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第四章 邪神教団
邪神教団 第四節
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「闇よ、蝕む炎虫と成して燃え盛えよ――黒炎喰!」
教団の信者の呪文により放たれた黒き炎が、まるで体に纏わり付く虫のように騎士の鎧を這っては蝕んでいく。
「う、うわあぁぁっ!」
騎士は慌ててそれを振り払おうとするも、炎は手を這って更に体全体に拡散していき、更に死霊兵が切りかかった。
「させるかよ!」
だがカイから連続で放たれた矢により阻まれ、死霊兵はカタカタと後退する。
「――清呪!」
エリネの放った呪文の青い輝きが、騎士に纏いつく黒い炎を消し去った。
「大丈夫ですかっ?」
「あ、ああ、助かったよっ」
二人に援護されて後退する騎士に、死霊兵と信者は追いかけようとするも、アランが立ちはだかる。
「あなた方の相手はこの私ですよっ」
信者は舌打ちして呪文で援護しようとするも、カイから再び放たれた弓矢により阻まれてさらに後退を余儀なくされた。そのお陰で死霊兵に専念できたアランが数回剣を交えると死霊兵の体に深く剣を切り込む。
「…ぬうっ!?」
だが剣が体に食い込んでも死霊兵は倒れず、寧ろそれを掴んでアランの行動を制限してそのまま斬りつけた。しかし次の瞬間、横から飛んできた槍が死霊兵の脳天を貫き、その動きが一瞬止まる。
「せいっ!」
その隙を突いてアランは死霊兵の頭を切り落とし、先ほど槍を投げたマティが駆けつけて更に残りの体躯に一撃を加えて、ようやく倒れこんだ。
「無事ですかアラン殿っ」
「かたじけないですマティ殿」
今や戦場は先ほどよりも混沌な様相を呈していた。死霊兵と教団信者にメルベの私兵達が、一部見張りに反発し始める奴隷と、混乱を隙に自分の子供や親に駆けつける奴隷、いまだ取り押さえられてる奴隷を解放する騎士団達と熾烈な戦いを繰り広げる。混乱極まるその戦場を岩場から見下ろしては、エリクは嬉しい笑みを浮かべていた。
「それで良いのです。存分に争いなさい。この感情の混沌こそが、邪神の悦びなれば」
彼の前に突き刺さってる短剣に、大気が電光を伴ってそれに吸い込むように渦巻き、地面からもその脈動とともに禍々しいオーラが短剣へと流れていく。
「あとはラナ皇女…巫女も取り押さえれば完ぺきですが…」
ラナの方を見て、ふとその場にメルベがいないことに気付き、エリクは察する。
「なるほどアレを使うつもりなのですね。賢明な判断です」
「くっ!闇よ、蝕む炎虫と成して―――」
「させん!」
信者が呪文を唱えるよりも早く、ラナが矢の如く踏み込んでは、ミスリル製の皇家の剣エルドグラムを信者の喉へと深く突き刺さす。
「ぐあっ!」
そしてすかさず剣を引き抜き、その勢いに乗ったまま後方から切りかかる死霊兵の腕を切り落とし、更に素早く一回転してエルドグラムが光る軌跡を描いては腰の最も細い箇所から両断させた。
「クカカカカァッ!」
追撃してくる二体の死霊兵の交差攻撃っ。
「あまいっ!」
それさえも軽やかに身を翻して飛び離れ、瞬時に呪文を放った。
「光よ穿けっ、夜を切り裂く流星の如く――光矢!」
輝く燃える光の矢が二体の死霊兵だけでなく、その後ろから追いかける奴もろとも穿っては、瞬く間も無く死霊兵燃え崩れる。ラナは流麗な動きで着地し、すぐさま次の敵団体へと突っ込んでいく。
「だっ、だめだっ!やっぱ巫女様にかないやしねぇ!」
「おいっ!こっちも支援が必要だ!早くぐはぁっ!」
メルベの私兵達をあっさりと切り倒し、囚われた子供奴隷を解放するとウィルフレッドは次の奴隷達へと向かって電光の如く奔る。
「死霊兵!奴を止めろ!」
「カカカァッ!」
教団信者が命ずると数体の死霊兵が続々とウィルフレッドの前へと立ち塞がり、一斉に彼に襲い掛かる。だがそれも徒労だった。
「ふっ!」
一刀両断。ラナのような業物の剣を使ってる訳でもなく、彼の剣の一振りは死霊兵の体を容易く切断する。なまじタフさとパワーはあるものの、速さが常人並以下の死霊兵では、ウィルフレッドが旋風の如く交互に振り回す両手の剣を防げるはずもなく、次々とただの屍へと砕かれていく。
「なんだこいつはっ!?死霊兵を片手剣の一振りで倒すだなんてっ!」
「おのれっ――黒雷噛!」
信者が放つ黒き雷は、虚しく地面を撃つだけで、ウィルフレッドは既に施術者の目の前まで駆けていた。
「な…」
「どうやら貴様らに容赦はいらないな」
次の言葉を発することもなく、逆手持ちの剣で信者は切り裂かれた。
「ウィルくん伏せて!――光矢!」
ラナの警告とともにウィルフレッドが伏せると、ラナが打ち出した無数の光の矢が彼の後ろから迫る死霊兵《ドラーグル》の大群へと降り注ぎ、粉砕していく。
「ラナ!」
ウィルフレッドがラナに突進する。その意図を察した彼女は彼を飛び越えると、彼の双剣がラナの後ろまで攻めてきた死霊兵を紙のように易々と切り倒した。
「カカカカカッ!」
ラナが着地した瞬間、骨を鳴らして更に集まってくる死霊兵を二人は背中を合わせて迎撃する。まるで円を描くように、二人の剣舞が刃を躍らせた。ラナのマントが鮮やかに舞い、ウィルフレッドのコートが渋く翻る。
「おおぁっ!」「はあぁっ!」
まるで刃の結界の如き剣捌きで、二人を囲んだ死霊兵は嵐に巻き込まれたかのように切り倒され、他の固体が更に剣圧で弾かれて後退する。ラナ達はコンビネーションを組んで前進し、竜巻のごとく敵を圧倒していった。
「凄い…っ、凄いよ!兄貴もラナ様も!」
カイだけでない、レクスや他の敵味方どれもが、二人の力強く息の合った動きに目を奪われる。
(本当に凄いな。ウィルくんは元よりだけど、ラナ様もあの獅子姫と並ぶよう言われるだけのことはある。おまけに彼女の使ってる魔法、やっぱり他の魔法使いより数段強い気がする。それも彼女が太陽の巫女だからなのか?)
「うわあああん!パパぁ!パパはどこ!?」
「もう大丈夫よっ、早くこっちに!」
混乱の隙に逃げ出す子供達を後ろで避難している場所にエリネが誘導すると、先ほどカイが助けた男がその子供に抱きついた。
「マーサ!無事だったんだなマーサ!」
「パパぁ!」
それを見て自分のことのように安堵するエリネ。
(良かった…っ、さっきの方の娘さんは無事だったのね、お兄ちゃんに感謝しないと――)
ふとした、違和感。
ズシンッ!
エリネが異様な感覚を感じて直ぐに、突如大地が重く揺らいだ。
「な、なんだ今のはっ?」
「パパ怖いよぉ!」
「二人とも、すぐに騎士団のところへ避難を!」
「ああ、ありがとうっ!」
ズシンッ!
再度大地が重く揺れ、敵味方ともに動きを止めて状況を掴もうとした。
「なんなんだこの揺れは!?」
「お兄ちゃん!」
カイの元にエリネが駆けつける。
「あそこ!あの中からとてつもなく巨大な何かが地上に登って来ようとしてるわっ!」
「なんだって…っ」
カイやレクス達がエリネの指差す方向を見る。それは崖から発掘された古い遺跡群の入口の一つだった。
ズウゥンッ!
直ぐそこまで来ていると分かる程の震動が、背中を合わせて警戒するウィルフレッドとラナを震わせる。
「ラナっ」
「分かってるっ、警戒しろ!来るぞ!」
ドガァアアアッ!
遺跡の入口が内から爆ぜたように吹き飛ばされ、砂塵の中に巨大な何かの影が蠢いた。爆ぜた所から崖がさらに崩れ、窮屈そうな遺跡内部を潰しながらそれが這いでてきた。
「マジですか…っ!?」
レクスだけではない。それを見た全員が目を見張る。長い首と尻尾、随所骨が見えるほど腐っていてもその威圧感を損なわない巨躯と赤く鈍く光る鱗、深淵が宿るような目なき眼窩に、禍々しい音を鳴らす無数の牙。それがゴフゥッと瘴気を伴った真紅の炎を一息吐くと、ボロ雑巾のような翼を大きく広げては天高く吠え出し、その場全員の体の奥まで震わせた。
「屍竜…しかも赤炎竜の屍竜かっ!」
「はぁ~はははっ!そのとおりですラナ様!」
「メルベ!」
ラナ達が目を凝らすと、屍竜の頭の上にメルベが乗っており、その胸には、前にドハンが教団から貰ったものと同じ符が貼り付けられていた。
「こいつの死体はこの遺跡群の奥深くから発掘されたものでね。千年前の戦争で使われたもののようで、本来ならザナエル様に献上するつもりですが、巫女様相手に手加減はできませんので…っ」
メルベが笑顔を歪ませては符に念を込めて叫んだ。
「さあいきなさい!ラナ様を押さえ、他の奴らはこの際みな殺しです!皆殺しですっ!」
屍竜の吠え声が周りを震わせると、黒き瘴気を伴った真紅の炎を戦場に向かって吐き散らした。
「うわああっ!メルベ様ぁ!」
ほとばしる炎は騎士団のみならず、メルベの私兵達、一部奴隷さえも容赦なく飲み込み、燃え尽きた骨へと化していく。屍竜はそのまま戦場をなぎ払う勢いで炎を放射し続けた。
「くっ!」
ウィルフレッドとラナは炎を避けるよう急いで離れる。
「みんな!子供達をつれて後退するんだ!早く!」
レクス達もまた奴隷達を援護しながら後退していき、教団の信者達も死霊兵とともに一旦後ろに退避した。
「はははははぁっ!圧倒的ではないですかっ!さあもっと蹂躙するのです!」
屍竜はその刺々しい骨が突き出された腐った尻尾を振りまいて人々を吹き飛ばし、爛れた肉がついた骨の手を振るうと、その爪は鎧もろとも騎士達を引き裂き、猛威を振るいながら前進していく。
「くそっ!めちゃくちゃだよ!こんな相手にどう戦えっていうんだっ?!」
「お兄ちゃん、今はとにかく皆を後ろに退避させようっ!」
弓矢で屍竜を射てもまったく歯が立たず、カイは悔しそうにエリネに引張られては後退する。
「ラナ様!」
混乱を極めるなか、レクスがラナの傍へと駆けつける。
「ラナ様、いま助けた人々を連れて一旦退却しようっ。屍竜って普通、魔法隊やバリスタなどの大型装備がないと対処できない。加えて竜のなかで最も脅威的なブレスを吐く赤炎竜だ。このままではイタズラに死傷者を――」
「その必要はない」
「へっ?」
「レクス殿、呪文詠唱の時間が欲しい、君と騎士団で時間稼ぎをしてくれないか?」
「いやいや、呪文ってラナ様、いくら屍竜と言っても、竜の鱗は魔法が効きにくいし、今知られてる呪文のなかで竜を一撃で屠れる呪文なんてないんだよっ?」
「問題ない、任せろ」
ラナがレクスの目を直視する。確信を持った表情に、透き通った緑色の彼女の瞳が、物言えぬ力強い説得力をレクスに訴えていた。
「うっ…分かりましたよっ、やりゃいいんでしょっ」
レクスは駆け出し、騎士団を率いて抵抗しているマティに指示する。
「マティ!」
「レクス様!」
ジェスチャーを混じってレクスが叫んで伝える。
「かく乱だ!できるだけ奴をその場にとどまらせて!」
マティが頷く。
「5番隊!2番隊ついてきなさい!敵を牽制する!」
「よし!1番隊と3番隊は僕についてきて!」
レクス達の命令とともに騎士団が屍竜を囲むように移動し始めた。
「どこだラナっ!どこだあっ!」
屍竜の無差別攻撃で、今やメルベの私兵までもがその場から離れようと逃げ惑っていた。血眼でラナの姿をこの混乱から見つけようとするメルベめがけて、一本の槍が飛来した。
「うおおっ!?」
慌てて伏せてそれを避けるメルベが見ると、傍から槍を次々と投げてくるレクス達に気付く。
「惜しいっ!みんなっ、竜本体でなくその頭にいる奴を狙うんだ!奴を倒せば竜は沈静化するかもしれない!」
「くくくっ、悪くない策ですねカトンボ達!危うくやられるところでした!」
竜をレクス達に向かせて攻撃しようとするメルベだが、再び側面から弓矢の雨が降ってくる。
「ぬあっ!?」
再び伏せて攻撃の方向を向くと、マティ率いる騎士団が弓矢を浴びせてきた。
「おのれぇっ!うるさいハエどもめ!」
四方八方からのかく乱に、メルベは逆上気味で無闇に攻撃を繰り返しては、その場に留まることになった。
(よし、それで良い…っ)
竜が牽制されてるのを見て、ラナは目を閉じては呪文を唱え始め、大気が彼女を中心に渦巻き始め、広げた彼女の両手の間に小さく輝く光の玉が浮かんだ。
「天高き太陽の御座より集え光の精霊たち。あまねく万物を照らす汝らの恵みが我らの喜びなれば―――」
その様子を見たエリクは小さく笑む。
(あの呪文…面白いですね。見せてもらいましょう。女神の巫女の力が如何ほどのものか)
見張りたちが殆ど逃げ出した中、奴隷達の避難を誘導しているウィルフレッドは牽制されて暴れる屍竜を見る。
(あの竜という奴、倒すにはやはりアルマ化しかない。前みたいにどこか人目のつかないところで…)
ふとウィルフレッドは、同じく人々を誘導しているカイやエリネの方に顔を向いて彼らの安全を確認する。
「みんなっ、落ち着いて移動してっ!大丈夫っ!騎士団が安全なところまで案内するからっ!」
ガオオォオォォッ!
騎士団を攻撃する屍竜の一際大きい咆哮が鳴り響き、それに驚く一部子供達がパニックに陥って隊列から抜けだす。
「うわああもうやだよっ!」
「あっ!駄目!勝手に離れては危ない!」
身近な坑道へと逃げようとする子供達をエリネが追う。
「お、おいエリーっ!」
カイがエリネを呼ぶと同時に、騎士団を蹴散らそうとして空振りした屍竜の腕の一振りが地面から岩を削り上げ、それが坑道の真上へと直撃すると、崖が崩落してエリネ達へとくずれ落ちていく。
「! エリーっ!」
それを見たカイがエリネへと走っていく。
「カイッ!エリーッ!」
ウィルフレッドが疾走した。常人を遥かに超えたスピードで。周りの動きが緩やかに見えるなか、坑道前で子供達を、上方から怒涛と押し寄せる岩から守るようかばうエリネ、その間近まで走っては絶望的に手を伸ばすカイ。それら全員を、一陣の風と化したウィルフレッドが掴み――
スローモーションが解除されたように、崩落は無情にも彼らの姿もろとも坑道口を埋めていく。
「ウィル殿っ!」
それを目撃したアランが今や完全に埋められた坑道口へと駆けつける。岩の下敷きになったのかと思って岩をどかそうとも、装備なしではとてもできないと気付き、アランはただ虚しく叫んだ。
「カイくん!エリネくん!聞こえますか!?ウィル殿!ウィル殿ー!」
「レクス様!もうこれ以上牽制するのは無理です!」
マティは辛うじて竜の炎をかわして叫ぶ。回避に専念しても、竜の暴威のまえで徐々に負傷者が増えていくレクス達。
「分かってるよ!あともう少し!あともう少しだけ!」
「ふははははっ!小ざかしいマネをしおって!全員このまま――!?」
メルベだけでなく、レクス達も異変を察し、ラナの方向を見た。彼女の聖痕が眩く輝き、両手の間にある光球は、今や人の半分ほど大きく膨らんで、光の糸がまるで撚る様に光球へと渦巻いていく。
「――寄れ、撚れ、拠れ!形をなして槌となれ!汝の威光を矮小なる闇のものに示さんがために!」
ラナが光球を大きく上げると、それから激しい衝撃と爆風が吹き荒れ、さながら小さな太陽の如き眩い光と熱を発していた。爆風と衝撃に当てられたレクス達は思わず後ずさり、そしてメルベは直感的に理解した。あれは、とてつもなく危ない、危険、危険だ!今すぐ阻止しないと!
「貴様、ラナアアァアアッ!」
メルベが彼女へと突進する!
「受けよメルベッ!この一撃が、貴様ら邪神教団への開戦の狼煙だと知れ!」
ラナが叫び、大きく手を後ろに引くと、回りの全てが引き寄せられたように光球へと引張られていく!
「みんな退避してー!」
レクス達が急いで竜から離れる!
「光槌!」
光球が、爆ぜた。大地をも揺るがす爆音とともに。極限まで練り上げられた光の玉は、メルベに向かってかざしたラナの手から極太の光柱となり、全てを掻き分けては屍竜へと奔る。
「がああぁぁあっ!!!」
一瞬、周りの全てが光により覆われ、メルベの悲鳴と爆音が谷でコダマする。そして静寂だけが残った。
「……レクス様、無事ですか?」
「あ、うん、大丈夫、ありがとう。」
周りが静まったのを確認すると、とっさに自分をかばって地面に伏せていたマティとともに立ち上がるレクス。
「…これは、凄まじい…」
レクスは目の前の光景に驚嘆する。屍竜は右肩から体の胸にかけて、先ほどの一撃で爆散していた。首が辛うじて繋がっている状態のまま、屍竜の巨躯はゆっくりと傾き、重い音とともに倒れていた。
その光景に目を奪われて呆然と立ち尽くす騎士団や奴隷達。やがて歓喜に溢れた轟く歓声が、谷に響き渡った。
「…やった…やったぞ!ラナ様が!巫女様が竜を倒した!」「僕達を巫女様が助けてくれたんだ!わーい!」「巫女様万歳!」「巫女様ー!」
谷に吹く風にマントをなびかせて凛々しく立っているラナを、人々が高らかに称える。さながら勝利をもたらした女神を賛美するかのように。
「…ねえマティ、光槌ってここまでの威力を持った呪文だったの?」
「いえ…、光系最強の呪文ではありますが、打ち出す光束の太さはせいぜい人の掌目一杯開いたぐらいで、あのような…一人の身丈ほどで、竜の鱗もろとも爆ぜる力なんてないはずです」
「…これが…太陽の、女神の巫女の力、だというのかい…」
レクスはつい見とれる。人々に称えられて、埃まみれながらも毅然とした威容に満ちたラナの姿に。
【続く】
教団の信者の呪文により放たれた黒き炎が、まるで体に纏わり付く虫のように騎士の鎧を這っては蝕んでいく。
「う、うわあぁぁっ!」
騎士は慌ててそれを振り払おうとするも、炎は手を這って更に体全体に拡散していき、更に死霊兵が切りかかった。
「させるかよ!」
だがカイから連続で放たれた矢により阻まれ、死霊兵はカタカタと後退する。
「――清呪!」
エリネの放った呪文の青い輝きが、騎士に纏いつく黒い炎を消し去った。
「大丈夫ですかっ?」
「あ、ああ、助かったよっ」
二人に援護されて後退する騎士に、死霊兵と信者は追いかけようとするも、アランが立ちはだかる。
「あなた方の相手はこの私ですよっ」
信者は舌打ちして呪文で援護しようとするも、カイから再び放たれた弓矢により阻まれてさらに後退を余儀なくされた。そのお陰で死霊兵に専念できたアランが数回剣を交えると死霊兵の体に深く剣を切り込む。
「…ぬうっ!?」
だが剣が体に食い込んでも死霊兵は倒れず、寧ろそれを掴んでアランの行動を制限してそのまま斬りつけた。しかし次の瞬間、横から飛んできた槍が死霊兵の脳天を貫き、その動きが一瞬止まる。
「せいっ!」
その隙を突いてアランは死霊兵の頭を切り落とし、先ほど槍を投げたマティが駆けつけて更に残りの体躯に一撃を加えて、ようやく倒れこんだ。
「無事ですかアラン殿っ」
「かたじけないですマティ殿」
今や戦場は先ほどよりも混沌な様相を呈していた。死霊兵と教団信者にメルベの私兵達が、一部見張りに反発し始める奴隷と、混乱を隙に自分の子供や親に駆けつける奴隷、いまだ取り押さえられてる奴隷を解放する騎士団達と熾烈な戦いを繰り広げる。混乱極まるその戦場を岩場から見下ろしては、エリクは嬉しい笑みを浮かべていた。
「それで良いのです。存分に争いなさい。この感情の混沌こそが、邪神の悦びなれば」
彼の前に突き刺さってる短剣に、大気が電光を伴ってそれに吸い込むように渦巻き、地面からもその脈動とともに禍々しいオーラが短剣へと流れていく。
「あとはラナ皇女…巫女も取り押さえれば完ぺきですが…」
ラナの方を見て、ふとその場にメルベがいないことに気付き、エリクは察する。
「なるほどアレを使うつもりなのですね。賢明な判断です」
「くっ!闇よ、蝕む炎虫と成して―――」
「させん!」
信者が呪文を唱えるよりも早く、ラナが矢の如く踏み込んでは、ミスリル製の皇家の剣エルドグラムを信者の喉へと深く突き刺さす。
「ぐあっ!」
そしてすかさず剣を引き抜き、その勢いに乗ったまま後方から切りかかる死霊兵の腕を切り落とし、更に素早く一回転してエルドグラムが光る軌跡を描いては腰の最も細い箇所から両断させた。
「クカカカカァッ!」
追撃してくる二体の死霊兵の交差攻撃っ。
「あまいっ!」
それさえも軽やかに身を翻して飛び離れ、瞬時に呪文を放った。
「光よ穿けっ、夜を切り裂く流星の如く――光矢!」
輝く燃える光の矢が二体の死霊兵だけでなく、その後ろから追いかける奴もろとも穿っては、瞬く間も無く死霊兵燃え崩れる。ラナは流麗な動きで着地し、すぐさま次の敵団体へと突っ込んでいく。
「だっ、だめだっ!やっぱ巫女様にかないやしねぇ!」
「おいっ!こっちも支援が必要だ!早くぐはぁっ!」
メルベの私兵達をあっさりと切り倒し、囚われた子供奴隷を解放するとウィルフレッドは次の奴隷達へと向かって電光の如く奔る。
「死霊兵!奴を止めろ!」
「カカカァッ!」
教団信者が命ずると数体の死霊兵が続々とウィルフレッドの前へと立ち塞がり、一斉に彼に襲い掛かる。だがそれも徒労だった。
「ふっ!」
一刀両断。ラナのような業物の剣を使ってる訳でもなく、彼の剣の一振りは死霊兵の体を容易く切断する。なまじタフさとパワーはあるものの、速さが常人並以下の死霊兵では、ウィルフレッドが旋風の如く交互に振り回す両手の剣を防げるはずもなく、次々とただの屍へと砕かれていく。
「なんだこいつはっ!?死霊兵を片手剣の一振りで倒すだなんてっ!」
「おのれっ――黒雷噛!」
信者が放つ黒き雷は、虚しく地面を撃つだけで、ウィルフレッドは既に施術者の目の前まで駆けていた。
「な…」
「どうやら貴様らに容赦はいらないな」
次の言葉を発することもなく、逆手持ちの剣で信者は切り裂かれた。
「ウィルくん伏せて!――光矢!」
ラナの警告とともにウィルフレッドが伏せると、ラナが打ち出した無数の光の矢が彼の後ろから迫る死霊兵《ドラーグル》の大群へと降り注ぎ、粉砕していく。
「ラナ!」
ウィルフレッドがラナに突進する。その意図を察した彼女は彼を飛び越えると、彼の双剣がラナの後ろまで攻めてきた死霊兵を紙のように易々と切り倒した。
「カカカカカッ!」
ラナが着地した瞬間、骨を鳴らして更に集まってくる死霊兵を二人は背中を合わせて迎撃する。まるで円を描くように、二人の剣舞が刃を躍らせた。ラナのマントが鮮やかに舞い、ウィルフレッドのコートが渋く翻る。
「おおぁっ!」「はあぁっ!」
まるで刃の結界の如き剣捌きで、二人を囲んだ死霊兵は嵐に巻き込まれたかのように切り倒され、他の固体が更に剣圧で弾かれて後退する。ラナ達はコンビネーションを組んで前進し、竜巻のごとく敵を圧倒していった。
「凄い…っ、凄いよ!兄貴もラナ様も!」
カイだけでない、レクスや他の敵味方どれもが、二人の力強く息の合った動きに目を奪われる。
(本当に凄いな。ウィルくんは元よりだけど、ラナ様もあの獅子姫と並ぶよう言われるだけのことはある。おまけに彼女の使ってる魔法、やっぱり他の魔法使いより数段強い気がする。それも彼女が太陽の巫女だからなのか?)
「うわあああん!パパぁ!パパはどこ!?」
「もう大丈夫よっ、早くこっちに!」
混乱の隙に逃げ出す子供達を後ろで避難している場所にエリネが誘導すると、先ほどカイが助けた男がその子供に抱きついた。
「マーサ!無事だったんだなマーサ!」
「パパぁ!」
それを見て自分のことのように安堵するエリネ。
(良かった…っ、さっきの方の娘さんは無事だったのね、お兄ちゃんに感謝しないと――)
ふとした、違和感。
ズシンッ!
エリネが異様な感覚を感じて直ぐに、突如大地が重く揺らいだ。
「な、なんだ今のはっ?」
「パパ怖いよぉ!」
「二人とも、すぐに騎士団のところへ避難を!」
「ああ、ありがとうっ!」
ズシンッ!
再度大地が重く揺れ、敵味方ともに動きを止めて状況を掴もうとした。
「なんなんだこの揺れは!?」
「お兄ちゃん!」
カイの元にエリネが駆けつける。
「あそこ!あの中からとてつもなく巨大な何かが地上に登って来ようとしてるわっ!」
「なんだって…っ」
カイやレクス達がエリネの指差す方向を見る。それは崖から発掘された古い遺跡群の入口の一つだった。
ズウゥンッ!
直ぐそこまで来ていると分かる程の震動が、背中を合わせて警戒するウィルフレッドとラナを震わせる。
「ラナっ」
「分かってるっ、警戒しろ!来るぞ!」
ドガァアアアッ!
遺跡の入口が内から爆ぜたように吹き飛ばされ、砂塵の中に巨大な何かの影が蠢いた。爆ぜた所から崖がさらに崩れ、窮屈そうな遺跡内部を潰しながらそれが這いでてきた。
「マジですか…っ!?」
レクスだけではない。それを見た全員が目を見張る。長い首と尻尾、随所骨が見えるほど腐っていてもその威圧感を損なわない巨躯と赤く鈍く光る鱗、深淵が宿るような目なき眼窩に、禍々しい音を鳴らす無数の牙。それがゴフゥッと瘴気を伴った真紅の炎を一息吐くと、ボロ雑巾のような翼を大きく広げては天高く吠え出し、その場全員の体の奥まで震わせた。
「屍竜…しかも赤炎竜の屍竜かっ!」
「はぁ~はははっ!そのとおりですラナ様!」
「メルベ!」
ラナ達が目を凝らすと、屍竜の頭の上にメルベが乗っており、その胸には、前にドハンが教団から貰ったものと同じ符が貼り付けられていた。
「こいつの死体はこの遺跡群の奥深くから発掘されたものでね。千年前の戦争で使われたもののようで、本来ならザナエル様に献上するつもりですが、巫女様相手に手加減はできませんので…っ」
メルベが笑顔を歪ませては符に念を込めて叫んだ。
「さあいきなさい!ラナ様を押さえ、他の奴らはこの際みな殺しです!皆殺しですっ!」
屍竜の吠え声が周りを震わせると、黒き瘴気を伴った真紅の炎を戦場に向かって吐き散らした。
「うわああっ!メルベ様ぁ!」
ほとばしる炎は騎士団のみならず、メルベの私兵達、一部奴隷さえも容赦なく飲み込み、燃え尽きた骨へと化していく。屍竜はそのまま戦場をなぎ払う勢いで炎を放射し続けた。
「くっ!」
ウィルフレッドとラナは炎を避けるよう急いで離れる。
「みんな!子供達をつれて後退するんだ!早く!」
レクス達もまた奴隷達を援護しながら後退していき、教団の信者達も死霊兵とともに一旦後ろに退避した。
「はははははぁっ!圧倒的ではないですかっ!さあもっと蹂躙するのです!」
屍竜はその刺々しい骨が突き出された腐った尻尾を振りまいて人々を吹き飛ばし、爛れた肉がついた骨の手を振るうと、その爪は鎧もろとも騎士達を引き裂き、猛威を振るいながら前進していく。
「くそっ!めちゃくちゃだよ!こんな相手にどう戦えっていうんだっ?!」
「お兄ちゃん、今はとにかく皆を後ろに退避させようっ!」
弓矢で屍竜を射てもまったく歯が立たず、カイは悔しそうにエリネに引張られては後退する。
「ラナ様!」
混乱を極めるなか、レクスがラナの傍へと駆けつける。
「ラナ様、いま助けた人々を連れて一旦退却しようっ。屍竜って普通、魔法隊やバリスタなどの大型装備がないと対処できない。加えて竜のなかで最も脅威的なブレスを吐く赤炎竜だ。このままではイタズラに死傷者を――」
「その必要はない」
「へっ?」
「レクス殿、呪文詠唱の時間が欲しい、君と騎士団で時間稼ぎをしてくれないか?」
「いやいや、呪文ってラナ様、いくら屍竜と言っても、竜の鱗は魔法が効きにくいし、今知られてる呪文のなかで竜を一撃で屠れる呪文なんてないんだよっ?」
「問題ない、任せろ」
ラナがレクスの目を直視する。確信を持った表情に、透き通った緑色の彼女の瞳が、物言えぬ力強い説得力をレクスに訴えていた。
「うっ…分かりましたよっ、やりゃいいんでしょっ」
レクスは駆け出し、騎士団を率いて抵抗しているマティに指示する。
「マティ!」
「レクス様!」
ジェスチャーを混じってレクスが叫んで伝える。
「かく乱だ!できるだけ奴をその場にとどまらせて!」
マティが頷く。
「5番隊!2番隊ついてきなさい!敵を牽制する!」
「よし!1番隊と3番隊は僕についてきて!」
レクス達の命令とともに騎士団が屍竜を囲むように移動し始めた。
「どこだラナっ!どこだあっ!」
屍竜の無差別攻撃で、今やメルベの私兵までもがその場から離れようと逃げ惑っていた。血眼でラナの姿をこの混乱から見つけようとするメルベめがけて、一本の槍が飛来した。
「うおおっ!?」
慌てて伏せてそれを避けるメルベが見ると、傍から槍を次々と投げてくるレクス達に気付く。
「惜しいっ!みんなっ、竜本体でなくその頭にいる奴を狙うんだ!奴を倒せば竜は沈静化するかもしれない!」
「くくくっ、悪くない策ですねカトンボ達!危うくやられるところでした!」
竜をレクス達に向かせて攻撃しようとするメルベだが、再び側面から弓矢の雨が降ってくる。
「ぬあっ!?」
再び伏せて攻撃の方向を向くと、マティ率いる騎士団が弓矢を浴びせてきた。
「おのれぇっ!うるさいハエどもめ!」
四方八方からのかく乱に、メルベは逆上気味で無闇に攻撃を繰り返しては、その場に留まることになった。
(よし、それで良い…っ)
竜が牽制されてるのを見て、ラナは目を閉じては呪文を唱え始め、大気が彼女を中心に渦巻き始め、広げた彼女の両手の間に小さく輝く光の玉が浮かんだ。
「天高き太陽の御座より集え光の精霊たち。あまねく万物を照らす汝らの恵みが我らの喜びなれば―――」
その様子を見たエリクは小さく笑む。
(あの呪文…面白いですね。見せてもらいましょう。女神の巫女の力が如何ほどのものか)
見張りたちが殆ど逃げ出した中、奴隷達の避難を誘導しているウィルフレッドは牽制されて暴れる屍竜を見る。
(あの竜という奴、倒すにはやはりアルマ化しかない。前みたいにどこか人目のつかないところで…)
ふとウィルフレッドは、同じく人々を誘導しているカイやエリネの方に顔を向いて彼らの安全を確認する。
「みんなっ、落ち着いて移動してっ!大丈夫っ!騎士団が安全なところまで案内するからっ!」
ガオオォオォォッ!
騎士団を攻撃する屍竜の一際大きい咆哮が鳴り響き、それに驚く一部子供達がパニックに陥って隊列から抜けだす。
「うわああもうやだよっ!」
「あっ!駄目!勝手に離れては危ない!」
身近な坑道へと逃げようとする子供達をエリネが追う。
「お、おいエリーっ!」
カイがエリネを呼ぶと同時に、騎士団を蹴散らそうとして空振りした屍竜の腕の一振りが地面から岩を削り上げ、それが坑道の真上へと直撃すると、崖が崩落してエリネ達へとくずれ落ちていく。
「! エリーっ!」
それを見たカイがエリネへと走っていく。
「カイッ!エリーッ!」
ウィルフレッドが疾走した。常人を遥かに超えたスピードで。周りの動きが緩やかに見えるなか、坑道前で子供達を、上方から怒涛と押し寄せる岩から守るようかばうエリネ、その間近まで走っては絶望的に手を伸ばすカイ。それら全員を、一陣の風と化したウィルフレッドが掴み――
スローモーションが解除されたように、崩落は無情にも彼らの姿もろとも坑道口を埋めていく。
「ウィル殿っ!」
それを目撃したアランが今や完全に埋められた坑道口へと駆けつける。岩の下敷きになったのかと思って岩をどかそうとも、装備なしではとてもできないと気付き、アランはただ虚しく叫んだ。
「カイくん!エリネくん!聞こえますか!?ウィル殿!ウィル殿ー!」
「レクス様!もうこれ以上牽制するのは無理です!」
マティは辛うじて竜の炎をかわして叫ぶ。回避に専念しても、竜の暴威のまえで徐々に負傷者が増えていくレクス達。
「分かってるよ!あともう少し!あともう少しだけ!」
「ふははははっ!小ざかしいマネをしおって!全員このまま――!?」
メルベだけでなく、レクス達も異変を察し、ラナの方向を見た。彼女の聖痕が眩く輝き、両手の間にある光球は、今や人の半分ほど大きく膨らんで、光の糸がまるで撚る様に光球へと渦巻いていく。
「――寄れ、撚れ、拠れ!形をなして槌となれ!汝の威光を矮小なる闇のものに示さんがために!」
ラナが光球を大きく上げると、それから激しい衝撃と爆風が吹き荒れ、さながら小さな太陽の如き眩い光と熱を発していた。爆風と衝撃に当てられたレクス達は思わず後ずさり、そしてメルベは直感的に理解した。あれは、とてつもなく危ない、危険、危険だ!今すぐ阻止しないと!
「貴様、ラナアアァアアッ!」
メルベが彼女へと突進する!
「受けよメルベッ!この一撃が、貴様ら邪神教団への開戦の狼煙だと知れ!」
ラナが叫び、大きく手を後ろに引くと、回りの全てが引き寄せられたように光球へと引張られていく!
「みんな退避してー!」
レクス達が急いで竜から離れる!
「光槌!」
光球が、爆ぜた。大地をも揺るがす爆音とともに。極限まで練り上げられた光の玉は、メルベに向かってかざしたラナの手から極太の光柱となり、全てを掻き分けては屍竜へと奔る。
「がああぁぁあっ!!!」
一瞬、周りの全てが光により覆われ、メルベの悲鳴と爆音が谷でコダマする。そして静寂だけが残った。
「……レクス様、無事ですか?」
「あ、うん、大丈夫、ありがとう。」
周りが静まったのを確認すると、とっさに自分をかばって地面に伏せていたマティとともに立ち上がるレクス。
「…これは、凄まじい…」
レクスは目の前の光景に驚嘆する。屍竜は右肩から体の胸にかけて、先ほどの一撃で爆散していた。首が辛うじて繋がっている状態のまま、屍竜の巨躯はゆっくりと傾き、重い音とともに倒れていた。
その光景に目を奪われて呆然と立ち尽くす騎士団や奴隷達。やがて歓喜に溢れた轟く歓声が、谷に響き渡った。
「…やった…やったぞ!ラナ様が!巫女様が竜を倒した!」「僕達を巫女様が助けてくれたんだ!わーい!」「巫女様万歳!」「巫女様ー!」
谷に吹く風にマントをなびかせて凛々しく立っているラナを、人々が高らかに称える。さながら勝利をもたらした女神を賛美するかのように。
「…ねえマティ、光槌ってここまでの威力を持った呪文だったの?」
「いえ…、光系最強の呪文ではありますが、打ち出す光束の太さはせいぜい人の掌目一杯開いたぐらいで、あのような…一人の身丈ほどで、竜の鱗もろとも爆ぜる力なんてないはずです」
「…これが…太陽の、女神の巫女の力、だというのかい…」
レクスはつい見とれる。人々に称えられて、埃まみれながらも毅然とした威容に満ちたラナの姿に。
【続く】
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