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再び現在

記憶喪失の原因

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 協力してくれた民衆達に礼を言い、貝も大量に収穫出来たのもあり、上機嫌で解散したロゼッタ達。

「何が入ってるの?何も見えないよ?」
「これはね、私が私を取り戻す為の宝物なの…………大好きな人から貰っておいて、隠しちゃったんだけど、隠す場所間違えちゃった」
「領主様も間違えちゃう事あるんだねぇ……アンタも隠す場所間違えたら大惨事になる、て事覚えときな!特にイタズラして壊した物隠す時とかね!」
「ギクッ!!」
「ふふふふふふ………気を付けてね」

 見付けてくれた子の母親だろう、母親にチクチク言われた子は身に覚えがある様だ。ロゼッタとマキシマスの子供が産まれていたら、見付けてくれた子と同じぐらいに見える。

「お母さんを困らしちゃ駄目だぞ?只でさえ、お母さんはお父さんに困らせられてるんだから………例えばお酒飲みすぎて、とか」
「お、よく分かってるね、旦那!領主様も既婚者なんだ、そろそろお世継ぎ頼むよ!」
「………えぇ、頑張るわ」

 民衆達を見送り、マキシマスと部下達が残る堤防に立つロゼッタにマキシマスは声を掛けた。

「開けないのか?」
「!!…………あ、あの……今夜、開けに伺ってもいいですか?……それ迄、預かってて下さい!」

 瓶をマキシマスに手渡すと、屋敷の方へ走って行く。

「マキシマス様、振られた………プッ」
「プッ………」
「何だと~!!」

 部下達はマキシマスの事情を知っているのかもしれない。揶揄われて部下達を追い掛け回すマキシマスの姿が暫く続いた。
 一方、屋敷に戻ったロゼッタは、兵にロベルトと会わせて欲しいと頼む。手錠を付けられ、足枷も付けているが、ロベルトの体力でのしかかられたら、ロゼッタは動けないのは分かるので、兵にガードされ、兵の後ろから声を掛けた。

「何だ、ロゼッタ………」
「護送される前に聞いておきたい事があるの」
「俺は何も知らねぇぞ」
「何故知らないの?でしょ?まだ……聞きたいのはお父様の事でも遺言書の事でもないわ………私が記憶を失くしたの事よ…………私は貴方と結婚した頃、妊娠していたわ……」
「…………」

 やはりを知っていると確信するロゼッタ。

「貴方は重罪を犯しているの、もう貴方と会う事も無くなる………忘れたままで済ませば、罪が軽くなるとでも?貴方には私に対する暴行罪もあるのよ?お父様を殺害した罪、遺言書を隠蔽した罪…………上乗せした所で軽くはならない………として、私に対するが少しでもあるなら話て頂戴」
「………中絶を拒んだお前が悪い!!アイツの子供を妊娠しやがって!!結婚してアイツの子供なんて育てられるか!!だから腹を殴ったんだよ!!な!!」

 ロベルトの筋肉の塊の体型で殴った、と言うが、華奢なロゼッタにはそれはのではないか、と思われる。

「ロベルト!貴様!!」

 兵達も、領主にそこ迄の暴行され、黙ってはいられないらしく詰め寄っていく。

「やめて、貴方達が手を汚す事をしなくていいの…………本当に貴方は馬鹿な人ね、ロベルト………何故私が悪いの?私が愛した人との子供を中絶したいなんて思う訳ないじゃない。それで流産して記憶を失くしたのね……分かったわ………ありがとう……さよなら……」
「待てっ!!ロゼッタ!何でお前は俺が他の女を妊娠させた時、中絶させた!!女達は嫌がっていた奴も居たんだ!!」
「………まだ分からない?貴方が犯罪者だからよ………犯罪者の子供は不幸だわ……父親を知らずに育ち、母親は苦労する………そんな不幸な子、見たくないもの…………そんな事も分からなかったのね……貴方のご両親が、貴方と関わらない事が理解出来るわ………今頃、貴方のご両親に事の説明がされている筈よ。貴方を庇うかどうかは私には知った事ではないけど………」
「ロゼッタ!!愛してるんだ!!やり直してくれ!!」

 扉の向こうからロベルトの悲痛な叫びが聞こえるが、ロゼッタはロベルトと会う事はしなかった。
 ロベルトと離婚も出来、晴れて独身に戻ったのはそれから数カ月後。ロベルトの罪は、ロゼッタに会う前から重なっており、出身地の領土では被害も次から次へ芋づる式に出て来た。両親は隠し通してきたものの、それはロベルトの為でなく、領主としての保身だと分かった。これ以上保身をするのも出来なくなり、ロベルトが婿として入れる家を探していた所、ロゼッタの侯爵家だったという。ロベルトはロゼッタを愛したが、愛された事が無かったロベルトは愛し方が分からず、強硬手段を取ってきたらしい。その事に気が付いてきたロゼッタの父、アルベドがロベルトの両親に会い、婚約破断を言い渡しに行く道中、ロベルトが賊を使い殺害。殺人事件迄起こした息子は知らない、とロベルトの両親は事件が大事になっても保身を謀ったが、ロゼッタよりロベルトに使ってきた、女の中絶費用、慰謝料、ロゼッタの治療費等の請求をロベルトが払えない為、全て請求をすると、両親は領地を捨て逃走した。ロベルト兄が領主になる筈だった地は、没収され近隣領主の地に分配されてしまったのだった。両親は莫大の借金を残し、罪の無かった兄迄も巻き込み、ほそぼそと借金を返す為に働いているらしい。ロベルトは獄中で両親や兄の事を聞くだろうが、一生会えないままロベルトは獄中で罪に苛まれる生活を送っているのは、ロゼッタが聞くのは、もっと後からだった。
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