【R18】後輩エースの淫らな罠〜VRで募集したセフレは会社の後輩のエリート営業でした

大江戸ウメコ

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ふたりの気持ち(2)

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 メールのチェックと返信、急ぎでやるべき業務を終えると、休憩のため鈴は席を立って自販機へと向かった。お金を入れて、いつも飲んでいるホットミルクティのボタンを押そうとすると、後ろから伸びてきた手に、先にボタンを押されてしまう。
 ガコンとミルクティが受け口に落ちて、鈴は後ろを振り返る。

「これで間違いないですよね、先輩?」

 自販機からミルクティを取り出しながら、そう言ったのは梶川だった。
 買おうとしていたのは彼がボタンを押したミルクティなのだが、勝手に買われては文句を言いたくなる。

「勝手に押さないでよ」
「すみません」

 まるで反省していない顔で、彼は鈴に缶を手渡す――かと思いきや、鈴が受け取る直前で、おあずけをするように缶を持ち上げた。

「ちょっと」
「先輩。さっき、遊間先輩と何を話してたんですか?」
「遊間先輩?」

 問いかけられて、今朝の話だと認識する。
 梶川は鈴と離れたデスクにいたはずなのに、よく見ているものだ。

「特別な話はしてないよ。飲みに誘われただけ」
「ふぅん。……で、断ったんですよね?」
「行くつもりだけど?」

 鈴が返答すると、梶川は驚いたように目を見開いた。

「は? なんで行くんですか?」
「いや、なんでもなにも、先輩に誘われたんだよ?」
「御影先輩は、そんなの気にする人じゃないですよね。誰に誘われようが一刀両断するのが御影先輩でしょ?」
「私をなんだと思ってるのよ」

 確かに鈴は付き合いが悪いが、まさか梶川にまでそんな人間だと認識されていたとは。
 これはやはり、他人との付き合い方を変える必要がある。

「まさか、遊間先輩と二人きりじゃあないですよね」
「さあ、どうだろう。他の人間を誘うとは言っていなかったけど」
「先輩、もうちょっと警戒してくださいよ」
「警戒って、遊間先輩を?」

 あまりに意外なことを言われて、鈴は目を瞬いた。
 もし飲みに行くのが二人きりだったとしても、遊間と鈴がどうにかなるなんて想像できない。
 鈴はそう思ったのだけれど、梶川は怖いくらい真剣な目で鈴を見下ろしていた。

「梶川くん、まさか、怒ってる?」
「そうですね、怒ってるのかもしれません。俺にそんな資格なんかないって、知ってますけど」

 掠れるような声でそう言われて、鈴の心が揺れた。

「梶川く……っ、んんんっ!」

 名前を呼ぼうとしたら、自販機に身体を押し付けるようにして、いきなり唇を奪われる。
 まさか会社でこんなことをされると思わず、鈴は慌てて彼の身体を押しのける。

「っ、んむっ…………梶川くん、なにするの!」

 文句を言いながら、鈴は周囲を確認した。
 他に人はおらず、誰かに見られた気配もない。鈴はほっと息を吐く。

「ここは会社だよ!」
「知ってますよ」
「だったらなおさら性質が悪い。誰かに見られたらどうするのよ」
「良いじゃないですか、見せつけたら。先輩は俺のモノだって、みんなに公表しちゃいましょうよ」

 梶川は自販機に手をついたまま、鈴の太ももに膝を差し込んできた。
 こんな密着したところを誰かに見られては、何を言われるか分からない。

「ふざけるのは止めて。そもそも、今は業務時間だよ。公私の区別はつけなさい、馬鹿!」

 鈴は思い切り梶川を突き飛ばして、慌てて自分のデスクへと戻った。
 すぐに追ってくるかと思ったが、梶川はなかなか戻ってこない。

(……くそ。まだ、心臓が煩い)

 あんな風に、会社で迫られるなんて思っても見なかった。
 今から、どんな顔をして仕事をすればいいのだ。
 身体の奥で燻った熱を消したくて、何度も唇を手で擦っていると、ようやくオフィスに梶川が戻ってきた。
 自分の席に戻るかと思いきや、彼はいつも通りの笑顔で鈴のデスクに歩いてくる。

「な、何の用?」
「御影先輩、こーれ、忘れてましたよ」

 さっきのことなんて無かったみたいな顔で、梶川は鈴のデスクにミルクティの缶を置く。
 ミルクティのことなどすっかり頭から消えていた鈴は、デスクに置かれた缶を見て複雑な顔をした。

「ありがとう」
「いーえ、どういたしまして。それじゃあ」

 休憩室でみせた顔が嘘みたいに、あっさりと自分の席に戻っていく梶川の背中を見送って、鈴はミルクティのプルトップを押す。
 少し温くなったミルクティは、いつもよりもなんだか苦く感じた。
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