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第3部.リムウル 第1章
26.ギメリックの激情
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ギメリックから発せられる恐ろしい威圧感に身がすくみ、魔力でしばりつけられているわけでもないのに、アイリーンは動けなかった。
体が震えてくるのを感じながら、それでも気丈に、彼女は彼を睨んで叫んだ。
「あなたがティレルの敵なら、私はこれ以上、あなたについて行くことはできないわ!」
“ああ、そうだろうとも! わかっていたさ、そんなことは始めから……
だからわざわざ他人に化けて、お前を連れ出したんじゃないか……!”
ティレルを想う彼女の気持ちを考えれば、当然のことだった。
なぜ、石を奪ったあの時、ティレルを殺すつもりだと言ってしまったのか。
いずれは知られてしまうこととはいえ、せめて村へ着くまでそのことを隠しておけたなら、アイリーンも自分も、もっと心穏やかな旅ができただろうに……。
ギメリックは笑い出した。
“バカバカしい……! あの時から俺は、あいつに嫉妬していたというのか……!
ああ、たぶんそうなんだろうよ!
しかしまさかあの時は、こんな事態になるとは思ってもいなかった。
石さえ手に入れば、お前に会うことも二度とない、そのはずだったんだ……!”
「ギメリック……?」
「俺だってお前を連れて行かなくて済むならその方が、どれほど楽か知れない……。
いいだろう、そんなに嫌なら、一緒に来なくて良いようにしてやろう」
彼の言葉が何を意味するのか、アイリーンにはわからなかった。
けれどギメリックの瞳を見ると、自分の身に危険が迫っていることが、ひしひしと感じられる。
“何……? いや……怖い……!!”
「は、放して……」
震える声で、彼女は訴えた。
しかしギメリックは無言で、アイリーンの体をいきなり抱き上げた。
「きゃっ?!」
抵抗する隙も与えず、素早くベッドに移動させ、そのまま覆い被さる。
驚きに息をのむ彼女の唇に、自分のそれを押し当てた。
彼女の体がビクリと震え、精一杯らしい力を込めて、懸命に抵抗してくる。
しかし魔力を使ってねじ伏せるまでもない。彼女の腕力など、何ほどの邪魔にもならなかった。
押しのけようとしてくる手を掴むと、細い手首を両方まとめて一つにし、彼女の頭の上で押さえつける。
そうしておいて、空いた片手で彼女のあごをつかんで無理矢理こちらを向かせ、再び唇を奪う。
“いやっ……やめて、いや!!”
唇をふさがれた彼女の、心話での悲痛な懇願にも耳を貸す気はなかった。
ギメリックの唇が首筋に移っていくと、アイリーンは顔を背けて苦しげに息をつきながら、涙声で叫んだ。
「どうして……ルバートと同じことするの? うそつき! 私を守るって、言ったくせに!」
「挑発したお前が悪い」
ギメリックは傲然と言い放った。
「挑発って何……」
言葉が途切れた。
またもや襲ってきた口づけの激しさに翻弄され、アイリーンの思考が止まる。
“それに、ある意味ではこれがお前を守る唯一の方法だ……”
体が震えてくるのを感じながら、それでも気丈に、彼女は彼を睨んで叫んだ。
「あなたがティレルの敵なら、私はこれ以上、あなたについて行くことはできないわ!」
“ああ、そうだろうとも! わかっていたさ、そんなことは始めから……
だからわざわざ他人に化けて、お前を連れ出したんじゃないか……!”
ティレルを想う彼女の気持ちを考えれば、当然のことだった。
なぜ、石を奪ったあの時、ティレルを殺すつもりだと言ってしまったのか。
いずれは知られてしまうこととはいえ、せめて村へ着くまでそのことを隠しておけたなら、アイリーンも自分も、もっと心穏やかな旅ができただろうに……。
ギメリックは笑い出した。
“バカバカしい……! あの時から俺は、あいつに嫉妬していたというのか……!
ああ、たぶんそうなんだろうよ!
しかしまさかあの時は、こんな事態になるとは思ってもいなかった。
石さえ手に入れば、お前に会うことも二度とない、そのはずだったんだ……!”
「ギメリック……?」
「俺だってお前を連れて行かなくて済むならその方が、どれほど楽か知れない……。
いいだろう、そんなに嫌なら、一緒に来なくて良いようにしてやろう」
彼の言葉が何を意味するのか、アイリーンにはわからなかった。
けれどギメリックの瞳を見ると、自分の身に危険が迫っていることが、ひしひしと感じられる。
“何……? いや……怖い……!!”
「は、放して……」
震える声で、彼女は訴えた。
しかしギメリックは無言で、アイリーンの体をいきなり抱き上げた。
「きゃっ?!」
抵抗する隙も与えず、素早くベッドに移動させ、そのまま覆い被さる。
驚きに息をのむ彼女の唇に、自分のそれを押し当てた。
彼女の体がビクリと震え、精一杯らしい力を込めて、懸命に抵抗してくる。
しかし魔力を使ってねじ伏せるまでもない。彼女の腕力など、何ほどの邪魔にもならなかった。
押しのけようとしてくる手を掴むと、細い手首を両方まとめて一つにし、彼女の頭の上で押さえつける。
そうしておいて、空いた片手で彼女のあごをつかんで無理矢理こちらを向かせ、再び唇を奪う。
“いやっ……やめて、いや!!”
唇をふさがれた彼女の、心話での悲痛な懇願にも耳を貸す気はなかった。
ギメリックの唇が首筋に移っていくと、アイリーンは顔を背けて苦しげに息をつきながら、涙声で叫んだ。
「どうして……ルバートと同じことするの? うそつき! 私を守るって、言ったくせに!」
「挑発したお前が悪い」
ギメリックは傲然と言い放った。
「挑発って何……」
言葉が途切れた。
またもや襲ってきた口づけの激しさに翻弄され、アイリーンの思考が止まる。
“それに、ある意味ではこれがお前を守る唯一の方法だ……”
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