【完結】鬼畜皇太子にロックオンされまして…………

Lynx🐈‍⬛

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コルセアと再戦

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 ルカスはマークと共に、モルディアー二の城に帰省した。

「マシュリー!」
「ルカス様!………お会いしたかった……」
「抱き締めたかったの間違いじゃない?」

 抱き締めて、お互いの温もりを感じるのは、約3ヶ月振りだ。その間、『皇太子妃懐妊』をひた隠しにさせていたルカス。

「意地悪です、ルカス様」
「ゴホンッ!」
「………あぁ、父上、母上、ご挨拶遅れ申し訳ありません」

 ルカスはマシュリーから身体を離し、皇帝と皇妃の前で頭を下げた。

「…………で?何度か話しは聞いていたが、コルセアとの国境の街人は避難はさせておいた。だが、此方に来るという情報は確かか?」
しました。それを信じるかは、コルセア国王の匙加減ですが、更に確証させるを撒こうかと」
「…………それは?」
です」
「…………内密にしておいてくれ、と言ったのはか!」
「附属付で、と付けます」
「…………なるほど」
「ジェルバからコルセアへ戻るとしても、アガルタ経由で帰るでしょう。コルセア、アガルタ国境を挟む様に大きな川がありますし、橋を新たに作ったとしても、俺達がモルディアー二に着く方が早く、その間に此方は準備が出来ますからね」
「ジェルバはもう攻めないとみているのだな?」
「念の為に将軍2人は待機を」

 皇帝は、頷いて立ち上がった。

「ルカス、任せる………場合によっては国境内に入られるかもしれんが、コルセアが追い返せ!2度と来れない様にな」
「はい!」

        ♡♤♡♤♡

 百合の間。久々のマシュリーとルカス。マシュリーは精神だけのルカスにはほぼ毎日会ってはいたが、実体の温もりは久々だ。百合の間に入るなりイチャイチャ始め、カレンは冷たい目で、若い侍女達はうっとりと見ている。

「あ、そうだエリス」
「はい」
「マークが、エリスに会ったら伝えておいてくれ、と言った言葉があったんだが、今伝えていいか?」
「……………あ、はい」
「『愛してる』だとさ………今日はあいつも久々だろうから、エリス休みにしていいぞ」
「!!………マ、マークが………」

 ルカスによりマシュリーは抱き締められ、エリスに伝言ではあるけれど、マシュリーはルカスの口から、別の女に『愛してる』という言葉を口にされ面白くないのか、ふくれっ面だ。顔を手で覆い、照れているエリス。仲間の侍女達にも冷やかされている。少し膨らんだエリスのお腹は、幸せの象徴だ。

「カレン、休ませてやってくれ………今日は……明日以降は、今迄通りエリスが無理せぬ程の仕事をな」
「畏まりました………エリス、マーク様の所へ行ってらっしゃい」
「ありがとうございます、ルカス様、カレン様…………申し訳ありません、姫様」
「…………久々ですもの、わたくしは大丈夫よ」

 一礼するエリスには、笑顔で見送るが、エリスが百合の間を出て行くと、マシュリーはふくれっ面に戻る。

「ルカス様」
「マシュリー、悪阻はまだある………のか?」

 ルカスは、マシュリーのお腹を擦りながら、顔を覗き込むと、ふくれっ面のマシュリーに言葉が吃る。

「ルカス様、マーク卿からの伝言ですし、エリスは悪阻も酷くて、なかなかわたくしの世話等出来ず、久しぶりに会ったのは存じていますが………でも、ルカス様のお口から、他の女性に『愛してる』等と聞きたくありません!!」
「…………あぁ……ごめんごめん……これでもかなり、マークには世話になってたんで、エリスの顔を見たら言わなきゃな、とずっと頭の片隅にあったんだよ…………心が篭ってる訳ないだろ……それに………アレはマークへの仕返しでもあるから………」
「仕返し?」
「…………日頃の嫌味の数々の仕返し」
「ルカス様が原因ではないですか」
「…………カレン、皺増えたか?」
「「ルカス様!!」」

 その夜、房事はしないが、百合の間でそのまま夜を過ごすマシュリーとルカス。入浴や食事以外は常に寄添って、お腹を擦りに来るルカスに、マシュリーは言葉でなくても、愛情は伝わるのだと知った。

「今………4ヶ月?」
「そうですね、入りました………悪阻、ていろいろな症状があって、驚いてましたわ」
「………そうか………あまり、母上を困らせるなよ」
「…………まぁ……困らせてる方が仰っいます?」
「俺がマシュリーを困らせてるのは、特にの話だろ?」
「……………そ、そうですが……」
「この子が、俺達の房事に参加する訳じゃない」
「……………ルカス様………んんっ…」

 押し倒されそうになり、逃げようとしたが、支えられてそのままベッドに寝かされ、キスをされたマシュリー。

「…………マシュリー、愛してる」
「………わたくしも………」
「………………」
「??」

 甘い雰囲気になり、いつもなら雪崩込み貪るルカスだが、それを我慢している。

「あぁ!!…………房事したい!!」
「………プッ………我慢ですよ、ルカス様」

 本来ならば、出来ない事はないのだが、激しく抱くルカスには内緒にしているマシュリー。歯止めが効かないルカスの事だから、お腹の子が心配で堪らなかった。



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