【完結】淫乱売女悪女は愛を、束縛執着男には才色兼備を

Lynx🐈‍⬛

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誕生日の意味

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 玲良は穂高の母が帰った後、キッチンに入る。夕飯を温め直し、呆然とする穂高を尻目に、料理を目の前に並べていった。

「興信所の調査、一旦他持ってくね………」

 バンッ!!

「!!」
「飯より、玲良食う!!」
「お、お腹空いてないの!?」
「…………減ってるよ……腹立って余計に……」
「食べてからでいいじゃない」
「……………だぁ!!腹立つあのババア!!」
「……………そ、そうね……私もおば様の性格から穂高が産まれて納得したもの……」
「………何だって?」
「に、似てるなぁ………て……」

 穂高から目線をずらし、恍ける玲良。

「俺は、玲良にも怒ってるぞ?」
「…………でしょう……ね……」
「口止めされてたろ?」
「……………お、お腹空いたなぁ……」
「玲良…………今日……イキ地獄とイケナイ地獄、どっちか選べ」
「……………え………?」
「玩具使おうとは考えたが、玲良に使いたくねぇからな……俺の全身使って、お前の希望通りにしてやる」
「…………せ、せめて、ご飯食べてお風呂入ってからにして!!……それ迄に選ぶから!!」
「…………絶対だな?」
「…………約束します………」

 逃げれない状況になる事を、穂高の母は絶対に作った、と玲良も思った。『新しい玩具』として認定されたのだ。穂高の母は、玲良に会うなり、玲良に言った。

『早く、穂高に病院頼みたいのよね………医院長の肩書きはもう沢山!一、医者でありたいわ…………だからね、早く結婚して孫の世話させて~』

 と。だから、事件を知り玲良が躊躇すると思ったのだろう。警察病院から退院し、職場復帰する前に、普段通りの生活を取り戻させようとしたのだろう。確かに退院してから玲良は穂高に抱かれていないのだ。抱こうともしない穂高。キスや愛撫はしてくれるが最後迄していなかった1週間。
 食事を終え、穂高と共に食器を片付ける玲良。その間に風呂の準備も出来てしまった。

「玲良、湯船に入れていいか?」
「………何?」
「ローション………風呂用」
「………ま、また何すんの?」
「人体には害はねぇよ………まだ怖いだろ?セックス」
「!!」
「拘束プレイはしないけど、挿入ったら、『あ、こんなもんか』てなるんじゃないか、とな」
「…………」
「使ってみるか?」

 一緒に気持ち良く、思い合ってなければ最後迄出来ない。それは穂高と居る事で分かっていた事だった。

「う…………ん……」
「……………入ろうぜ」

 手を穂高に引かれ、脱衣場に入る玲良。

「自分で脱いで入っておいで」

 さっさと穂高は脱いでバスルームに入ろうとするが、玲良は穂高の手を掴んだ。

「脱がして………手……震えてきた………」

 緊張が穂高に伝わる玲良からの震え。ブラウスとスカートだけの簡単に脱げる服だ。だがそれでも難しい玲良。穂高の手が、ブラウスに掛かる。無数にあったキスマークや山科からの拘束の痕はもう無い。心の傷だけだ。

「俺は……」
「…………?」
「……ずっと自分を許せないだろうな……」
「穂高………」
「山科から守れなかった事に」
「私……知らなかった……」
「何を?」
「…………山科先生が、私とアメリカで別れてから、私の事調べたんだって……だから、私が穂高の勤める病院に行く事を予測して、穂高をずっと警戒してた、て………」
「…………あぁ、まぁバレるだろうな……パスワード知れば……」
「パスワード、そんなに単純なの?」
「……………reira0712………」
「………私は分かるけど、0712は?」
「…………俺の誕生日と、お前と俺が初めて会話した日………」

 穂高に全部脱がされ、照れ隠しから目を反らし玲良に手を差し出す穂高。

「し、知らなかった………よね……私も穂高の誕生日……」
「聞かれてない寂しさがどれだけ悲しいか分かれ………」

 玲良は穂高の手を取り、バスルームに入る。

「私、1日1日が大切で思い入れが違うし、会えただけで嬉しいから、誕生日なんて関係ない、てずっと思ってた………」
「……………は?」
「………違うの?穂高は……」
「好きな相手の誕生日なら祝いたいだろ!」
「…………そういうもの?」
「…………はぁ……入るぞ」
「え?身体洗わない?」
「…………今のお前に簡単に触れられるかよ………ローションで慣らす」

 湯船に入り、肩まで浸かるとヌルヌルとした温かいお湯だ。先ずは離れて沈む。

「私ね………誕生日っていうのは、子供から両親への最初のプレゼントだって思ってるから、恋人同士のプレゼント、て不思議だったのよね………『産まれてきてくれてありがとう』は親から子への言葉だけど、別の意味で『親にさせてくれてありがとう』て思えない?」
「…………あぁ……」
「お母さんに言われたの、今際の際に……『親にしてくれてありがとう』て……だから、誕生日は親の為にあるのかな、て……だから穂高に誕生日を聞かなかった」
「……………」

 穂高は、玲良に手を伸ばし抱き締めた。ローションで滑ってしまうが、温もりは感じる。

「玲良………頼むから……夫婦間でも誕生日祝わせて……寂しい!俺は!」
「…………分かった」
「…………何か納得した、ていうか……損したっつうか………もう、俺の誕生日過ぎてるし……」
「言ってくれれば……」
「自分の女が誕プレせがまないのに、俺がせがめるかよ…………はぁ……」
「ごめん…………」
「来年からな」
「…………うん」

 納得した所で、穂高から玲良に仕掛けたのは、話が一段落して直ぐだった。

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