領主は私です、婿の貴方は何様ですか?【完結】

Lynx🐈‍⬛

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記憶消失

サブリナの計画

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 ロゼッタが子供を産みにくい、という話を聞いたサブリナ。

「何ですって!!何やってんのよ!!種無しなんじゃないの!?アンタ!」
「そんな訳ある筈ねぇ!」
「確かめなさいよ」
「誰とだよ」

 サブリナに報告したのはロベルトだ。なかなか妊娠しないロゼッタに2年も我慢して、屋敷から出れず、ロゼッタが来る時だけ鹿をしていたサブリナも、限界だった。それもこれも、ロゼッタがロベルトの子供が直ぐに出来ると思ったからだ。

「娼館でも街の女でもいいじゃない」
「サブリナ、お前は?」
「誰がアンタみたいな男と……私は醜男は嫌いなの」
「分かった……俺もお前みたいな性悪女は好みじゃねぇしな」

 その2ヶ月間、ロベルトは女を囲い、毎夜通った。娼館にも通い、子供は次期領主になるだの、愛人にしたいだの、離婚するから待てだの、と洞を吹き、3ヶ月もしない内に5人の女を妊娠させたロベルト。

「俺が種無しじゃねぇ事を証明してやったぜ!」

 それにはサブリナも呆気に取られたが、直ぐに何かを閃いた。

「私に子供産ませる、て言いなさいよ」
「は?」
「多分、反対するわ………それで、『お前に子供が産めないから、他の女に産ませるんだ』てねその女達が妊娠した子供を認知させればいいのよ」
「…………なるほどな」

 だが、ロゼッタは認知どころか、中絶させた。即決で慰謝料を渡し、手切れ金を上乗せしたのだ。

「私は貴方の子供を育てる気も無ければ、認知もしない。貴方の不始末は当分無しで居てもらうわ………離婚成立したら、貴方のに請求するので…………さぞ、大変だったでしょうね?3ヶ月で5人も」

 優しいロゼッタはもうロベルトと接する内は見当たらない。ロベルト優しく聡明な領主ではいられないのだ。

「お前を愛してるんだぞ!子供産めないお前を思って………」
「婿の立場でよく言うわね………離婚する方法を見つけたら、屋敷から出てって下さい」

 サブリナの思惑と違った。サブリナとロベルトの子供も、ロゼッタは駄目だ、と言うのは予想通り、だが他の女との子供も駄目、というはどういう事か、と思った。

「何で他の女の子供じゃ駄目なのよ……」

 サブリナは遺言書の全てを知らない。アルベドの遺言書はロゼッタとサブリナの事なのだ。ロベルトが。領主だったアルベドの娘2に対する遺言なのだから。
 ロゼッタ自身、罪の無い子供を中絶させるのは心苦しい。だが、認知をしてしまえば母親が何かあった時、ロベルト自身が責任を取るとも思えない。そして、ロベルトの子孫を残したら、第二第三のロベルトが出来てしまうのでは、と直感が働いた。

「酷いです!領主様!この子には関係の無い事ですよね!」
「関係はありません、問題はロベルトの子供だから、認知出来ないのです。そして、引き取る事も出来ません。ロベルトが欲しければ、離婚成立したらどうぞ貴女方でロベルトを取り合って下さい。既婚者であるロベルトに、以外の子供が出来る事は許し難い事なのです………貴女方は騙されたんですよ……だから、中絶費用、慰謝料は私からお出しします。ロベルトとの事をにする方が、貴女方の為です」

 毅然とした態度でロゼッタはイーサンに用意させた金を5人に分けた。女達は奪う様に金を持って行く。

「慰謝料も含めているので、当分の生活費もある筈…………今後一切、領主である私に金を無心に来ない様にお願いします。それ以外なら、領主として対応しましょう」

 女達に文句は言わせなかった。それだけ、ロベルトに腹が立ち、追い出したいのを我慢していたロゼッタの意地から、女達にもキツイ言葉を伝える。全てロベルトが悪い、と。

「本当に追い出したいわ………」
「宜しいのですか?かなりの大金です……」
「………私が使って来なかったお金だからいいの………お父様の遺産だし、また働いて貯めるわ………皆のお給料からは手を出してないから安心して」
「ロゼッタ様………」
「そんなに金があったのか、ロゼッタ」
「……………イーサン、まだ仕事が溜まってるから手伝って」
「はい」

 ロベルトが影から見ていた様で、ニマニマしている。勘違いしているんじゃないか、と思うぐらい嬉しそうだ。

「おい!今夜お前の部屋に行ってやるからな!」
「来なくて結構…………あのお金は貴方や貴方のご両親から徴収する、と言ったでしょ?何なら利子を付けてもいいのよ?」
「………………ぐっ!」
「忙しいわね、イーサン」
「全くですな」

 ロベルトはまたサブリナに会いに行く。愚痴りに行くと言ってもいい。

「どういうつもりかしら、お姉様……」
「分かる訳ねぇだろ、俺に」
「…………お姉様は頭がいいのよ、当たり前でしょ!」
 
 サブリナは考え込む。

「分かった、じゃあ私が妊娠してあげる」
「お前、嫌だって言ってたじゃねぇか」
「誰がアンタと本当に寝るって言ったのよ!偽造に決まってんじゃない、アンタの妊娠させた女の1人に産ませんのよ、で私が産んだ事にする」
「ほぉ………」
「アンタは一生、お姉様と領主ごっこしてなさいよ、私は子供が産まれたら、こんな所おさらばするわ」
「へっ……離婚はするぜ……そのうちな……子供が居りゃこの地は俺のもんさ」

 この2人は何処までロゼッタを縛るつもりなのか。ロゼッタが記憶が無くなってもう直ぐ3年。この2人は忘れていた。マキシマスという男を。

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