていたのです。あの頃が懐かしいわ」
「ふふ、あの頃のアイシャ姉様はそれはもう凄くお茶目だったわね。だって――」
「ラナ様っ、それは秘密、秘密ですよっ」
アイシャが慌てて口に指を当てるのを見て、まるで幼い子供のような楽しい笑顔を見せるラナ。
(へえ~ラナ様にこんな表情を出せるなんて、お二人さん本当に仲が良いんだね)
微笑ましい二人にレクスはそう思った。
一方、カイは別の意味で考え込んでいた。
(ラナ様が姉様って呼ぶなんて、つまりアイシャ様はラナ様より年長ってことだよな。ラナ様より小柄だから全然そうは見えないけど。…でもそれってつまり、アイシャ様は俺より年上ってことなのか…)
カイが色々と逡巡するなか、アランが質問する。
「しかしアイシャ様とミーナ様が揃って行動して、しかも教団に追われているということは、何か重大な事があったのでしょうか」
「うむ、そろそろ本題に入るか。その前に一つ重要なことをラナやおぬし達に伝えなければならない。邪神教団に関することだ」
一行は沈黙して深刻そうな表情をするミーナを見る。
「さっきも言ったように、我は邪神ゾルドの封印を管理する民の一人。ゾルドの魂は封印の水晶と呼ばれる玉に封じ込まれているが、その水晶が…数ヶ月前、民の一人の裏切りによって教団に奪われたのだ」
【続く】
「ううん、確かに学んでる呪文は相性から殆どが治癒関係の魔法だけど、単に丁度魔法の素質があって、人の助けにもなるからってだけで、シスターになりたい訳ではないんです。あ、でも祈りの禊はしてますよ。魔法力を高めるのにも役立ちますから」
荷車の前に、手綱を握ってるカイの傍にエリネとアイシャが歓談し、その後ろでウィルフレッドとミーナが荷物の隙間に座り、残りの騎士達は荷車の後ろについていく形となった。一行はお互い名前だけ紹介した後、キャンプ地へと戻る帰路に着いていた。
「なるほど、この子がエリーさんの歩きの補助をしてたの。賢い子ですねルルは」「キュッ」
肩に乗って懐いてくるルルを楽しそうに撫でるアイシャ。歓談する彼女達の傍で馬を歩かせながら、カイは時折チラチラとアイシャの方を覗き見ていた。
「それにカイさんも。さっきの会話で分かってはいますけど、妹思いでとても素敵なお兄さんなのが分かりますよ」
「えっ、あ、いやまあ、その、なんだ、そりゃ当たり前だよ、大切な妹なんだから…」
いきなりアイシャに視線を向かれては頬を赤くして、前を向いたまま語るカイ。
「もうお兄ちゃんったら、相手が美人さんだとすぐ態度変わるんだから。昔も隣の村のナミアさんが来た時は一目ぼれして何日も浮かれてたよね」
「なっ、お前、そりゃ大昔に俺がまだガキの頃の話だろーがっ」
「今でも十分子供っぽいわよ」
二人が再びじゃれあうのを見てアイシャがまた笑い出し、肩に乗るルルも合わせて鳴いた。
「ふふふ、本当にお二人さんは仲良しなんですね。なんだか羨ましいです」「キュッ」
そんなアイシャにカイはまた恥ずかしそうに黙って前を向いた。
そんな和気藹々なカイ達を、ウィルフレッドは微笑みながら後ろから覗いては、先ほどずっと自分に向けてるミーナの視線に少し困惑していた。
「…すまない、何か?」
「なんでもない。気にせんでくれ」
そうは言うものの、ウィルフレッドがまたカイ達を見ると、やはりミーナの視線は自分に釘付けだった。理由は言うまでもない、先ほど自分の戦闘のせいだろう。説明するのも複雑なため、とにかく無視すると決め込んだ彼はカイ達を見続ける。それでもミーナの視線が離れることはなかった。
(やはりこの男、どこか変だ…。先ほどの怪力は勿論だが、どこか感じる異質な、まるでこの世界の現実に割り込んだような感覚…。一番妙なのはあれだ、こいつ、マナを発していないぞ…?例え石ころ一つでも痕跡ぐらいはあるはずなのに、こやつはいったい…)
「あっ、キャンプ地が見えてきたぞ!」
カイの声で全員が前を見ると、騎士団のキャンプ地と、その外で会話をしているアラン、マティとレクス、そしてラナの姿が見えた。
「! あの方は…っ」
アイシャは遠くに見えるラナの姿に驚く。
「ミーナ先生っ!」
「ああっ、まさかここで見つかるとは!」
ミーナもまたラナの姿を見る途端、いきなり立ち上がってアイシャとともに荷車を飛び降りた。
「あっ、ちょっとアイシャさん!?」
「アイシャさんっ?」
カイとエリネが呼び止める暇もなく、二人はラナに向かって走り出した。
「ということで、残りの作業の手配は頼むよマティ…あ、ウィルくん達帰ってきたようだね」
レクスの一言でウィルフレッド達の方向を向くと、見慣れない二人と後ろについている騎士達に気付いた。
「おや、どうやら客人を連れてらっしゃるようですねレクス様」
「! あの二人は…!アランっ」
「ええ、間違いありませんラナ様っ」
「あ、ラナ様っ?」
ラナとアランもまた二人の方に向かって走り出した。
「ラナ様…っ!やっぱりラナ様だったのですね!」
「アイシャ姉様こそ、どうしてここに!?」
ラナとアイシャがまるで旧知のように両手を合わせ、年頃の少女のように嬉しく挨拶を交わした。
「久しいなラナ、まさかここで出会うとは、これも女神達のお導きというものか」
笑顔でラナに挨拶するミーナ。
「ミーナ先生も元気そうで何よりです。最後に会うのは一年前になるのでしょうか」
「アイシャ様、ミーナ様、またお会いになられて光栄です」
「アラン様こそ、ラナ様ともども良くぞご無事で…」
そんな彼らを呆然と見ているレクス達。
「アイシャ?アイシャってどこか聞いたことあるような…?」
「あっ、レクス様、あの騎士達の鎧、ルーネウス王族近衛騎士の制式鎧ですよっ!」
マティの一言でようやく思い出したレクス。
「ああ~っ!そうだっ!あのお方、僕達ルーネウス王国の第三王女アイシャ様じゃんか!」
「アイシャ様…?」「アイシャ様だって…!?」
それを聞いたレクスの騎士団の騎士達もどよめき、レクスとマティと共に急いで彼女の前へと駆けては跪いた。
「アイシャ王女、お初にお目にかかります。レタ領の領主レクス・アートゥルスと申します。まさかこのような地でお会いになられるとは光栄の至りであります」
レクスが珍しくも正式な挨拶でアイシャに名乗った。
「貴方がレクス様なのですね。どうか顔をお上げください。この地で貴公と、なによりもラナ様と巡りあえたのも正に女神様のご采配でありましょう。一旦落ち着いて貴方がたにご相談したいことがありますが、構わないでしょうか」
「勿論でございます。マティ、お願いするよ」
「はっ、すぐに場所を用意いたします」
エリネは終始驚いた顔を浮かべ、特にカイは口を開きっぱなしでアイシャをジッと見つめていた。
「驚いたぜ…まさかアイシャさん…アイシャ様が俺達の王女様だったなんて」
「うん、道理でどこかで聞いた名前だと思った…」
ウィルフレッドはレクスとアイシャ達の貴族らしいやりとりを観察した。
「…王女だから当たり前だが、言葉遣いも動きも中々優美だな、アイシャは。ラナ以上かもしれない」
「うん、アイシャ王女はね、文芸や気品を重んじるこのルーネウス王国でも特にその淑やかさと優美さで有名ですから」
かつて見た神話や童話でこういう遣り取りの知識は申し訳程度あったが、実物を見ると実に奇妙と感じるウィルフレッドだった。
******
アイシャの付き添いの騎士達はレクスの騎士達が面倒を見ることになり、マティが急いで用意した会議用テントの中で、マティとアラン含む総勢九人がテーブルを囲んでいた。
「なるほど、ウィル殿たちが丁度邪神教団に追われているアイシャ様たちを助けたのですね」
マティが茶を各員に配る。
「ええ、この方達がいなかったら、今頃どうなっているのかも分かりません。カイさんやエリーさん、ウィル様には改めて御礼を申し上げますね」
「いや、その、こほんっ、アイシャさん、アイシャ様がご無事であれば、こっちとしてもとても嬉しく存じます。本当です」
カイの不慣れな言葉遣いとわざとらしい口調に、エリネの背筋にゾゾゾと寒気が走り、肩に乗るルルもまた総毛立つほど震えた。
「お兄ちゃん格好つけすぎ」
「な、なんだよ、王女様相手なら礼儀もって接するのあたりまえだろっ?」
アイシャがまたもや微笑んだ。
「あの、他の皆様もそうですが、今は公の場ではありませんし、そうかしこまらずにさっきのように気軽に話してくれた方が私としては嬉しいです」
「そんな、アイシャ様と言葉を交わすだけでも十分失礼なのに――」
カイの言葉をレクスが軽い口調で遮った。
「ほんと?いやあ実はと言うとさっきのような堅苦しいの滅茶苦茶苦手なんだよね僕、お言葉に甘えて気軽に話してもらうよ」
流石ここまで愉快とは思わなかったアイシャとミーナが目を大きくしてレクスを見て、マティがすかさず突っ込む。
「レクス様っ、いくらなんでもそんな喋り方は失礼極まりないですっ、王室の御方ですよっ?」
「別にいいじゃん、アイシャ様が気軽って言ってくれたんだから、ここで堅くなりすぎたらそれこそアイシャ様に失礼だよ?」
「別に構いませんよマティ様、レクス様のそういう口調、寧ろとても気楽で助かりますから」
ほらねとレクスがマティに両手を軽く広げ、マティは軽い溜息をした。
「ほんと、自国の王女までもここまでふざけられるなんて、ある意味たいした度胸だわ」
「その言葉、褒め言葉として受け止めるよラナ様」
苦笑するラナにウィンクするレクス。テント内にエリネ達の小さな笑い声が響いては軽やかな雰囲気となる。
「実に愉快そうな人たちと旅をしているではないかラナ。時おり張り詰めすぎるおぬしには寧ろ丁度いいかもな」
「冗談でもおやめくださいミーナ先生」
ニヤニヤと笑うミーナに更に苦笑するラナ。
「まっ、冗談はここまでにしておいて…。聞きたい話しは山ほどあるけど、最初に確認したいのは貴方のことだね」
レクスの一言とともに全員がミーナの方を見た。
「ラナ様とアイシャ様とも結構親しいと見られるけど、差し支えなければご紹介していただけるかな?」
「ごもっともな質問だな。ではまず自己紹介しておこう。我はミーナ・シルヴァティヌ。ラナとアイシャの家庭教師を務めているものだ」
「家庭教師?両国の王族を跨いでですか?」
マティが訝しむ。
「ミーナ先生は独特な身分を持っていて、唯一三大国と教会国の指導者層と自由に接触できる権利を持っているのです」
アイシャの説明でレクスがさらに困惑する。
「そりゃまた凄い権利だね。いったいどのような経緯でそれ程の特権を?」
「それについては後で説明しよう。その前にラナ、おぬしがここに至るまでの出来事を教えてくれまいか?エイダーン暗殺事件後、おぬしのことを随分と心配していたんだぞ」
「心配させてすみませんミーナ先生。では私から先に説明しますね」
ラナはミーナとアイシャに、オルネス領でアランと共に襲撃を受けたこと、レクスやカイ達の助力を得てロバルト王に会おうとすること、そして先日採掘場で邪神教団と戦ったことを説明した。
「なるほど、さっきの追手と良い、邪神教団もいよいよ本格的に活動し始めたのだな」
ミーナが軽く顔をしかめた。
「ええ。それとすみません。独断で巫女であることを明かしてしまって」
「構わん。元々巫女の情報開示は巫女自身に委ねてるし、これからの相談内容を考えると寧ろ丁度良いタイミングだ」
「あの…一つ宜しくて?」
レクスが手を挙げる。
「ミーナ殿は、ラナ様が女神の巫女であることを知っていたの?」
「うむ。そもそも我は最初の巫女の誕生からこの件にずっと関わってきたのだからな」
「最初の巫女の誕生から関わってきたって…あんたって一体何者なんだ?」
カイが問うた。普通に国や王族にとって最重要事項となりえる巫女に最初から関わる人がただものではないことは、たとえカイでも理解できた。
「我は邪神ゾルドの封印を管理する封印の民の一人。その管理後継者となる人だ」
「邪神の封印の管理…」
「封印なんてものが本当に存在してるだなんて…」
カイとエリネが呟く。
「私も聞いたことがあります。邪神戦争後、各種族の精鋭達により選び抜かれて、代々邪神の封印を管理する民が存在すると。まさか貴方がその一人だったなんて」
マティが頷く。
「そういうおぬしはエル族のエルフか、引き篭もりで有名なエル族が人間に仕えるとは珍しいな」
「色々と事情があるのですよ。そんな貴方はビブリオン族のエルフでしょうか。最も知識や研究に長ける氏族なだけあって、各種族の精鋭の集まりというのは本当のようですね」
「ほほう、目端も利くとはなかなか良い人材だな。レクスとやら、こやつを大事にしておくようにな」
「そりゃもう言われなくても、ですよ」
レクスは苦笑するマティと目を合わせた。
「マジかよ、こんなチビ助が、そんな重要な人物だったなんてイテェ!」
ミーナが机から投げた空のコップがカイにクリーンヒットした。
「だからチビ助呼びは止めんかこの青二才」
「って~!無闇にものをぶつけてくんなよっ!バカになったらどうするんだ!?」
「実際まだまだ未熟なバカだからその心配はないだろう?」
「んだよっ、じゃああんたをチビ助と呼ぶのも問題ないだろっ、実際俺より身長低いだしさっ!可愛げのない奴!」
「なにぃ~?」
にらみ合う二人をレクスやアイシャ達が慌てて制止する。
「まあまあ、カイくん落ち着いて落ち着いてって」
「そうよお兄ちゃん、大事な話なんだから静かにしてよ」
「先生も、ここはどうか穏便に…」
カイとミーナは互いに不満そうな顔をしてそっぽ向く。そんな二人にウィルフレッド達も軽く苦笑した。
「それにしても封印の民かあ、ならラナ様のことや三国の指導層と直接接触できるのもおかしくはないね」
「うむ、そもそも我々は三国建国の時から勇者と関わりある民だからな。有事に備える意味でも、歴代の指導者たちとは長いあいだ密かに連絡をとってある」
「それじゃあ、ミーナ様が巫女であるラナ様の家庭教師を担当したって言うのは…」
ラナはエリネに頷く。
「封印の民たちは、邪神の封印を管理すると同時に、いつか巫女と勇者が再び現れた時、彼女達を支えて導く役目も負っているわ。そしてその民の一人であり、かつ膨大な知識量を蓄えているビブリオン族のミーナ先生は、巫女の教育係としては最適だったの」
「え…ちょっと待ってくれ、巫女の教育係…そういやさっき確か、ミーナはラナ様とアイシャ様の家庭教師だと言ってたよな。じゃあ…じゃあまさかアイシャ様は…」
カイの言葉で全員がアイシャを見た。
アイシャはミーナが同意するように頷くのを見ると、右手の袖をまくり上げ、包帯で巻かれた二の腕を見せる。白く透き通った美しいその肌にカイは小さく息を呑む。そして彼女が包帯を解くと、テント内に彼らの驚く声が上がった。
「月の形の痣…月の聖痕なのか」
「ええっ?」
ウィルフレッドの言葉でエリネが声を上げた。
「ご覧のとおりです。私、アイシャ・フェルナンデス・ルーネウスは、ルーネウス王国第三王女であると同時に、月の女神ルミアナ様の魂の力を受け継いだ、月の巫女でもあります」
「こりゃ驚いた…自国の第三王女がまさか女神の巫女の一人だったなんて」
アイシャが包帯と袖を戻す。
「巫女の中で最初に生まれたのがアイシャでな。彼女についた聖痕を見たロバルト王は即座にヘリティア皇国のエイダーン皇帝、エステラ王国の女王メアリー、教会国ミナスの大司教アイーダ、そして一族の代表として我が秘密裏に会議を行った。巫女の真偽の鑑定や、その対処をどうするべきかについて話し合うためにな。あの時はそこのアランも護衛として参加してたか」
アランが頷く。
「最初の会議では巫女の正体を隠しながら、普通の王族として育てると同時に、巫女の教育係として我が担当することになった。程なくして生まれた二人目の巫女であるラナの教育の兼ね合いは、それなりに苦労してたな」
ミーナがラナとアイシャを見て微笑む。
「王族の間でそんな大事な会議が秘密裏に行われてたなんて…いや、巫女の重要性を考えると寧ろ至極当然なことだよね」
納得するレクス。
「じゃあラナ様とアイシャ様が知り合いなのも、そういう縁からなのですね」
エリネに頷くアイシャ。
「私達の魔法の指導もミーナ先生が担当していましたけど、巫女同士での切磋琢磨や交流も必要だという理由で、時にはミーナ先生と共に互いの国に行って一緒に魔法の練習や勉強、遊びもしていたのです。あの頃が懐かしいわ」
「ふふ、あの頃のアイシャ姉様はそれはもう凄くお茶目だったわね。だって――」
「ラナ様っ、それは秘密、秘密ですよっ」
アイシャが慌てて口に指を当てるのを見て、まるで幼い子供のような楽しい笑顔を見せるラナ。
(へえ~ラナ様にこんな表情を出せるなんて、お二人さん本当に仲が良いんだね)
微笑ましい二人にレクスはそう思った。
一方、カイは別の意味で考え込んでいた。
(ラナ様が姉様って呼ぶなんて、つまりアイシャ様はラナ様より年長ってことだよな。ラナ様より小柄だから全然そうは見えないけど。…でもそれってつまり、アイシャ様は俺より年上ってことなのか…)
カイが色々と逡巡するなか、アランが質問する。
「しかしアイシャ様とミーナ様が揃って行動して、しかも教団に追われているということは、何か重大な事があったのでしょうか」
「うむ、そろそろ本題に入るか。その前に一つ重要なことをラナやおぬし達に伝えなければならない。邪神教団に関することだ」
一行は沈黙して深刻そうな表情をするミーナを見る。
「さっきも言ったように、我は邪神ゾルドの封印を管理する民の一人。ゾルドの魂は封印の水晶と呼ばれる玉に封じ込まれているが、その水晶が…数ヶ月前、民の一人の裏切りによって教団に奪われたのだ」
【続く】
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