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恋人のように(5)
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ふたりで縺れるようにベッドに倒れ込み、それでも梶川は鈴を抱きしめたまま離さない。
余韻で意識が混濁する身体に、何度もキスを落とされて、鈴はそのあまりの甘さに白旗をあげた。
「梶川くんは、本当に私が好きなの?」
「まだ分からないなら、もう一度身体に教えてさしあげますが」
「わ、分かった! それはもう、身に染みて分かったから!」
このまま二ラウンド目に突入しそうだった梶川を、鈴は慌てて止める。
先ほどのように、また教え込まれてしまってはたまらない。
「……つまり、私とセフレではなく恋人になりたいと思っている?」
「そうですね。俺はこのままセフレで終わるつもりはありません」
梶川はそういと、またしても鈴の唇に軽く触れる。
梶川にキスをされながら、鈴はいったいどうしてこうなったのかと混乱した。
自分には、一生恋人などできないだろうと思っていたのに、あろうことか、会社一番のモテ男に求愛されてしまうなんて。
「先輩。俺の彼女になってくれますか?」
「か……考えさせて」
鈴はどうにかそう返事をするので精一杯だった。
これは一生に一度しかない大チャンスかもしれない。けれども、何も考えず彼の申し出を受けるには、梶川は良い男過ぎた。
鈴が色よい返事をしなかったというのに、梶川は余裕ありげに笑う。
「わかりました。今はその返事でかまいませんよ。そのうちちゃんと俺を好きだって思わせてみせますから」
「すごい自信だね」
「先輩のことは、身体から落とすって決めましたから。実際、上手くいってると思うんですよね。先輩、俺とのセックス、好きでしょ?」
「……嫌いじゃないけど」
「素直じゃないなぁ。今日ちゃんと、ルームに来てくれたってことは、脈アリってことですから」
梶川はそう言って笑うと、鈴に顔を寄せてチュッと頬にキスをした。
「それじゃあ先輩、また明日、会社で」
梶川はそういって、ルームからログアウトしていった。
鈴は大きく息を吐き出すと、手で頬を仰いで顔に上った熱を覚ました。
(そのうちちゃんと、好きだって思わせる?……もうとっくに手遅れだよ)
目をつぶると、梶川の顔がすぐに浮かんだ。
自分とは全然違う人種の人間で、とてもじゃないが、恋愛対象になんてなりえないと思っていたのに。
梶川が好きを好きだと知って、こんなにも嬉しいなんて。
顔に上った熱を冷まそうと、鈴は近くにあった枕に顔を突っ込んだが、一向に熱は冷めそうになかった。
余韻で意識が混濁する身体に、何度もキスを落とされて、鈴はそのあまりの甘さに白旗をあげた。
「梶川くんは、本当に私が好きなの?」
「まだ分からないなら、もう一度身体に教えてさしあげますが」
「わ、分かった! それはもう、身に染みて分かったから!」
このまま二ラウンド目に突入しそうだった梶川を、鈴は慌てて止める。
先ほどのように、また教え込まれてしまってはたまらない。
「……つまり、私とセフレではなく恋人になりたいと思っている?」
「そうですね。俺はこのままセフレで終わるつもりはありません」
梶川はそういと、またしても鈴の唇に軽く触れる。
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「すごい自信だね」
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「……嫌いじゃないけど」
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「それじゃあ先輩、また明日、会社で」
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