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甘々デート
しおりを挟む翌朝。ホテルの1室で、ルームサービスで朝食を取る玲良と穂高。
「腰痛い………」
「いやぁ、頑張ったなぁ俺」
エスプレッソに舌鼓をうち、朝日が入る部屋の日差しに眩しさを感じ、玲良は穂高に聞いた。
「2時間ぐらいしか寝てないけど、この後如何するの?」
「ドライブデートしようかと………俺達、高校の時は図書室デートばっかだったろ?遠出も無ければ街中デートもしなかったからな………どうだ?」
「…………街中デートしたい!腕組んで一緒に歩きたい!」
「了解………車はどっか駐車場に置いて、繁華街ぶらぶらするか……」
「いいね、こういう話………本当にしてこなかったもんね………いつも試験問題の山当てと、答え合わせかセックスか、だったし……」
「…………ヤリたい盛りですいませんな……」
「それは今もでしょ」
「……………ごもっとも……」
穂高から、またしても渡されるバック。
「…………また玩具とか、エロい下着じゃないでしょうね?」
「………エロい下着は合ってるが、それは俺の趣味だと諦めて着てくれ………服入ってるんだよ………2日続けて同じ服はお前着ないだろ?」
「…………あ、ありがとう……持ってきてくれてたんだ………」
「ま、俺からのプレゼント、て事で………着なさそうな服を選んでみた………気にいるかは知らん」
バックの中には大きな箱があり、皺にならない様に綺麗に畳まれた、ワンピース。
「…………確かにワンピースなんて着ない……」
「だろ?」
深紅ノースリーブのフレアワンピース。背中は開いてはいるが、キスマークがかろうじて見えないでホッとする。
「うん、似合ってる」
「私、誕生日でもないよ?」
姿見の前で、ワンピースを着た姿を穂高に見せる玲良。
「んな事は知ってる………祝いたかったんだよ、付き合ってた高校時代でも………誕生日教えてくれねぇし、今もお前の誕生日知らないままだ………だから、俺にはお前の誕生日は知らない体でいく!プレゼントしたい時は贈るし、甘やかしたい時にも贈る、て決めてんだよ!」
「そ、それは止めて………」
「何でよ」
「は、破産するって………と、言うか………甘え癖を私に付けないで………よ、欲はあるから………それで甘えさせてくれたら………いいの……」
「欲って?玲良にあるか?」
「あるよ!!…………穂高……っていう欲が……」
「!!………………アカン………押し倒したい……」
玲良の1言で、壁に手を掛け項垂れる穂高。
「デート行こ!デート!!………ごめん!煽った!!夜に………ね?夜にいっぱい!」
「……………また生殺し………」
「でもさ………このワンピースにこのパンプスは合わない………」
「………だなぁ……靴迄は考えてなかった……下の店で見てくるか……もう開いてる時間にはなってる筈だし」
「そうだね、チェックアウトする序でに行こうよ」
靴を売っている店に入っても、穂高は靴代を払おうとする。
「これは私が払う!」
「いいんだよ、甘やかしたいんだから!」
「だって、ワンピースも貰ったんだよ?コレは私が払うってば!」
「部屋に付けてくれ」
「穂高!」
「折れなきゃ、ここで濃厚なキスするぞ?」
「!!」
「お願いします」
払う払わせないで、店の中で喧嘩し、結局穂高に負けた玲良は、真っ赤な顔していた。まるで、ワンピースの深紅の色の様に染まる頬。選んだ靴はローヒールのサンダルで、長時間歩く事を考えて、2人で選んだ物だった。
「面白いな………成績では、全く玲良に勝てなかったのに、こんな事で勝てるとは……」
「本当に、甘やかし過ぎは………自分の為に使ってよ……」
「自分の為に使ってるけど?………可愛い玲良が見れる」
「…………もう……怒れないじゃない……」
チェックアウトし、近くの駐車場に車を移動させて、街中をぶらつく玲良と穂高。映画を見る事にし予約時間迄、空いた時間を有効活用し街を散策する。
「そろそろ映画始まるな………行くか」
「…………」
「玲良?信号渡る………」
「あ、うん」
「……………」
交差点の信号待ちで止まっていた玲良と穂高だったが、玲良が上の空になっていた。映画は映画で楽しんで、帰るの予定をしていたのだが、穂高が玲良に1軒行きたい所がある、と言って、立ち寄った店に入る。
「ここ?」
「そ………入ろうぜ」
穂高はショーウィンドウをチラ見し、店員に声を掛けた。
「窓際に飾ってあるピアス見せてもらっても良いです?」
「……………穂高?」
「あと…………仕事上、指輪出来ないんでピアスに合うネックレスなんかあれば………」
「穂高………まさかまた?」
「見て気にいるか、似合うかは当ててみたらいいじゃないか…………俺が買いたいか買いたくないかは、それから………」
「ちょっと…………もういい加減に………」
「玲良………言ったろ?俺はお前の誕生日を知らないから、気にしない事にした、て」
「……………誕生日………1月19日よ……」
「…………なら、今年の誕プレを遅れた詫びって事で!」
「穂高~!!無駄遣いもいい加減にしてよ~っ!」
結局また押し付けられる様にして、ネックレスとピアスを穂高から贈られた玲良は、その夜も甘いお返しと称し、穂高に食われるのだった。
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