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しおりを挟む「部屋から出して!」
「駄目だ」
毎朝のルーティンになっている、佑美とシュゼルトの朝の風景。
シュゼルトに服を渡され、佑美はその服が趣味でなくても文句は言わないが、部屋に出られない事に文句を言っている。
「ユウミ!服を着ろ!レックスが飯を持って来られない!見せたいのか!裸を」
「見せたくないよ。でも着ている間、シュゼルト部屋から出てっちゃうじゃない」
シュゼルトが部屋を出ると、直ぐに部屋の出入りを制限されて、佑美は閉じ込められる。
何度も脱出しようとするが、直ぐシュゼルトに見つかるし、レックスを誑かして出ようとしても、シュゼルトの魔法で出られないのだ。
「守る為だ」
「監禁じゃないの!」
「あぁ、監禁結構!お前が下僕共に犯される事も、ルシフェルに見つかりやすくなるのも俺は嫌だね!」
「…………げ、下僕……?」
「俺の部下には淫魔が居るんだよ!淫魔!愛液や精液、異性の体液を好む悪魔!媚薬注がれ、お前は犯されて嬉しいか?」
「…………ほ、本当にそんなの居るの?」
「居るから出さない。ユウミの身体は俺の物。アマリエの魂も俺の物」
シュゼルトの嫉妬を含む心配だと分かり、佑美は服を慌てて着る。
「…………俺の物扱いは置いといて、淫魔が居るなら大人しくしてる」
「何故置いとくんだ?俺の物扱いされて嬉しくないのか?」
「え?別に………」
「…………アマリエの時は嬉しそうな顔をした……」
「…………監禁されてるからそんな風に思えないよ」
「…………悪い……今は人間だろ、人間は淫魔の好物なんだよ」
「シュゼルトは淫魔じゃない訳?」
「俺か?俺は全ての魔界人の頂点に居る。お望みであれば、淫魔の様にユウミを今から抱くぞ?」
「さ、散々シたのに?」
要は、シュゼルトも淫魔の力も持ち合わせている、と言いたいのだろう。
「俺は媚薬を体内では作れん。身体の自由を奪い、俺の思う様にさせる催淫効果の魔法を使える」
「…………え……」
淫魔の力と同じ様だが、より凄そうで、佑美は固まる。
「だが、それは嫌だろ?俺は、抱く時は相手の意思無く抱く気は起きん。淫魔は媚薬を体内に蓄積出来、相手に飲ませたり、注いだ状態で相手の精力を食うが、俺は食わなくても、脳に働き掛けて奪える」
「…………ど、どっちも変わらない気もするけど、シュゼルトは私にやれる、て事?」
「出来るがシたくない。俺はお前の意思を聞きながら抱きたいからな」
「…………お、大人しくしてる……でも、そんなに閉じ込め続けられたら私もストレス溜まるし、レックスが持って来る料理が不味くて食べたくないんだもん。私も料理作れるから、作って食べたい」
「分かった、城内は自由に出来るようにはしてやる」
「…………うん……お願い………本当は還りたいけど、考えてくれるんだよね?」
「あんまり考えたくはないがな………出来るか分からんし」
「いいよ、出来なきゃまた他の方法見つける」
悪魔達を率いる王なのに、大事にされているのが分かる佑美。
シュゼルトを部屋で見送って、佑美は暇で仕方なかった。
相手をしてくれるのは専らレックスだけで、女の魔界人も見ないのだ。
「ねぇ、レックス」
「何すか?アマリエ様」
「……………だから、今アマリエじゃないってば」
「ユウミ様でもアマリエ様でも俺には同じっす………シュゼルト様がそう思ってますから」
「それ………複雑だなぁ」
シュゼルト以外、佑美をアマリエと呼んでいるらしく、アマリエの記憶が無い佑美はどう接していけばいいか分からないのだ。
「レックスは生物学上、男………雄でしょ?」
「あ、はい」
「この城に女………雌は?居ないの?見ないけど」
「あぁ………それはシュゼルト様が、雌の魔界人を城から出したんっす」
「出した?」
「200年前ですけど、アマリエ様が死んで………あ、前世っすよ?」
「分かってるわよ!」
「…………お、怒んなくっても………」
「あ、ごめんなさい」
佑美が記憶が無くても、生死に関してはナイーブな話なので、あまり聞きたい話ではなく、悪気無いレックスに、突っかかってしまう。
「…………あんまり、聞きたくないかもしれないですが、シュゼルト様がアマリエ様を亡くして、子供の姿になってから、機能しなくなって………」
「き、機能…………って………アレの事?」
「そう!コレっす!」
「強調しなくてもいい!」
レックスが股間を指して、腰を前に差し出すのを見て、佑美は顔を背けた。
恋人や旦那なら兎も角、あまり性的な事に関係無い相手の性的な表現は、目の前でされたくはない。
「シュゼルト様とシてますよね?」
「シ、シてても、レックスに強調されなくても分かるから!………ま、まぁ、私もアレって言っちゃったけど………」
「俺は気にしないっす。シュゼルト様に殺されたくないんで、アマリエ様にはそういう目では見ないっすけど、機能しなくなった事で、雌を相手にしなくなったんっすよ………子供の姿では勃っても、相手がアマリエじゃないと、て………魔王なのに、ピュアなんすよシュゼルト様」
「……………そ、それは何て返せばいいか分からないんだけど……女性の魔界人は居るには居るのね」
「居ますよ。俺も彼女3人居ますし」
「さ、3人!」
「少ないっす。伴侶は1人に絞りますけど、居なくても子供出来ますから、俺に彼女達の間に5人子供居ますし」
「……………あ………そうなんだ……へぇ………」
人間の考えではあり得ない感覚だった。
特に日本では一夫一妻ではあるし、二股なんて事は毛嫌いされがちな風習もある。
魔界ではそれが成立するのだから、佑美は受け入れ難かった。
「シュゼルトはそんな相手居ないの?」
「シュゼルト様っすか?シュゼルト様はアマリエ様一筋っす………出会う前はシュゼルト様も雌を1人に絞らなかったですし。アマリエ様と恋人になった時点で、雌達を捨てましたから」
「…………そ、そう……」
シュゼルトには、アマリエしか居ない、と聞いた佑美は悪い気はしなかった。例え、佑美を通じてアマリエを見ていたとしても。
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