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結婚式準備開始
しおりを挟む玲良の父がアメリカへ帰ったその日の夜。就寝しようと寝室に居た穂高。玲良は1人で入浴中だ。
穂高の手には、結婚式場や教会のパンフレットが何札もある。
「…………やっぱ洋装だよなぁ、玲良は」
引越ししてから秘かに集めては、見ていた穂高。ブライダルフェア等の予定に合わせてタイミングよく休めた試しが無いのが現状で、玲良との休みと照らし合わせ行けるフェアを探していたのだ。フェアを狙って行く事も可能だろうが、より結婚式のイメージが付けやすい時の方が、玲良には前向きになると思っていた穂高。
結婚式の催促が無いという玲良を見て思っての事だった。
「!!」
バスルームから出て来るの気配がし、穂高が気になる式場や教会のパンフレットを上にし、玲良を待った。
カチャ。
「ありがとう、穂高」
「ん?」
「お父さんの相手」
「…………あぁ……殆ど話てる内容は医療の話だったから、勉強になったよ」
「外科と産婦人科の相違があるのに?」
「一応、医大生の時に基礎的な知識は入れてるじゃないか」
「まぁね………何、これ……」
ベッドの脇に座ると、穂高が散らかしたパンフレットが置いてある。
「そろそろ式準備しようかな、て思ってなぁ」
「…………籍だけでも良くない?そもそも式準備の時間が取れるのかな?」
「俺が、玲良のドレス姿が見たい!」
「…………あ、そっか………穂高は見たい……よね……私着ても着なくても気にしなかったけど」
「…………何でお前は……そういう乙女的要素が欠如してんのか……結婚願望無いしよ……」
穂高は玲良を抱き寄せると、乾かしたばかりの黒髪を弄る。玲良の黒髪を触るのが穂高は好きで、抱き寄せるとほぼ毎回だ。
「だって、穂高と一緒に居れるだけで幸せだもん」
「…………で?子供は籍が一緒なら産んでもいい、的な?」
「うん……だから、入籍だけでもいいなぁ、て思ってた」
「…………お願い………記念日は思い出共有しようぜ………質素でもいいから、祝福のお裾分け、て意味で結婚式挙げて、玲良と思い出を共有したいんだ………誕生日でも2人で共有したろ?思い出を」
「……………うん……嬉しかった……結婚式もそう思うかな?」
「絶対に思うと思う!」
「…………分かった」
穂高はホッとした顔をし、玲良の額にキスを落とす。
「お義父さんに、玲良のドレス姿見せてやろうな」
「………お父さん喜ぶかなぁ」
「絶対に喜ぶ!!泣くぞ、きっと!嬉し涙だ!絶対に!」
「………な、何で分かるの?」
「俺………娘居たら絶対に泣けると思うから」
「見てみないなぁ、穂高が泣く姿」
「面白がるな!……………で……さ……」
穂高が照れた風に言葉を濁し、玲良を見つめる。
「何?」
「………結婚式の日取り決まったら、それに合わせて妊娠してくれないか?」
「…………それはいいけど、仕事の調整も必要になるよね」
「そんなんは、外科医局内の医者達で回させろ!カバーぐらいさせとけ!妊婦の体調を考えさせないなんて、医者がしていいものじゃない!」
「…………うん……そうだね……分かってなきゃいけない事だよね」
玲良の出生の事が頭に過ぎる。過酷な業務で早期出産で産まれてきた玲良。玲良自身も玲良の母の二の舞いになりたくない。
「だから、ピルの飲用も考えなきゃな」
「今日はまだ飲まなきゃ駄目か………」
「…………だな……俺、妊婦姿のドレス姿より、今の体型のドレス姿のが見たいから」
「で?結婚式前後で『妊娠してました』て?」
「そう」
「………分かった、穂高がそう言うならいいよ………穂高、私の排卵日も把握してるから、私は気が楽よ………排卵日の日は抱き潰される覚悟だけはしとこっと………」
何気に言った玲良だが、穂高はピクッと眉を上げる。
「玲良………排卵日の日は休み入れろ……俺も入れるから」
「……………まさか……」
「そのまさか…………ふふふっ……その日は朝から抱き潰されてくれ」
「!!」
「て、事で今の言葉で勃ったから、ほどほどで俺の愛を受け取れ」
ほどほどと言う穂高だが、蛋白なセックス等しない穂高にこの夜も濃厚な夜と化したのだった。
☆☆☆☆☆
式場で披露宴をするより、教会で式をした後、ガーデンパーティーにする事にした玲良と穂高。招待客は穂高の方が多いのもあり、席を設けるより、人数差が気にならないからだ。玲良は日本に友人が居ない事が理由だ。
「アメリカの友人は来れない可能性あるから……」
「医大の友人は居たんだな」
「居なかったのは日本の学生時代だけよ」
「医大時代の野郎共は多分、玲良の友人達を期待してるだろうなぁ………一応、招待状送ってみろよ……大丈夫な人は来るかもよ?」
「………送ってみる」
その日から、玲良はアメリカの友人達に連絡する日が続く。玲良はアメリカでは穂高が知っていた様な人間関係とは真逆で友人は多かった。中学校の友人は多かったが、美奈の策略で中学校の友人だった人達は、連絡を途絶えたままなのだ。
「よし!とりあえずは親しい友達には連絡着いた!」
「良かったじゃん、大半が今の所来れそう、て返事貰って………だけど男友達も居たのはいただけない。」
「…………あのさ……中にはレズやバイ、ホモの人も居るから、偏見やヤキモチ妬かないで………恋愛感情はお互いになかった人達だから」
「…………流石、ジェンダーに優しい国…」
「寧ろ、私がヒヤヒヤしてるかも……バイセクシャルやホモの友達が穂高見ると……て」
「………背後気を付ける」
「うん、気を付けてね」
一番難航したのは玲良のドレス選びだった。穂高が悩みに悩み、玲良は着せ替え人形にったのは言うまでもなく、お色直し等予定にしていなかったのに、プラン変更を余儀なくされた。
「こっちのドレスもいいけどなぁ………あぁ!こっちも似合いそう!」
「…………えっと……これでいいです……」
「玲良!適当に選ぶな!」
「……………ドレスライン決めるだけでも難儀したのに………すいません……優柔不断で…」
「………い、いえ………ふ、普通は逆なんですけど……ね……」
「………ですよ………ね……」
穂高が悩むものだから、玲良が悩めなくなった、という方が正しいのだが、スタッフは付き合ってくれて、何とかドレスを選ぶ事が出来たのであった。
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