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第3部.リムウル 第2章
7.戦い
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ギメリックは素早くアイリーンを自分の後ろに押しやった。
呪文を叫んで切るように手を振る。
白い光が流線型を描いて飛んだ。
幻獣の触手が粉々に砕け散る。
アイリーンはギメリックの後ろから横に回り、彼の腕をつかんで伸び上がるようにして彼を見上げた。
「その呪文を教えて! 私も戦うわ!」
“よせ! まだ早い、二重の意味で……”
ギメリックが心話を使ったので、敵に聞かれてはまずいのだろうと気づき、アイリーンも心話に切り替えた。
“どういうこと?”
“呪文の威力は強大だ。不慣れな者が使えば負担が大きい。
それに、こんなに近くでお前が呪文の魔法を使えば、石が反応するかもしれない。
お前の魔力は不安定で、俺にも予測がつかないが……
石の主はこの世で最も力ある魔法使い、その魔力の気配は俺の結界を破ってしまうだろう。
まだ狂王に知られていない可能性があるのに、お前の存在と石の在処を漏らすわけにはいかないんだ。
頼むから引っ込んでいろ!”
“……私に魔力の使い方を教えてくれなかったのは、そのせいなの?”
幻獣が突進してきた。ギメリックは迎え撃つ形で前に出る。
恐ろしい牙をガチガチと鳴らし、幻獣はギメリックに襲いかかった。
「きゃぁぁっ!!」
幻獣の巨体がギメリックに覆いかぶさって行くのを見てアイリーンは悲鳴を上げた。
幻獣の牙が彼の体を突き破り、赤く染まっている。
同時に、触手が伸びてきてアイリーンの体に絡み付こうとした。
“しっかりしろ! ただのまやかしだ!”
ギメリックの声が頭に響き、今にも届きそうだった幻獣の触手が消えてなくなる。
「えっ?!」
気がつくと、何事もなかったかのように平然と目の前に立つ、ギメリックの後ろ姿があった。
すでに彼に倒されたのか、幻獣の姿はどこにもない。
“精神攻撃に惑わされるな。結界を張って、魔力の視覚で周りを見ろ。
……しかしどうやら、使える幻獣の数が尽きたらしいな。そういうことなら……”
ギメリックは落ち着いた様子で、周りを見渡した。
アイリーンにも、ギメリックが言った通り、自分たちが宿の部屋の中にいることが見て取れた。
微妙に目の前に黒い霞がかかったようではあったが、なんとか周りの様子が見えるようになっていた。
部屋の中にはアイリーンとギメリック以外、誰もいない。
しかしアイリーンは、ドアの向こうでこちらをうかがっている複数の人間の気配を感じ取った。
“ここで戦いを続けては、無関係の者まで巻き込んでしまう。出るぞ!”
そう言うとギメリックは、呪文を唱えながら戸口の方に向かって手を突き出した。
光の球が飛んでゆき、閉まっているドアの向こうへと吸い込まれるように消える。
“わっ……”
悲鳴が上がる気配がした。
と同時に、ギメリックは素早く身を翻すと窓に駆け寄った。
その途中で腕をつかまれ、アイリーンは転びそうになりながらもかろうじて彼について走った。
“降りるぞ! つかまれ!!”
呪文を叫んで切るように手を振る。
白い光が流線型を描いて飛んだ。
幻獣の触手が粉々に砕け散る。
アイリーンはギメリックの後ろから横に回り、彼の腕をつかんで伸び上がるようにして彼を見上げた。
「その呪文を教えて! 私も戦うわ!」
“よせ! まだ早い、二重の意味で……”
ギメリックが心話を使ったので、敵に聞かれてはまずいのだろうと気づき、アイリーンも心話に切り替えた。
“どういうこと?”
“呪文の威力は強大だ。不慣れな者が使えば負担が大きい。
それに、こんなに近くでお前が呪文の魔法を使えば、石が反応するかもしれない。
お前の魔力は不安定で、俺にも予測がつかないが……
石の主はこの世で最も力ある魔法使い、その魔力の気配は俺の結界を破ってしまうだろう。
まだ狂王に知られていない可能性があるのに、お前の存在と石の在処を漏らすわけにはいかないんだ。
頼むから引っ込んでいろ!”
“……私に魔力の使い方を教えてくれなかったのは、そのせいなの?”
幻獣が突進してきた。ギメリックは迎え撃つ形で前に出る。
恐ろしい牙をガチガチと鳴らし、幻獣はギメリックに襲いかかった。
「きゃぁぁっ!!」
幻獣の巨体がギメリックに覆いかぶさって行くのを見てアイリーンは悲鳴を上げた。
幻獣の牙が彼の体を突き破り、赤く染まっている。
同時に、触手が伸びてきてアイリーンの体に絡み付こうとした。
“しっかりしろ! ただのまやかしだ!”
ギメリックの声が頭に響き、今にも届きそうだった幻獣の触手が消えてなくなる。
「えっ?!」
気がつくと、何事もなかったかのように平然と目の前に立つ、ギメリックの後ろ姿があった。
すでに彼に倒されたのか、幻獣の姿はどこにもない。
“精神攻撃に惑わされるな。結界を張って、魔力の視覚で周りを見ろ。
……しかしどうやら、使える幻獣の数が尽きたらしいな。そういうことなら……”
ギメリックは落ち着いた様子で、周りを見渡した。
アイリーンにも、ギメリックが言った通り、自分たちが宿の部屋の中にいることが見て取れた。
微妙に目の前に黒い霞がかかったようではあったが、なんとか周りの様子が見えるようになっていた。
部屋の中にはアイリーンとギメリック以外、誰もいない。
しかしアイリーンは、ドアの向こうでこちらをうかがっている複数の人間の気配を感じ取った。
“ここで戦いを続けては、無関係の者まで巻き込んでしまう。出るぞ!”
そう言うとギメリックは、呪文を唱えながら戸口の方に向かって手を突き出した。
光の球が飛んでゆき、閉まっているドアの向こうへと吸い込まれるように消える。
“わっ……”
悲鳴が上がる気配がした。
と同時に、ギメリックは素早く身を翻すと窓に駆け寄った。
その途中で腕をつかまれ、アイリーンは転びそうになりながらもかろうじて彼について走った。
“降りるぞ! つかまれ!!”
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