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スィーツな夜♡

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「つ~か~れ~た~!!」
「サボるからでしょ!」
「お前だって、エリスに会いたいだろ!?」

 執務室で、ウダウダと駄々を捏ねるルカスと、クールなマーク。そして、レナード。

「俺は時間を有意義に決めて、エリスと会ってますし」
「お前は、俺をここから出さないじゃないか!」
「マークは、雑用であちこち行ってはエリスに会ってますからね」
「言うな、レナード!!」
「……………何だとぉ……今日は早く部屋へ帰せ!!子作りするんだからな!!」
「「……………おっと……直球……」」

 マークとレナードは持っていた書類を落としそうになる。すると、マークはエリスから聞いていたのか、ルカスに話す。

「排卵日の日程なら、エリスから聞いてますよ………だから、今日迄詰め込んだんじゃないですか………明日のなら、時間調整出来………………ルカス様っ!!」
「逃げたぁ!!」
「…………たく……エリスがマシュリー様付侍女だから分かった情報なのに……」
「医者の娘だからか?知識豊富なんだなぁ」
「エリスの父上は、ツェツェリア族の中でも評判いい医者らしくてな…………モルディア皇国の医者も参考にしたい医者も居るらしい」
「へぇ~………で?お前達の結婚はいつ何だ?」
「……………知ってたか」
「俺の情報網を甘く見るなよ?出なきゃ、お前だって、ルカス様の操作出来なかったろうに」
「………はいはい、感謝してるよ……流石、乳兄弟」

 幼い頃からルカスと兄弟の様に育ったマークとレナードだが、ルカスの性格を1番よく知るのはレナードの方だ。それを知って、マークにルカスの扱い方を教えていた。従兄弟同士の関係のルカスとマークだが、ルカスはマークに一線を引いている。だから、副官としてマークはルカスの側に居られるし、ルカスはマークを側に付かせ、必ず連れて行く。レナードだと仕事にならないからだった。

「で?いつ?」
「何が」
「エリスと結婚」
「……………マシュリー様が懐妊したら……かな……で、俺達も計画的に子作り………ふふふ……エリスを乳母にさせる」
「…………お、おい………相変わらず腹黒……」
「乳母探しは面倒なんだよ………身分とか、マシュリー様が合う女を探す事になるからな………それとも、レナードが探してくれるのか?」
「…………し、仕事がぁ………」
「エリスなら、カレンも文句無いだろうしな」
「それは言えてる」

 侍女長の御墨付が1番大きい、乳母相手。厳選は、時間も大事だ。マシュリーが妊娠して直ぐにその前後に妊娠した女が必要で、城に出入りが許される身分から探さなければならないからだ。それを見越して、マークはエリスと付き合っていた訳ではないが、エリスの豊富な医療知識や、マシュリーの信頼度、敬う姿勢に、マークは心を開いた結果だった。
 一方のルカスは、薔薇の間に着いた所だった。

「マシュリーは百合の間か?」
「マシュリー様なら薔薇の間でお待ちですよ」

 警備の兵士に伝えてあったのだろう、ルカスが百合の間にノックする前に、兵士が教えてくれた。

「そうか………を頼む……午前中迄、侍女以外通すな」
「はっ」

 すると、兵士達は扉から離れ、薔薇の間と百合の間の階段辺りで警備を始める。=という、暗黙の了解になっていた。ルカスは、マシュリーの声を兵士にも聞かせたくない。今迄の付き合っていた女達は、そんな気も無かったが、マシュリーだけは違うのだ。

「マシュリー」
「ルカス様………お疲れ様でございます」
「待たせたか?」

 マシュリーは読書中だったのか、枝折を挟み、本を綴じ膝上に置いた。

「いいえ、マーク卿から『ルカス様がグダグダ言い始めたら、部屋にお帰ししますので』と教えて頂きまして、そろそろかなぁ……と」
「…………どいつもこいつも……」
「ふふふ………皆さん、ルカス様の事を理解しているのですわ」

 マシュリーも、忙しくしていない日の仕事終了時間を知っているから、その時間になれば、駄々を捏ねるだろうと、準備して待っていただけだ。

「マシュリーも?」
「勿論です………お疲れでしょう?肩揉みましょうか?」
「…………いや……癒やすなら、マシュリーのなかがいい!」
「きゃっ!」

 マシュリーの膝上の本を、テーブルに置いたルカスは、抱き上げてマシュリーをベッドへ連れて行く。

「このままでいいかな………風呂入ってないけど………」
「後で一緒に、てどうせ仰るじゃありませんか」
「ま、いつもだな………」

 ルカスは首から『虹色の涙』、マシュリーの宝石のネックレスを外す。ジェルバから帰省後、新たにネックレスをルカスは作って、神力を制御していた。マシュリーの胸のネックレスとお揃いのデザインだ。用途は違うが、ルカスは身に付けていると、身体の調子がいいらしい。

「外すのですか?」
「外した方が、けど?」
「!!…………そ、そうですか……ね……」
「神力を制御したまま、マシュリーを抱きたくない…………全力で愛したいからな」
「……………限界迄は……ちょっと……」
「駄目」
「………お手柔らかにお願いします………」

 マシュリーはルカスの首に腕を回し、キスを強請った。
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