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ロブの見解
しおりを挟むロブが調べた石の花についての見解はこうだった。
石の花と言っても花ではない。
花の形をした砂漠の砂が固まった物。
オアシスの周辺に生える事もあれば、岩陰の事もある。
風向きや気候等で生える条件も決まらず、同じ場所で見つかる事も無い。
砂漠の砂だけの成分と石の花になった砂漠の砂の成分は変わる。
「何かが砂漠の砂と混ざりあって、出来るのかと思ってる。だが、それが何か分からん。それが分かったら、石の花を作れるんだがな……。」
「花、じゃないんだ…。」
アーヴァインもルーベンスも植物だと思っていた。
「貴方達、何をしていたの?」
カーネリアンは呆れた顔で冷ややかな言葉を投げかける。
「文献を見ても絵なので………。」
「文章読まなかったの?石の花は花ではない、というぐらいの事は書いてあるのですよ?」
「も、申し訳ありません………。」
「嘆かわしいですわ。………ところで、ご主人は今まで幾つ石の花を見つけたのです?」
「………年に3個取れればいい方だな。取っては半分、サーシャの為に使い、半分は売って生計を立てた。大きさにもよるが1個売れば半年は飲み食いに困らん。密輸すればもっと儲かるんだが、サーシャが許さなかったからな、カムラの意に反する、と。」
「サーシャらしい……。」
「あぁ……。」
サーシャは生まれも育ちもカムラ。
カムラの教えは国の方針その物だ。
幼い頃から武術、剣術、体術を教えられ、地理や国内外の歴史を覚え、他国の浄化を担い人を助けて生計を立てていた。
決して犯罪になる事はしない、と。
「どのようにして、サーシャを治療していたのです?」
「……試せる事は何でも……煎じて飲ませたり、塗り薬にしたり、他の薬と混ぜたり、分量を変えたり……。」
「効果は?良くなったりは……?」
「…………いや……。」
「でも、何故ロブは石の花をサーシャに使おうと?」
「安直な考えだ………石の花は色々な病気に効くと聞いたし、これ迄沢山の医者にも見せた。何よりアルザスには石の花がよく売られていたからな。サンドールの輸出先はアルザスさ。」
「!!」
「国交は無かった筈ですが……。」
「………密輸……ですわね…。」
カーネリアンは思う事があるようだ。
「…………あぁ、多分な。サンドールの価格より、アルザスの価格のが安かった。………俺が貴族として王宮で経理の職に就いていたが、それについて追求したら、役職を追放されたんだ。そんな時に、サーシャを奴隷市で見てな………。石にされた女達、石の花の輸入量……。おかしいと思うだろ?」
「買われて行った女達はアルザスの貴族や金持ちに買われていったのか?」
アーヴァインはコーラルの行く末を知りたかった。
「それは分からん………すまんな。あんたも探している女が居るのは分かるんだが……。」
「…………カーネリアン様、石の花を見つけたら俺もアルザスに行かせて下さい!」
「それは構わないけど……。ノーマンとラルドーが行ってるし、警護として貴方を欠くのは………あの男にジュリアナが見つかったらどうするのです?恐らく、既にカムラを撤退したのに気が付いている筈。ロートシルトを危険に晒す訳にはいかないから、サンドールに居ますが、指揮メンバーをこれ以上バラす訳にはいかないわ。気持ちは分かりますが、ラルドーとノーマンが戻って来るのを待ちましょう。」
「…………分かりました。」
「アーヴァイン………ラルドーとノーマンからの情報を待った方がいい、と私も思う。彼等がロートシルトに戻ったら、伝令が入る筈。」
「…………そうだな。16年、待ったんだ……もう少し待てる……。」
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