【完結】淫乱売女悪女は愛を、束縛執着男には才色兼備を

Lynx🐈‍⬛

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別れそして、6年後

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 好きな女の温もりを、断われる程出来ていない穂高。この日、久々に玲良を貪っていた。すっかり、男を知る身体に変わった玲良は、避妊具越しであろうとも、穂高を酔わせた。

「はぁ…………はぁ………はぁ……」
「………穂高……ありがとう………大好き……」
「聞きたくねぇ!!」
「………もう、行かなきゃ……元気でね……」

 抱き潰したつもりで、穂高は玲良を抱いたのに、玲良は立ち上がり服を着ると、玄関に向かう。

「玲良!!」
「…………6年……頑張ろ……別々の地で………ね?」

 裸のままの穂高は玄関で玲良を引き止めるが、振り返る事はしない玲良。

「メールも電話もする!!だから……」
「…………ごめん……スマホ……解約しちゃった………甘い夢じゃないでしょ?私達が目指す事って………今度………また再会してお互いフリーだったら、また傍に居てくれると嬉しいな…………忘れたら……私も忘れる………から……」

 玄関のドアが締り、玲良は勇み足でエレベーターへと駆け出した。泣きながら駅へと向かう。空港で先に待つ父の元へと。
 穂高の受けた傷は、深い物となった。暫く荒れたのは言うまでもない。

        ☆☆☆☆☆

 約6年後、初夏に差し掛かるある日。この年の春、研修医から医者となった穂高。喫煙室で煙草を吹かし、途方に暮れていた。

「富樫先生、今日飲みに行きません?」

 休憩中だと知るや否や、看護師や独身の女性医師達からの誘いが絶えない穂高。

「…………あぁ……セックス付きならいいっすよ……あ、勿論避妊はしますんで」
「やだぁ、富樫先生なら避妊しなくても喜んで相手しますよ~」
「………避妊必須じゃなきゃ、お断りします………失礼」

 まだ残っていた煙草を、苛つきながら消しさり、喫煙室を出ようとした穂高。

「あぁ、やっぱりここに居たか……富樫」
「遠山先生、如何しました?」
「今朝、言ったろ?アメリカから博士号取った小児外科医が赴任する、て」
「………あぁ、言ってましたね」
「女医らしいぜ……しかも若いってさ」
「女なんて、ま○こありゃ誰でも一緒でしょ」
「……………お前ねぇ……産婦人科医なら女性への敬意を表わせよ……」

 廊下に患者や看護師、人が居なかったのをいい事に、穂高は気にせず下ネタを言う。

「美人ならいいっすね……」
「名前は聞いたぞ………纐纈 玲良……って言ってたな」
「!!………こ、纐纈………玲良……」
「ん?知り合いか?…………あ、おい!走るな!!」
「何処行きゃ会えますか!」
「今から産婦人科病棟に来る、て連絡入った……」
「了解っす!」

 6年振りに聞く名前。愛しくて高校を卒業してから頑張っているであろう彼女の足手まといになりたくなくて、彼女の夢であった小児外科医の命の橋渡し的存在になれるように、穂高も頑張っていた。女遊びには荒れてはいたが、医者としては真面目に取り組んでいたのだ。

「…………はぁ……はぁ……玲良……は……まだか………」
「富樫先生、何かありました?そんなに慌てて」
「………き、今日から赴任してきた、ていう小児外科医は……」
「もう来られるんじゃありません?正確には、来月かららしいですけど……今日は挨拶だけ、と」

 手の空いた産婦人科病棟の医者や看護師が集まって来ると、外科部長と共に見覚えのある背丈に黒髪の女性が歩いて来る。外科部長の後ろに付いて来る姿で顔は見えない。

「集まって頂いてすいませんな、鬼頭先生方、産婦人科病棟の皆さん」
「いえいえ、とても優秀な先生が来られると聞きましたからね、我々も心強いですし、挨拶せねば、と」
「纐纈先生」
「………皆様、はじめまして来月から赴任する小児外科医の纐纈と申します。アメリカでフェローシップを取得後小児外科医になり、帰国致しました。まだ若輩者で至らないかもしれませんが、乳幼児の外科治療に関してお力添えさせて下さい」
「……………玲良……」
「!!………穂高?」
「富樫先生、知り合いですかな?」
「後藤教授、高校の同級生だったんです……卒業後別の医大に進学しましたから、会うのは6年振りになりますけど」

 外科部長の後藤の質問に玲良が代わりに答えた。

「ほぉ……富樫先生と纐纈先生は同級生でしたか、久々で募る話はあると思いますが、それはまた時間を作って下さいね」
「そうですね………富樫先生、ではまた」
「………っ………えぇ、纐纈先生……」

 話したくても話せない状況に、握り拳を作る穂高。

「何何?お前……あの美人先生と何かあった?」
「……………別に何もありませんよ」
「名前呼びしてたのに?」
「同級生でしたから、名前呼びなんて当たり前だったんです………まだ休憩時間ありますから、煙草吸ってきます」
「……………俺、狙っちゃおっかな~、あんな美人なら」
「!!………止めて下さい!!あいつは軽い女じゃないんで!」
「なら、今夜付き合え………聞かせてくれるよな?」
「…………クソっ」

 しまった、という顔をする穂高に対し、先輩医師は面白いネタらしい事を聞き逃すつもりはなかった。
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