【完結】淫乱売女悪女は愛を、束縛執着男には才色兼備を

Lynx🐈‍⬛

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諸悪の根源

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「玲良、今日試験勉強付き合え」

 ざわっ!

 学校に着いた早々、穂高が玲良のクラスに会いに来る。苗字呼びから名前呼びに変えた穂高が、関係を持って翌日の事だった。

「………富樫君………」
「穂高、て呼べ、て言ったろ?」
「…………な、何で……学校で………」
「付き合ってんだから、いいじゃないか」
「つっ、付き合う、て言ってないわ!私は……」
「まぁまぁ………て、事でちょっと今日歴史のノート持ってないか?」
「持ってないわ……今日歴史無いもの」

 ズカズカと、教室内に入り玲良の机の上にドカっと座る穂高。

「あぁ………そっか」
「ちょっと!座らないでよ!」

 机の上から下ろそうと、穂高の背を押す玲良。

「いやん!」
「!!」
「感じるだろ!?」
「え…………?」

 強くは押さず脇腹に触れた玲良の手に感じる素振りを見せた穂高。

「やらしいわねぇ………流石、淫乱女」
「イチャつかないで欲しいわ、学校で」
「…………っ……ご、ごめん富樫君」
「………穂高って言えよ、玲良………あんな性悪嫌味なんて気にするな、アイツだって体育館裏に男連れ込んでヤってんだから……玲良も見たよな?」
「富樫君!………そ、それは……」

 波風立てず穏便に済ませる事は出来なかったのだろうか、穂高は嫌味を言ってきた女生徒に向け、冷ややかな目を向けた。

「知ってるか?玲良………アイツは1年の時、俺に告ってきたんだよ、だから俺は『才色兼備なら考える』て言ってやったのさ………そうしたら、何故か玲良の悪口言いたい放題して、嘘の噂流したんだよ……誰だっけ?玲良の中学の同級生……確か美奈って言ったか?アイツ、美奈の従姉らしいぞ?なぁ?」
「えっ!!美奈の!?」
「…………だから何なの?美奈から聞いたのよ!!入学式の時、女性専用車両に乗れなかったから、一般車両に乗ったけどサラリーマンに色目使って、痴漢に遭わせたって!自慢気に、美奈の顔見て喜んでた、てね!」
「……………なっ!」
「……玲良……いいから黙ってろ」
「でも………」

 理由は違うのに、美奈の勘違いから来るのか、入学式後の美奈の態度を考えると、玲良を陥れたかった方が正しい。それを美奈から聞いた女生徒は、更なる玲良の評価を下げようとしてきていたと見ていい様だ。あれこれと悪評を言いふらし、虐めを助長してきた事を暴露したも同然だった。

「俺、アンタ振って良かったわぁ……玲良と付き合えるきっかけ作ってくれたしな」
「何処がいいのよ!そんな淫乱!!」
「は?………玲良、処女だったけど?俺と付き合う迄」

 ざわっ!

「そんな女が淫乱か?…………それを言うならアンタじゃね?……見る?アンタがBクラスの男とシケ込んだ写真あるけど?」

 そう言うと穂高は、スマホの写真を女生徒に向ける。体育館倉庫裏に目の前の女生徒と別のクラスの男子生徒の姿。望遠でボヤけてはいるが、女生徒の顔を見れば本人だろう。青褪めている。

「よく学校でスるよなぁ?俺は嫌だけど………なぁ?玲良」
「わ、私に意見求めないでよ!」
「この写真、担任に見せてもいいんだぜ?………如何する?玲良への謝罪と嫌がらせ止めたら、消去してやる」
「……………て……」
「何?」
「…………消してって言ってんのよ!!」
「消してやってもいいけど?」
「今、嫌がらせ止めたら消すって言ったじゃない!」

 女生徒は向かって来て、穂高のスマホを取り上げようとするが、他の生徒達に阻まれた。

「何よ!!アンタ達も信じてたじゃないの!この女の噂!!」
「見苦しいから止めたら?もう」
「だって、ずっと負けてるじゃない、纐纈さんに」
「玲良に謝罪したら消去考えてやるよ」
「するか!そんな事!!私は美奈を信じるから!!」

 ガタガタッ!!

 女生徒は居たたまれなくなったからか、教室を飛び出して行く。

「て、事で………また何か言われたりされたりしたら、言ってくれて構わないから」
「…………馬鹿じゃないの!?富樫君!こんか大勢の前で………あんな………あんな事………」
「あんな事?」
「…………し、し……処女だって……」

 守ってくれた事は感謝はしているが、昨日迄処女だった事を暴露され恥ずかしさで、顔が火照る玲良は、腕で顔を隠そうと俯いていた。教室内の生徒達にも初めて見せる、動揺しまくる玲良の姿にどよめく。穂高も、それは察知し机から慌てて降り頭を撫でた。

「あぁ………悪かったよ……暴露して」
「触らないでよ!!馬鹿っ!!」
「アイス奢るから許して…………な?」
「要らないわよ!!」
「…………じゃ、医学書」
「…………見る……」
「…………アイスより医学書か……なるほど」
「!!許してないからね!!」
「纐纈さん、可愛い」
「あんな顔するんだ………」
「はっ!!………じゅ、授業始まるから!!富樫君も戻りなさいよ!!」

 真っ赤な顔をして、玲良は穂高を教室から追い出した。

「後でな~、玲良」
「来るな!!」
「プッ…………めっちゃ可愛いぞ、今の顔」
「!!………知らない!!」

 その日1日、別の意味で冷やかされながら授業を受けたのは言うまでもなかった。
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