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サンドールに
しおりを挟むサイファは久々にサンドールに帰ってきた。
飛空艇は目立つが、残っている者達で警護し、サイファ、ジュリアナ、カーネリアン、ソロ、アーヴァインだけで、サンドールの家に向う。
「ロートシルトと大分違うのね、サンドールは。」
ジュリアナがロートシルト以外の国にほぼ行かなかったからか、もの珍しそうに見ている。
「ジュディス………ジュディス!もう少し落ち着け!」
アーヴァインは、昔のジュディスで居た時のジュリアナに対する口調で注意する。
「…………忘れるな、今はお前はジュディス。ジュリアナ様じゃない。」
「…………そうだった…………私はジュディス………ジュディス…………OK。」
「………何で、ジュディス?」
サイファは名前と鬘、眼を変えた母に問う。
「………ジュリアナ様が15の時に、シヴァ様との結婚が嫌で家出し、その時に使ってた名前と鬘と眼ですよ、その姿は。」
「…………へぇ、そんなに嫌だったんだ……。」
「嫌じゃなくなったから、貴方が居るんじゃない、今!」
「…………大変でしたよ、シヴァ様も結婚を嫌がってましたしね。」
「………好きあってたんじゃないの?」
「出会ってから好きになったのよ。顔を見る前に結婚だって以前からあったんだから。」
サイファが知る恋愛事情にはそんな結婚等は無い。
サンドールで民主主義に馴染んだ生活をしていたからか、結婚を親同士で決められる話は聞いた事が無かった。
「王族ですからね、国の事を考えられる伴侶でなければ、という条件が優先しますから、サイファが結婚する時は吟味しますよ、わたくしは!」
「……………え~~~!!」
「……………ま、そうなるでしょうね~。」
ジュリアナもカーネリアンと同意見のようだ。
「……か、…………ジュディスは好きな男と結婚して、俺は好きな女と結婚出来ない訳?」
「尊重はするわよ、でも私利私欲に溺れた相手は駄目。人の上に立てる人でないと……。尊敬されるように、国民を思いやれるように
、そしてサイファを愛してくれる人でなければ、私も許さない。」
「ジュディスの言う通りですわ!ジュディスのお人柄はわたくし気にいってましたから、是非わたくしの馬鹿息子の嫁に!と熱望しましたもの。」
「お、お義母様……。」
「………もう少しで着きますよ、家に。」
雑談をしながら歩いていたら、直ぐに着いたと感じたサイファ。
1週間程と言いつつ、1ヶ月近く留守をしたサイファとアーヴァイン。
「うわっ!蜘蛛の巣だらけ!」
「……仕方ない、どちらにしてもこの家は手放すから、必要なものだけ持って行こう。」
「…………え?もうここには住まない?」
「シヴァ様が回復したら、ここに住む必要はありませんからね。」
「………あ、そっか、そうだよな……。」
家を開け、総出で掃除から始めた5人。
「…………サイファ!!」
「!!!」
「やっと帰って来た!!サイファ!!」
「アニス!!!」
アニスはサイファに抱き着いた。
それを見たジュリアナとカーネリアン。
(………ガールフレンドかしら?)
(みたいですね………。)
(様子を見ましょう。)
(………はい。)
それを、近くで聞いたアーヴァインは、
(一方的に、彼女の片思いですよ、サイファ様は全く。幼馴染としか見てません。)
2人の関係を教えた。
(………あらま。)
ジュリアナは、サイファの側に来て、
「サイファ、掃除やっとくから遊んどいでよ。お子ちゃまは邪魔邪魔。」
「…………な!お子ちゃま扱いすんなよ!」
「そう?掃除しないなら、外で話して来なさいよ、終わったらサンドールの最後の女王だった方に会いに行かなきゃならないんだから。」
「………おばあちゃんに会いに?」
アニスは表情が暗くなる。
「アニス、後で行くと伝えてくれないか?」
アーヴァインが何かに感じたのか話に加わった。
「………………話せないかも……おばあちゃん今寝たきりで長くもたない、てお医者さんが。」
「………義姉さんが!」
ソロが珍しく声を荒らげた。
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