【完結】淫乱売女悪女は愛を、束縛執着男には才色兼備を

Lynx🐈‍⬛

文字の大きさ
上 下
40 / 43

結婚式準備開始

しおりを挟む

 玲良の父がアメリカへ帰ったその日の夜。就寝しようと寝室に居た穂高。玲良は1人で入浴中だ。
 穂高の手には、結婚式場や教会のパンフレットが何札もある。

「…………やっぱ洋装だよなぁ、玲良は」

 引越ししてから秘かに集めては、見ていた穂高。ブライダルフェア等の予定に合わせてタイミングよく休めた試しが無いのが現状で、玲良との休みと照らし合わせ行けるフェアを探していたのだ。フェアを狙って行く事も可能だろうが、より結婚式のイメージが付けやすい時の方が、玲良には前向きになると思っていた穂高。
 結婚式の催促が無いという玲良を見て思っての事だった。

「!!」

 バスルームから出て来るの気配がし、穂高が気になる式場や教会のパンフレットを上にし、玲良を待った。

 カチャ。

「ありがとう、穂高」
「ん?」
「お父さんの相手」
「…………あぁ……殆ど話てる内容は医療の話だったから、勉強になったよ」
「外科と産婦人科の相違があるのに?」
「一応、医大生の時に基礎的な知識は入れてるじゃないか」
「まぁね………何、これ……」

 ベッドの脇に座ると、穂高が散らかしたパンフレットが置いてある。

「そろそろ式準備しようかな、て思ってなぁ」
「…………籍だけでも良くない?そもそも式準備の時間が取れるのかな?」
「俺が、玲良のドレス姿が見たい!」
「…………あ、そっか………穂高は見たい……よね……私着ても着なくても気にしなかったけど」
「…………何でお前は……そういう乙女的要素が欠如してんのか……結婚願望無いしよ……」

 穂高は玲良を抱き寄せると、乾かしたばかりの黒髪を弄る。玲良の黒髪を触るのが穂高は好きで、抱き寄せるとほぼ毎回だ。

「だって、穂高と一緒に居れるだけで幸せだもん」
「…………で?子供は籍が一緒なら産んでもいい、的な?」
「うん……だから、入籍だけでもいいなぁ、て思ってた」
「…………お願い………記念日は思い出共有しようぜ………質素でもいいから、祝福のお裾分け、て意味で結婚式挙げて、玲良と思い出を共有したいんだ………誕生日でも2人で共有したろ?思い出を」
「……………うん……嬉しかった……結婚式もそう思うかな?」
「絶対に思うと思う!」
「…………分かった」

 穂高はホッとした顔をし、玲良の額にキスを落とす。

「お義父さんに、玲良のドレス姿見せてやろうな」
「………お父さん喜ぶかなぁ」
「絶対に喜ぶ!!泣くぞ、きっと!嬉し涙だ!絶対に!」
「………な、何で分かるの?」
「俺………娘居たら絶対に泣けると思うから」
「見てみないなぁ、穂高が泣く姿」
「面白がるな!……………で……さ……」

 穂高が照れた風に言葉を濁し、玲良を見つめる。

「何?」
「………結婚式の日取り決まったら、それに合わせて妊娠してくれないか?」
「…………それはいいけど、仕事の調整も必要になるよね」
「そんなんは、外科医局内の医者達で回させろ!カバーぐらいさせとけ!妊婦の体調を考えさせないなんて、医者がしていいものじゃない!」
「…………うん……そうだね……分かってなきゃいけない事だよね」

 玲良の出生の事が頭に過ぎる。過酷な業務で早期出産で産まれてきた玲良。玲良自身も玲良の母の二の舞いになりたくない。

「だから、ピルの飲用も考えなきゃな」
「今日はまだ飲まなきゃ駄目か………」
「…………だな……俺、妊婦姿のドレス姿より、今の体型のドレス姿のが見たいから」
「で?結婚式前後で『妊娠してました』て?」
「そう」
「………分かった、穂高がそう言うならいいよ………穂高、私の排卵日も把握してるから、私は気が楽よ………排卵日の日は抱き潰される覚悟だけはしとこっと………」

 何気に言った玲良だが、穂高はピクッと眉を上げる。

「玲良………排卵日の日は休み入れろ……俺も入れるから」
「……………まさか……」
「そのまさか…………ふふふっ……その日は朝から抱き潰されてくれ」
「!!」
「て、事で今の言葉で勃ったから、で俺の愛を受け取れ」

 と言う穂高だが、蛋白なセックス等しない穂高にこの夜も濃厚な夜と化したのだった。

          ☆☆☆☆☆

 式場で披露宴をするより、教会で式をした後、ガーデンパーティーにする事にした玲良と穂高。招待客は穂高の方が多いのもあり、席を設けるより、人数差が気にならないからだ。玲良は日本に友人が居ない事が理由だ。

「アメリカの友人は来れない可能性あるから……」
「医大の友人は居たんだな」
「居なかったのは日本の学生時代だけよ」
「医大時代の野郎共は多分、玲良の友人達を期待してるだろうなぁ………一応、招待状送ってみろよ……大丈夫な人は来るかもよ?」
「………送ってみる」

 その日から、玲良はアメリカの友人達に連絡する日が続く。玲良はアメリカでは穂高が知っていた様な人間関係とは真逆で友人は多かった。中学校の友人は多かったが、美奈の策略で中学校の友人だった人達は、連絡を途絶えたままなのだ。

「よし!とりあえずは親しい友達には連絡着いた!」
「良かったじゃん、大半が今の所来れそう、て返事貰って………だけど男友達も居たのはいただけない。」
「…………あのさ……中にはレズやバイ、ホモの人も居るから、偏見やヤキモチ妬かないで………恋愛感情はお互いになかった人達だから」
「…………流石、ジェンダーに優しい国…」
「寧ろ、私がヒヤヒヤしてるかも……バイセクシャルやホモの友達が穂高見ると……て」
「………背後気を付ける」
「うん、気を付けてね」

 一番難航したのは玲良のドレス選びだった。穂高が悩みに悩み、玲良は着せ替え人形にったのは言うまでもなく、お色直し等予定にしていなかったのに、プラン変更を余儀なくされた。

「こっちのドレスもいいけどなぁ………あぁ!こっちも似合いそう!」
「…………えっと……これでいいです……」
「玲良!適当に選ぶな!」
「……………ドレスライン決めるだけでも難儀したのに………すいません……優柔不断で…」
「………い、いえ………ふ、普通はなんですけど……ね……」
「………ですよ………ね……」

 穂高が悩むものだから、玲良が悩めなくなった、という方が正しいのだが、スタッフは付き合ってくれて、何とかドレスを選ぶ事が出来たのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

パパのお嫁さん

詩織
恋愛
幼い時に両親は離婚し、新しいお父さんは私の13歳上。 決して嫌いではないが、父として思えなくって。

離婚した彼女は死ぬことにした

まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。 ----------------- 事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。 もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。 今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、 「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」 返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。 それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。 神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。 大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。 ----------------- とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。 まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。 書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。 作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

処理中です...