16 / 38
15 *ジークハルト視点
しおりを挟む「くっ………はぁっ……アルマっ……」
アルマがジークハルトの杭を咥えてから、暫く経った。
止めさせようと思えば出来る筈。
しかし握られた時、自分とは違う柔らかい手の中に包み込まれた瞬間、その考えは見事に打ち消されてしまった様だ。
---な、なんて………悦楽……
じゅぶじゅぶ、と唾液が絡み、それがアルマの蜜を想像させ、口が秘壺の中に居る様に気持ちが良いという顔をジークハルトはしていた。
今迄に経験していなかった訳ではない。
好きでもない、ただ自分の性欲の捌け口で相手をした女の中に、この行為が好きな女が居れば頼むぐらいだった。
だから、その行為も別に特別好きだった訳ではない。それなのに何故、好きだと思っているアルマにされると違うのか、とアルマを熱い目で見つめている。
ムクムクと元気になってしまう杭が、理性と反し、いつもアルマの中に居た程の大きさでアルマの口の中で暴れていた。
---先程の笑顔で抜いてきたのに!反則だ!この行為…………くっ!
そう、王都での夜会の出席に、アルマは同行する、となった時、愛しいと言った後の顔が可愛くて、風呂場でジークハルトは処理をした後だったのだ。
本音では、連れて行きたくはない。
ジークハルトへの女達からの視線の熱さ、そして滅多に会う事の無い父親、シュバルツ公爵と、ジークハルトの異母弟。
アルマと一緒に居れば、自ずと視線はアルマに行く筈で、嫉妬と好機な目に晒され、威圧的な父親に、アルマへどう接するかが心配になっていた。
招待状を見せず、夜会を知らせずにジークハルトだけ王都に行けばそれで済む筈なのに、招待状には夫婦での招待状になっていて、仮病と偽って行く事も出来たが、名指しされた招待状の圧に、アルマを連れて来い、と言われた様な物だったからだ。
---こんなに可愛い妻を………あんな男に見せるのは………
母のアマリリスに面差しが似ていると、アルマをリンデル伯爵領で見た時に思ったジークハルト。その頃、アマリリスが亡くなった歳と一緒の歳だったアルマを見て、ジークハルトは一目惚れしてしまったのだ。10歳も歳が下な少女に。
それは、父親シュバルツ公爵がした行為と重なり、自分は違うと言い聞かせ、2年掛けてリンデル伯爵領支援に向けて考案し、縁談に持ち込む事に成功し、アルマを成人したと同時に結婚させた。
それはアルマの母、メリッサも了承済みで、従妹のアマリリスの死の経緯を知っているメリッサだからこそ、アルマに隠して進めた話だった。
支援するだけの条件ではなく、リンデル伯爵夫妻からジークハルトへの条件も入った上での結婚だと言えた。
子供を作るのは、アルマの成長期が終わってから。そしてシュバルツ公爵の様な悲惨な結果にアルマをさせない事。そして、アマリリスとメリッサとの約束を守る事がジークハルトに課せられた条件だったのだ。
それをアルマが納得してくれて、それでも尚、ジークハルトの傍に居たいと言ってくれなければならなくて、アルマになかなか伝える勇気はジークハルトにはないのだ。
アルマには、領地支援の条件だけ伝えたのは、それ等を伝えてジークハルトと結婚に持ち込める自信が無かったと言える。
「っく!…………アルマっ……離れ……射精る!」
「んんっ!」
思いを駆け巡らせていたジークハルト。一瞬の遅れでアルマの口から抜け出せず、アルマの顔に白濁を掛けてしまった。
「あ…………す、直ぐに拭くから目を開けるな!」
「っ!…………う、上手く出来てましたか?………ゔっ……」
「口開けたら入るだろ!」
「…………っ!」
拭く物が見当たらず、ジークハルトはバスローブを脱ぎ、そのバスローブでアルマの顔に着いた白濁を拭き取ると、申し訳無さそうにアルマを心配した。
「大丈夫か?………取れたか?」
「…………に、苦いんですね……」
「ま、まぁ………そうらしいな………自分では飲まないから分からないが………」
「…………ジーク様は他の女性に飲ませた事がある、と?」
「…………ゔっ………ま、まぁ……過去に……飲んだ女は居たが………」
ベッタリとアルマに着いてしまい、アルマもどう反応して良いのか複雑な顔をしていた。
「私も飲めるようになります」
「い、いやいい!それはいい!アルマに飲ませるより、腹の中に入れたいんだから、俺は!」
「…………腹の………中………」
「ま、まだだぞ………それは………」
「分かってます…………私を思ってくれて、ですよね?」
「…………あぁ……母上の様に早死なんてアルマにはして欲しくないんだ………絶対にそうなるとは言い辛い所だが、可能性が無い訳ではないからな…………アルマと共に、子供を育てたいんだ………俺は………」
「…………はい……ジーク様……私もジーク様と一緒に貴方との子を育てていきたいです!」
「うわっ!」
「あ…………ご、ごめんなさい!大丈夫でした?」
アルマは嬉しかったのだろう。
ジークハルトがアルマと見る未来を語った事が。
アルマに思い切り抱き着かれ、ジークハルトは後ろに倒れてしまった。
「も、もう俺は癒やされた!だからもう寝るぞ!」
「そ、その前に顔、洗ってきて良いですか?」
流石に拭いただけでは綺麗に取れず、アルマは顔を洗いに急ぐのだった。
122
お気に入りに追加
429
あなたにおすすめの小説
ワシが育てた……脳筋令嬢は虚弱王子の肉体改造後、彼の元から去ります
キムラましゅろう
恋愛
ある日、侯爵令嬢のマーガレットは唐突に前世の記憶が蘇った。
ここは前世で読んだ小説の世界で自分はヒロインと敵対するライバル令嬢ボジだということを。
でもマーガレットはそんな事よりも重要な役割を見出す。
それは虚弱故に薄幸で虚弱故に薄命だった推しの第二王子アルフォンスの肉体改造をして彼を幸せにする事だ。
努力の甲斐あって4年後、アルフォンスは誰もが憧れる眉目秀麗な健康優良児(青年)へと生まれ変わった。
そしてアルフォンスは小説通り、ヒロインとの出会いを果たす。
その時、マーガレットは……。
1話完結の読み切りです。
それ故の完全ご都合主義。ノークオリティノーリアリティノーリターンなお話です。
誤字脱字の宝庫です(断言)広いお心でお読み下さいませ。
小説になろうさんにも時差投稿します。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

婚約者の様子がおかしいので尾行したら、隠し妻と子供がいました
Kouei
恋愛
婚約者の様子がおかしい…
ご両親が事故で亡くなったばかりだと分かっているけれど…何かがおかしいわ。
忌明けを過ぎて…もう2か月近く会っていないし。
だから私は婚約者を尾行した。
するとそこで目にしたのは、婚約者そっくりの小さな男の子と美しい女性と一緒にいる彼の姿だった。
まさかっ 隠し妻と子供がいたなんて!!!
※誤字脱字報告ありがとうございます。
※この作品は、他サイトにも投稿しています。

「女友達と旅行に行っただけで別れると言われた」僕が何したの?理由がわからない弟が泣きながら相談してきた。
window
恋愛
「アリス姉さん助けてくれ!女友達と旅行に行っただけなのに婚約しているフローラに別れると言われたんだ!」
弟のハリーが泣きながら訪問して来た。姉のアリス王妃は突然来たハリーに驚きながら、夫の若き国王マイケルと話を聞いた。
結婚して平和な生活を送っていた新婚夫婦にハリーは涙を流して理由を話した。ハリーは侯爵家の長男で伯爵家のフローラ令嬢と婚約をしている。
それなのに婚約破棄して別れるとはどういう事なのか?詳しく話を聞いてみると、ハリーの返答に姉夫婦は呆れてしまった。
非常に頭の悪い弟が常識的な姉夫婦に相談して婚約者の彼女と話し合うが……

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる