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「はぁっ……あぁぁぁっ、あん……凄……」

 佑美を支える木から、葉っぱが降り注ぐ。
 それだけシュゼルトから振動があり、葉が落ちる程の衝撃で佑美は抱かれている。

「ユウミ………本能に忠実だな……そんなお前が好きだぞ」
「気持ち…………良くっ………てぇ……」

 声も止まらない程、喘ぐばかりの中で、紡ぐ佑美の甘美な声を、シュゼルトは止めなかった。
 声を我慢しろ、と言っても、やはりシュゼルトも本能に忠実で、佑美の声を聞きたい様だ。

「…………だろうな………俺を締め付けて放さない…………奥、欲しいって………なかが言ってる………」
「っ!…………い、言わないでよ…………」

 葉が佑美とシュゼルトの間に降り注いでも、止めない衝動。
 お互い欲しくて、魂の半身だと言われた意味が、佑美に毎日積み重ねられる様に切り刻まれていて、佑美もシュゼルトが心の寂しさを埋めてくれる存在だと、気付き始めていた。
 人間界で付き合っていた恋人も、嫌いだった訳でも無い。
 もし、その恋人が佑美の心を埋めてくれていたならば、迷わず佑美はプロポーズを受けて、胸に飛び込み、その後は燃える夜を過ごしたに違いない。
 だが、シュゼルトにより召喚された佑美はその夜、プロポーズを受けなかった。
 佑美を救い出してくれた様な気にも、今はなっている。
 セックスではない。魔王なのに、悪魔の様な風貌なのに、求めていた言葉をくれる。
 アマリエの姿ではないのに、佑美は魂の半身、番いだと佑美に伝えてくれている。
 寂しさから、その隙間に入り込まれているかもしれない。それでも、恋人よりシュゼルトが好きになっていた。

「シュゼルト………」
「っ!」

 好きだと自覚した途端、佑美なシュゼルトを抱き寄せて唇を重ねていく。

「お…………ねが………い……もっと………私に………頂戴………シュゼルト………の………」
「あぁ…………やる………永遠に………」
「先に………私………死んじゃう………よ?」
「そうしたら、また転生迄待つさ」
「……………好き………シュゼルト………好きよ………」
「くっ…………こんな事言われちゃ………射精すしかないなっ………!」
「ッぁぁぁぁ……………あっ………つ……の出て……」
「ユウミだろうとアマリエだろうと………お前は俺が惹かれる女だ………」

 長く注がれる熱を感じながら、シュゼルトに抱かれる佑美は、シュゼルトの背に回す腕を力を込めて抱き締めた。


          ✦✦✦✦✦


「大丈夫か?背中………赤いな……」
「誰の所為だと……」

 木に押さえつけられてセックスしたのだ。
 佑美の背は擦り傷が出来ていた。

「後ろから突っ込めば良かったな」
「……………それは、ヤらない選択はしない訳?」
「そんな選択なんて俺には持ち合わせないな」

 服を着て、拭き取れない足の付け根から溢れるシュゼルトの白濁を我慢し、落ちた本を拾う佑美。

「此処の木だけ、葉っぱ落ちて禿げちゃったじゃないの………激し過ぎ……」
「その内、また戻る」
「自生する木なんでしょ?これも」
「多分な」
「可哀想な事しちゃった………ごめんね……」

 佑美は木を撫でる様に謝っていて、それを見たシュゼルトは微笑ましく見ている。

「お前は転生しても優しいな」
「…………そうかな……人間ってね………自分が悪いと思う事は謝罪するんだよ………特に私が育った国はその風潮が強いかな」
「…………身内じゃあるまいし必要なのか?」
「必要な場合もあるよ…………シュゼルトには理解出来ないかもしれないけど………魔王だもんね」
「人間のドス黒い感情は俺達魔界人は糧になるからな…………謝罪では糧にはならん」
「それだと、私では糧にならないでしょ?」
「糧にはなるさ…………俺はユウミの蜜を飲めれば元気になれる…………っく!………殴るな!」
「セックス中じゃない時に卑猥な言葉は止めて!」

 佑美はシュゼルトの鳩尾に、パンチを繰り出す。
 だが、シュゼルトに痛みを感じた素振りは見受けられなかった。

「好きな癖に」
「…………い、今は聞きたくない………」

 プィ、と佑美はシュゼルトからソッポを向いた。
 しかし、佑美はその場で固まる。

「…………お、お兄………様………?」
「ユウミ、如何した………っ!ルシフェル!」

 何故か、佑美は泣きたくないのに涙が溢れ、その場に立ち尽くしてしまう。
 佑美には始めて見る光輝く白銀の髪に、白銀の翼。懐かしさと共に、湧き上がる怒りが佑美の、中に現れた。

「ルシフェル!何故魔界にまた来た!」
「シュゼルト………アマリエを返しに貰いに来た。それ以外無いですよ………アマリエ……来なさい………」

 佑美の前に立ち塞がるシュゼルトと、佑美に手を差し伸べるルシフェル。
 だが、佑美はルシフェルから隠れる様に、シュゼルトの背に隠れた。
 それは何故なのか。
 身体がルシフェルに向かわなかった。

「ユウミ………いや………アマリエはルシフェルには渡さん!」
「…………よく言いますね、シュゼルト………アマリエが転生した身体を、欲のままに抱いて、アマリエを傷付けている………魂はその媒体にあっても、アマリエの身体では無いのに………」
「……………え……」
「身体はアマリエでなくとも、魂はユウミの身体の中にあり、魂と同化しているなら、ユウミとアマリエは同等だ!例え、アマリエの記憶がユウミに無くともな!」

 シュゼルトとルシフェルの見解は違った。
 シュゼルトは魂がアマリエならば、転生した佑美の身体もアマリエだと言ってくれている。
 しかし、ルシフェルはアマリエと佑美は別の見解だった。
 まるで、佑美はの様に言われている気がしてしまう。
 心から、佑美はアマリエの記憶で、目の前の白銀の髪に白銀の翼の男がルシフェルでアマリエの兄だと直感した。
 懐かしさと、恐怖で固まったのだが、そのルシフェルの言葉で更に固まったのだった。
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