【R18】後輩エースの淫らな罠〜VRで募集したセフレは会社の後輩のエリート営業でした

大江戸ウメコ

文字の大きさ
上 下
4 / 28

マッチング(4)

しおりを挟む
 鈴は購入したばかりのVRマシンを電源に繋ぐ。説明書を見ながら起動して、ネットに繋いでから、ベッドに横になった状態でゴツゴツとしたヘッドギアを頭にかぶった。

 アバターは初期設定ではリアルの自分と同じ容姿になるよう設定されている。説明書によると、そこから好きなように容姿を変えることができるようだ。けれども慣れない鈴にはアバターの設定が難しく、とりあえず簡単に目の色、髪の色、髪の長さを変えて雰囲気だけは変えることにした。顔立ちはほとんど現実の鈴のままであるが、街ですれ違っても鈴だとは分からないだろうという程度に雰囲気を変えてから、コータと待ち合わせをしたプライベートルームにアクセスをした。

 プライベートルームというのは、VR上でチャットを行う部屋の総称で、ルームの設定は屋外から室内まで自由に変更できる。VRに慣れているらしいコータに設定は任せていたので、鈴は部屋にアクセスするだけだった。

 プライベートルームのアドレスとパスワードを入れると、ブォンという電子音が鳴って鈴の視界が切り替わる。次に鈴が立っていたのは、高級ホテルのスイートルームような部屋だった。部屋の中央に大きなベッドがあって、隣には革張りのソファーとアンティーク調のローテーブルが置かれている。壁にはさりげなく絵画が飾られていて、全体的に高級感のある部屋だった。
 そのソファーに座り、優雅にコーヒーカップを傾けている男がいた。

「こんにちは。来てくださったんですね、RINさん」
「コータさん?」
「はい。僕がコータです。よろしくお願いします」

 鈴の姿を確認して、コータはカップを置いて笑顔を向けた。彼はアバターらしく、銀色の髪に緑の目と日本人らしからぬ容姿をしていた。どう見ても自然な配色ではないのに、本当の人間にしか見えないあたり、技術の高さに鈴は唸る。

 もちろん、鈴とコータは初対面である。けれども彼が浮かべる人懐っこい笑みに、鈴はどこかでみたような既視感を覚えた。

「RINさん、座って下さい。あ、何か飲み物用意しますね」
「VRなのに飲めるんですか?」
「脳に特殊な刺激を送って、五感の再現ができるんですよ。食事だってできますが、栄養にならないしお腹にも溜まらないので、ちゃんと夕食は別に取って下さいね」

 コータはそう言うと、環境設定を弄っているのか宙をとトントンと指で叩き始めた。すると、ヴゥンと電子音が鳴って、ローテーブルの上に新しいカップが現れる。

「ミルクティにしてみました。お好きですか?」
「ありがとう」

 鈴は短くお礼を言って彼の隣に腰かけた。ソファーの座り心地はよく、心地よい弾力を返してくる。こういうところまで本当にリアルなのだと鈴は感心した。

 鈴の好物はミルクティだった。会社での休憩時間には、いつも好んでミルクティばかりを飲んでいる。花の模様が美しいカップを持ち上げて口をつけると、程よい甘さで好みの味がした。ふんわりと香る茶葉の匂いも品が良い。

「美味しい」
「だと思いました」
「だと思った?」
「いえ、女性ってミルクティが好きな人、多いじゃないですか」

 そうだろうか。偏見ではないかと鈴は首をかしげたが、あえて口を挟むものでもないと黙ってカップを傾けた。もしかしたら、過去につき合った女性がミルクティ好きだったのかもしれない。

「ずいぶん、慣れてるんですね」
「え、何がですか?」
「女性の扱いが上手いと思って」

 嫌味のような言葉が口から零れてしまい、しまったと鈴は顔を顰める。こういう言い方をするから人から倦厭されるのだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

カタブツ上司の溺愛本能

加地アヤメ
恋愛
社内一の美人と噂されながらも、性格は至って地味な二十八歳のOL・珠海。これまで、外国人の父に似た目立つ容姿のせいで、散々な目に遭ってきた彼女にとって、トラブルに直結しやすい恋愛は一番の面倒事。極力関わらず避けまくってきた結果、お付き合いはおろか結婚のけの字も見えないおひとり様生活を送っていた。ところがある日、難攻不落な上司・斎賀に恋をしてしまう。一筋縄ではいかない恋に頭を抱える珠海だけれど、破壊力たっぷりな無自覚アプローチが、クールな堅物イケメンの溺愛本能を刺激して……!? 愛さずにはいられない――甘きゅんオフィス・ラブ!

一夜限りのお相手は

栗原さとみ
恋愛
私は大学3年の倉持ひより。サークルにも属さず、いたって地味にキャンパスライフを送っている。大学の図書館で一人読書をしたり、好きな写真のスタジオでバイトをして過ごす毎日だ。ある日、アニメサークルに入っている友達の亜美に頼みごとを懇願されて、私はそれを引き受けてしまう。その事がきっかけで思いがけない人と思わぬ展開に……。『その人』は、私が尊敬する写真家で憧れの人だった。R5.1月

肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです

沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!

なし崩しの夜

春密まつり
恋愛
朝起きると栞は見知らぬベッドの上にいた。 さらに、隣には嫌いな男、悠介が眠っていた。 彼は昨晩、栞と抱き合ったと告げる。 信じられない、嘘だと責める栞に彼は不敵に微笑み、オフィスにも関わらず身体を求めてくる。 つい流されそうになるが、栞は覚悟を決めて彼を試すことにした。

禁断溺愛

流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。

そんな目で見ないで。

春密まつり
恋愛
職場の廊下で呼び止められ、無口な後輩の司に告白をされた真子。 勢いのまま承諾するが、口数の少ない彼との距離がなかなか縮まらない。 そのくせ、キスをする時は情熱的だった。 司の知らない一面を知ることによって惹かれ始め、身体を重ねるが、司の熱のこもった視線に真子は混乱し、怖くなった。 それから身体を重ねることを拒否し続けるが――。 ▼2019年2月発行のオリジナルTL小説のWEB再録です。 ▼全8話の短編連載 ▼Rシーンが含まれる話には「*」マークをつけています。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

処理中です...