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アガルタ国王子動く
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しおりを挟むざわざわざわざわざわざわ……。
ジェルバに着いたルカス。ジェルバに居た者達は、ルカスが結婚した事は聞いてはいたが、ルカスやマークの髪色が変わり過ぎて、戸惑っていた。
「………目線が痛い」
「ですね………」
「こっちにも、公爵家の者が居るだろ?居なかったか?」
「居ましたねぇ………呼び出して確認します?」
「…………役立つならな」
「………あぁ、制御」
街中で戦闘の準備をしているルカスとマーク。留守にしたのは半月程だ、その間もアガルタはのらりくらりと繰り返して、一向に撤退する気配も無く、陣営を置いている。
「お前は出来てるのか?」
「俺はルカス様程、神力は無いみたいです………強い弱いは割と分かるみたいで、やっぱりルカス様はモルディア最高の強さを持ってらっしゃって………だから性欲も並大抵なモノじゃないんですねぇ」
「性欲と一緒にするな」
「多分、俺の場合、判別出来る程度のものです、適性判断に長けてるようで………」
「お前はそういう戦略的な仕事が得意だから、判別出来るんだろうよ………指示出しは俺も一目置くからな」
「……………気持ち悪いですね、ルカス様が俺を褒めるなんて」
「結婚して、寛大になったんだろうな!ははははははっ!」
「鬼畜さを変えればいいのに………」
「おい!」
相変わらずのやり取りをしなければ、始まらないのか、とさえ思う会話が済み、ルカスは壁の頂上迄来る。
「殿下………見慣れません」
「お疲れさん………見慣れろ……どうだ?」
「陣営から離れた所にも、隊が来るのが見えるようになりました………恐らく追加でしょう………我々は無傷のまま、推定100万は倒してますから」
「そんなに死体増やしてアガルタは諦めないのか?」
「阿呆ですよね~」
「……………ん?軍旗…………今迄のより派手だな………アガルタの資料あるか?」
マークはルカスに資料を渡し、その代わりに双眼鏡を受け取る。だが、ルカスが調べ終える前に、マークが誰が来たのか分かった。
「あれは、第二王子の軍旗ですね」
「…………お前に聞いた方が早かったじゃねぇか」
ルカスは資料を閉じ、マークに突っ返す。
「何言ってるんですか!調べるのも必要なんですよ!………第二王子は確か第5側室の子供で、性格は王子の中でも温厚だとか……争いは好まず、しぶしぶ来させられた、てところでしょうね」
「………温厚ねぇ………でもアガルタ国王の息子だろ?王子の中での話で……」
「………違うと?」
「揺さぶってみるかな………」
「…………また企む……」
ルカスが何かを企む時は鼻歌が出るのを、マークはよく知っている。
「人聞き悪いなぁ………ちょっと神力を試したいんだよな……」
「え!!」
「お前達、少し俺から離れてろ」
「…………ま、まさか……ここから試すって言うんですか!!いくらルカス様の剣の斬撃が飛ぶからといって、あそこ迄大分距離ありますよ!!1、2mどころか何十倍もの距離ですし……」
しかし、ルカスは本気だった。壁の手摺に乗り、柵に足を引っ掛ける様に登る。剣を構え、上から力任せでひと振り下ろした。
ブォッッッッッ!!
風が起こり、木々がなぎ倒されて行く。その光景に竜巻でも起きたかのような威力の斬撃が飛んだ。それが陣営にまで届き、竜巻の様な斬撃は、陣営を崩していく。
突如起きた出来事に陣営から悲鳴がとどろき、パニックになっている。
「「「「「「…………………」」」」」」
「………すっげ~~~!見たか!あれ!」
「…………化けもんですか!ルカス様!!」
「只でさえ化物じみてたのに……」
柵から下り、弓兵に指示を出すルカス。
「手紙を書く、矢で飛ばせ」
「…………は、はい!」
「…………………よし、コレを放て」
「……なんて書いたんですか?」
「………ふふふ…………どう、出るかな……」
「ルカス様っ!」
一方のアガルタ兵陣営。
文矢が放たれ、陣営の兵に届き、陣営の隊長に届けられた。しかも受け取った陣営は激怒する。
『新しい武器の試し撃ちに的になってもらった。まだ欲しければくれてやる。嫌なら首都に戻って、恋しい女達に慰めてもらえ………ジェルバ国参謀司令官より』
そんな役職等は無い。モルディアがジェルバに関わっている事はまだ知られる訳にはいかないのだ。
「馬鹿にしおって!」
その手紙には、絵も書いたルカス。房事絵と泣き顔を簡単に書き、しかも相手に分かるように馬鹿にした絵と文書。
「直ちに出陣だ!!武器を持て!!あんな壁等ぶち壊せ!!」
だが、彼等は二度と首都に帰れず、第二王子が着いた頃にはもう殲滅されていた。
「ど、どういう事だ!防衛がしぶといと言うから、俺が仕方なく来たのに、壊滅させられているのはアガルタじゃないか!!………早く父上に知らせろ!!ジェルバが本気で反抗したとな!」
その予測通りの行動をルカスは壁の上から高みの見物をしていた。僅か3回、剣を思い切り振り切っただけの攻撃しかルカスはしなかった。
「さて、どう動くかな」
「ルカス様がえげつない…………」
神化した力を持ったルカスに、恐ろしさを見たのはジェルバ兵もモルディア兵も同じだった。
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