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ノーマンinフィーヴァ
しおりを挟むノーマンはフィーヴァの王宮に居た。
ノーマンの従兄が王宮で働いているからだ。
表立って会う訳にはいかず、武器商人の振りして従兄にあったノーマン。
「久し振りだな、ノーマン。」
「兄貴、元気だったか?」
「元気だと思うか?貧しい国にこれといった産業もないのに、イヴリースとは停戦にはなってるが、いつまた小競り合いが始まるか分からないから、武器ばかり作る……。貧しい民は死ぬのを待ってるようなもんだ。貴族ばかり私腹を肥やしてな。」
ノーマンの従兄も国に不満のある一人だった。
ノーマンは下級貴族の軍人だった為、貧しい民側の人間。
「停戦、ていつから?」
「15年かな………フィーヴァ側から停戦を申し込まざる得なかったんだが、国王が弱腰なんだよ。」
「何があったんだ?」
「ネオフィールドの王に逆らえないのさ、王は。」
「アルザスだった国のか?アルザスの血脈なのか?ネオフィールドの王は。」
「知らん、会ったこともないからな。俺みたいな下々の従者は国王家族にもお目に掛かった事はない。」
「何でアルザスじゃない、ネオフィールドの王に弱腰なんだ?」
「イヴリースの街を1つ2つ、壊滅したんだと。」
「どうやって?」
「………本当かどうかは知らんぞ?」
従兄は、周辺を気にする素振りを見せながら、ノーマンに伝えた。
「石にしたらしい。それを聞かされた王は、怖くなった、て話だ。しかも、ネオフィールドの王から、イヴリースとの停戦に持ち込んでくれた礼に大金と、石にされた女を何人か賜わまった、て話だ。今その内の一人が王の側室になってる。」
「…………石にされた女?」
「あぁ、両足無い女だから目立つんだ。移動するのに、男数人で運ばれるから、その側室だけは見てるな、確か名前はコーラル、とか言ったかな?」
「!!!本当か!!本当にコーラルと!」
「あ、あぁ………な、何だ?知り合いかなんかか?」
ノーマンは従兄の肩を掴み揺さぶった。
「あ、あの女だ。」
たまたまだろう、偶然にノーマンの近くに通り掛かった椅子に運ばれる女。
「兄貴、俺の名前をデカイ声で呼んでくれないか。」
「何で?」
「早く!!」
「分かったよ…………ノーマン!!」
「…………!!!」
(見た!!………やっぱりコーラル!!)
「………………は、早く部屋に連れてってもらえる?」
振り向いた女はノーマンに気が付き、女はその場から立ち去って行った。
「見つけた!コーラル!!やったぞ、アーヴァイン!!」
「何だよ、お前………。」
「あの女、俺の仲間だったんだ。何故ここに居るのか分からんが、調べる為に暫く兄貴んとこに居候させてくれ!」
ラルドーとの約束は1週間、それ迄に事情を調べなければならないノーマンだった。
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