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嫉妬は心を狭くする
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しおりを挟むマシュリーが鬼畜ルカスに散々貪られてから数日、マシュリーの元に紹介状が届けられた。マシュリーには全く交流の無い令嬢からのお茶会の紹介状。しかも女性のみ参加とあり、マシュリーは悩んでいた。
モルディア皇国へ来て、貴族の令嬢達との交流もしてきておらず、身に覚えのない紹介状に戸惑っている。
「姫様、ルカス殿下にご相談されては如何です?」
「……………煩わしくないかしら、こんな事でご相談するなんて……」
皇太子妃になるのだから、それぐらいの判断はマシュリー自身がしてもいい程の案件だと、マシュリーは思っている。だが、モルディア皇国の貴族の確執や立場や派閥等まだ勉強中で、皇族推進派かそうでないかの違いが分からないまま、勝手には決められないと思っているが、その事で時間を取らせる事は避けておきたかったのだ。
「カレンさんは分からないですかね?」
「…………カレン?……そういえばそうね」
「私ですか?申し訳ありません………私は皇族居住の専属侍女頭ですから、他の貴族方の派閥等は詳しくなく………息子のレナードなら分かるかと……呼びましょうか」
「お願いしていいかしら?………でもルカス様怒らない?部屋に呼び出して」
「…………そうですね……でしたら、皇族専用の応接室に伝えておきますわ」
「えぇ、それなら………お願いしますわ」
暫くしてレナードから返事が来る。その時間に応接室で会う事にしたマシュリーは、紹介状を持ってレナードに会いに行った。
「申し訳ありませんわ、レナード………お仕事お忙しいのに」
「いえ、母から聞いてますし、ルカス様よりかは時間は取れるので、ご相談に応じられるかと」
アナと、他の侍女と応接室に来ると、持って来た招待状をレナードに確認してもらうマシュリー。
「お茶会のご招待なのだけれど、ルカス様や陛下、皇妃殿下とご親密な方の貴族の方のご招待なら伺ってもいい、と思っているのだけど、わたくし何方がそうで、何方が駄目なのかを分からなくて………政に関わる方の貴族のご招待で顔を出した方が良い方がみえたら、其方にも伺うつもりではいるの………レナードなら、ルカス様の副官ですし分かるかと思って………」
「…………お茶会の参加有無ですね?……確認します……………あぁ………コレとコレ……あとコレ……………は行かれない方が良いかと………あとココと………あ、コレもか………うわっ!ほぼこの招待状、ルカス様のお手付きされた令嬢ばかりですねぇ……行ったら、ルカス様が怒りそうなので、オススメはしません…………この家は、懇意にはしてませんし、ルカス様のお手付きはなかった令嬢ですが、推進派の家では無いので、マシュリー様が行かれなくても良いかと………残るはこの3件ですね、可もなく不可もなく、という所です」
「「「………………」」」
出るわ出るわの、ルカスの女性遍歴。マシュリーとの婚約前だとしても、弾かれた招待状は15枚はあった。恐らくまだこういう招待状はマシュリーの元に届くだろう。嫉妬する事等お門違いだろうが、マシュリーの心はモヤモヤとしてしまう。
「わたくし、この令嬢方からの嫉妬に堪えねばならないのですね………」
「行く必要はないですよ……推進派の貴族令嬢ばかりではありますが、ルカス様はそんな貴族達の顔色伺って、令嬢達と付き合ってきた訳ではないので、放っておけばいいんです…………問題はこっち………ルカス様が手を付けていない令嬢で最近社交界に出て来た、若い令嬢………意図が全く分かりません………まだ嫉妬丸出しの令嬢達からの招待状の方が、意図が見えます」
確かにその見方も出来る招待状。マシュリーもレナードの話から、納得する見解だった。
「行かない方が良いかしら………ルカス様のお役に立てると思うのだけど………」
「確かに、お茶会参加は交流の場としてはいい事ではあるのですが、夜会で交流されてからでも良いかと」
「…………夜会の招待状は無いですわ」
「え?ありましたよ、ルカス様経由で………女性同伴なので、婚約された今ではルカス様はマシュリー様とご一緒に招待されてるかと」
「…………聞いた事ありませんわ」
「…………あぁ………では、俺にお茶会の参加有無を確認するより、ルカス様ご本人に伺った方が良いかと」
何やらレナードは察したらしく、頭をポリポリと掻きながら、苦笑いしている。
「まぁ………結局はルカス様に確認した方が良いのですね………レナードに申し訳無かったですわ」
「いえ、ただ単にルカス様の心狭さを改めて認識したので、嫌味のネタを見つけたぐらいの報酬はありましたから、お気になさらずに」
「心狭さ?…………嫌味のネタ?」
「はい………ルカス様はマシュリー様を他の野郎…………あ、男達に見せたくないだけなので」
「…………うわっ!狭っ!ルカス殿下………あ、すいません……」
「……………アナ……」
そう、忙しいという理由もあるが、招待状は送られてきていて、返事もしなければマシュリーを連れて行くつもりもないルカスは、マシュリーを他の男達の目に触れさせたくないのだ。それが今露見し、レナードもアナもルカスの心の狭さを再確認したのだった。
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