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私の復讐開始②

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「美沙緒。」
「…………雅也さん。」

 1ヶ月振りの再会を抱き締めてお互いの存在を確認する。

「離婚届書いて出てきた。」
「………うん………お子さん生まれたのね?」
「あぁ………やっとね。」
「これで、計画が実行出来るのね。」

 雅也は家に離婚届を書いて出て来た。生まれたばかりの子と麗奈、そして両親が住む家を。そしてここに匿ってもらう事になっている。当面の生活費は雅也は麗奈が自由に出来ないように、財産は隠しておいた。両親にも手が出せないセキュリティもしっかりした所へ。雅也は、両親とも縁を切るつもりでいる。

「これで、ご主人様の合図で……。」
「…………暫く苦労させるかもしれないけど、大丈夫か?美沙緒。」
「雅也さんの側に居られるなら、何処にでも。」

 ミサオは雅也に微笑んだ。

「君の両親も、安全な所に居るから、ここを出たら合流しよう。」
「………はい。」

✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧

 少し前の雅也の家。
 
「雅也さん、何故抱いてくれないの!?この子を!」
「……………。」
「雅也さん!!」
「俺の子かもしれないが、君の子だから抱かない。」

 抱いてしまえば、愛着が沸く。子供には全く罪は無い。罪があるのは麗奈だ。憎くて仕方ない麗奈が産んだ子を抱けば、麗奈がつけ上がる。出産にも立ち合うつもりもなく、それについても妬みや嫌味を言われ続け、雅也は限界だった。結婚式も無理矢理出させ、冷たい態度を麗奈や母にしてきた雅也は、麗奈から離婚を突き付けられても良かったのだが、麗奈のプライドが許さなかったのか、外では良き夫で幸せ、と話ていた。勿論、麗奈を抱く事もない。悪阻も重かったらしい麗奈から誘われる事も無かったが、安定期になると身体を求めてくる麗奈にもウンザリだった。離婚届を分かるように書き残し、その証拠も残し、麗奈からの反論があってもいいように、弁護士も雅也には着いていた。両親と麗奈の全く縁の無い弁護士を。

「出かけてくる。」
「…………また美沙緒の所に行くのね!!」
「『浮気』は許すんだろ?戸籍上の『妻』は
君なんだから。」
「…………許さないわよ!!もう!!」
「それじゃあ離婚すればいい。君みたいな傲慢なプライドの高い女が好きな男も居るだろうからね。」
「しないわよ!!」
「…………そう思ったから離婚届書いて置いてある。破り捨ててもいいが、メイドが見聞きしている。破って捨ててあれば、誰がやったか一目瞭然だろうね。」

 玄関ロビー迄来てから、雅也は麗奈に言い放っていた。両親は留守にしていて助かっていた雅也は、メイドや家令達が見送る場で聞かせるように麗奈に告げたのだ。麗奈は苛立ちから、抱いていた子供を物のように投げ捨てようとした。

「許さないわよ!!」
「キャー!!若奥様!!」

 幸いにもメイド達が居てくれてそれも助かった。メイド達が麗奈から子供を奪うように庇ってくれた。

「………あ………あぁ……。」
「…………そういう君が嫌いなんだ。」

 内心焦った雅也だが、平然を装い二度と戻らない家を出て来たのだった。
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