26 / 26
エピローグ ♡
しおりを挟むアマリエとシュゼルトに息子が産まれた。
あれから10年程経ち、成長した息子はシュゼルトによく似た活発な子だった。
ジグムントと名付けられた子は、産まれて直ぐ自我が芽生えると共にやんちゃでアマリエをよく困らせている。
「レックス!ジグムントは居た?」
「いえ!見当たりません!城内の何処にも!」
「全く………何処に隠れたのかしら………雲隠れが上手過ぎて、隠れ場所が特定出来ないわ」
ジグムントは、勉強をサボり、見つかる度に隠れ場所を変えるので、監視を欠かすと、直ぐには見つからない。
この日も、お目付け役だったレックスを騙して、部屋から逃げるという、よくやられる手口でトンズラしたのだ。
「申し訳ありません!アマリエ様!」
「レックス、お目付け役下ろすわよ!こんなに頻繁にされると………」
「く、クビだけは勘弁して欲しいっす!き、今日は図書室で本を探すって、一緒に行ったんすけど、撒かれちゃって………」
「傍に居たんでしょ?」
「は、はい背後に………逆の本棚見てくれ、て言うから背中向け………」
「逃げるに決まってるじゃない!もう、馬鹿なんだから!」
「ひぃぃっ!シュゼルト様にはご内密にぃ!」
「お灸を据えないと駄目ね…………もう………」
「え?俺にっすか?」
「ジグムントに決まってるでしょ!貴方は減俸ね!」
「ひっ!そ、それも嫌っす!子供が38人居るんすから!養うの大変っす!」
レックスも100年前は5人子供が居たが、今では大家族の父親になっていた。
何処か抜けてるレックスでも、シュゼルトは信頼しているから、ジグムントの世話役をしているので任せているのだが、ジグムントのほうが上手だ。
方法も手を変えあらゆる事をして逃げるので、的も絞れない程だ。
そのジグムントはというと、城に奉公している下女を連れ出していた。
「嫌だわ……ジグムント様ってば………あっん、あぁっ………」
「もっと見せろ……気持ち良くしてやるから」
「イケナイ王子様ですね………ふふふ……」
「勉強なんてやるより、こっちのが魔界の為になるってもんだ」
「…………もう、お世継ぎ作りですの?」
下女の服を開けさせ、胸を舐め上げるジグムント。
まだ10歳という少年なのに、色気漂う目は、下女を高揚させていた。
「まさか………お前には避妊するよ」
「あら………残念………あっん、あぁっ……ジグムント様……気持ち良いっ!」
スカートの中に手を忍ばせていくジグムント。
この若き歳で下女をよがらせる手管を持っているとは、流石シュゼルトの息子だと言えよう。
「居たぁ!ジグムント様!アマリエ様!ジグムント様です!」
「居た?…………ジグムント!」
「げっ!レックス!…………は、母上!」
「アマリエ様!………も、申し訳ございません!」
ジグムントは下女を跳ね除け、下女を隠す様に姿勢を正した。
「………ジグムント………何をしていたのかしら?」
「な、何って…………まだ何も……」
「何ってナニでしょう、ジグムント様」
「レックス!お前黙れ!」
「ひっ!」
「…………如何してこう、シュゼルトにこんな事ばかり似てるのかしら………」
アマリエは頭を押さえ、眉間に皺が寄っていた。
「そりゃ、シュゼルト様のお子ですから………」
「レックス!貴方が注視してれば………ジグムント!逃げないの!」
「っ!」
この後、懇々とアマリエはジグムントに説教される時間にし、その光景をシュゼルトも苦笑いして見ていた。
「いいじゃないですか、母上」
「何が良いの!」
「母上だって、父上と毎日、夜は激しくシてるんだし」
「それとこれとは違います!貴方はまだ子供なのよ!」
「え?勃つよ?ちゃんと………種もバッチリ!」
「ほぅ…………そうか、ジグムント。それはめでたいな………だが、まだ子供は作るなよ」
「シュゼルト!」
「…………まぁまぁ……性欲強いのは俺の遺伝なんだろうし、魔界人ではジグムントの歳では覚えていく時期だ」
「だとしても、勉強サボって迄スる事?」
「それは駄目だな………勉強はしろ」
厳しいアマリエと甘いシュゼルトという図式が出来上がって10年。
アマリエがよくジグムントが悪い事をすると怒るので、自然とシュゼルトは見守っていて、ジグムントを擁護する様になった。
「勉強するので、父上、母上」
「何だ?」
「何?」
「2人のセックス見せてよ」
「は?」
「…………何だ、ジグムントは俺達の興味あるのか」
「はい!見てみたい!父上の手管が如何なのか」
「おお、いい………」
「駄目に決まってるでしょ!馬鹿なの?シュゼルト!」
シュゼルトが容認しようとしたので、アマリエはすかさず反対した。
「いいじゃないか。これも勉強の1つだと俺は思うが?」
「絶対に嫌!そんな事をするなら、暫く一緒に寝ないから!」
「何だと!それは俺が嫌だ!………ジグムント!諦めろ!」
「えぇ………見たいのに………」
「見るならレックスのにしたら如何だ?なぁ、レックス」
「え!な、何で俺のを………」
「ヤダよ、レックスのなんて………つまんない」
「ひ、酷いっす………ジグムント様……」
こんな日々が続いている、この10年。
アマリエは心より安心する地で、愛せる人達と過ごせる人生を歩める様になったのだった。
---毎日、ジグムントに翻弄されても幸せを感じちゃうなんて、あの頃の騒動が夢の様だわ……
相変わらず、薄暗い魔界の空の下。
城ではその薄暗いのを跳ね除けるぐらいの明るさがあるのだった---。
❦ℯͷᏧ❧
18
お気に入りに追加
89
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
最愛の番~300年後の未来は一妻多夫の逆ハーレム!!? イケメン旦那様たちに溺愛されまくる~
ちえり
恋愛
幼い頃から可愛い幼馴染と比較されてきて、自分に自信がない高坂 栞(コウサカシオリ)17歳。
ある日、学校帰りに事故に巻き込まれ目が覚めると300年後の時が経ち、女性だけ死に至る病の流行や、年々女子の出生率の低下で女は2割ほどしか存在しない世界になっていた。
一妻多夫が認められ、女性はフェロモンだして男性を虜にするのだが、栞のフェロモンは世の男性を虜にできるほどの力を持つ『α+』(アルファプラス)に認定されてイケメン達が栞に番を結んでもらおうと近寄ってくる。
目が覚めたばかりなのに、旦那候補が5人もいて初めて会うのに溺愛されまくる。さらに、自分と番になりたい男性がまだまだいっぱいいるの!!?
「恋愛経験0の私にはイケメンに愛されるなんてハードすぎるよ~」
地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~
あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる