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記憶消失
一変した生活
しおりを挟む「ロゼッタ!!中絶してもらうからな!!」
「絶対に嫌!!」
式を中断し医者に無理矢理診せられ、ロベルトに詰め寄られているロゼッタ。ウエディングドレスを着ていたロゼッタは私室にロベルトとサブリナに鍵を掛けられ、閉じ込められた。侍従達の静止も無駄であった。
「お姉様、ヤル事ヤッたのね~、まぁマキシマスが清い交際なんかする訳はない、て分かっていたけど、妊娠には気を付けていた人だから、安心してたのに」
「冗談じゃねぇ!誰があんな男の子なんて産ませるかよ!」
「怒んないでよ、アンタの声デカ過ぎて耳が痛いわ………で?お姉様……ロベルトと結婚したんだから、夫以外の子を産もうとしたら、その子かわいそうじゃない?中絶してよ」
「…………しないわ……この子は産むの……ロベルトと離婚を絶対にしてね……サブリナもこの屋敷から出て行ってもらうわ、貴女とも離縁するつもりよ!」
「あらあら……私が何したって言うの?ただ
私はマキシマスなんて選ぶな、ロベルトと幸せになって、て言ってるだけじゃない」
サブリナがしてきた行為をロゼッタが知らないと思っての態度なのかは分からない。だから、ロゼッタは敢えて言う。
「マキシマスが何故国境警備隊に行かなきゃならなかったか、私が理由知らないと思って?貴女、王太子迄騙してるのよ?」
「………何言ってるの?私はちょっとの涙とちょっとのお願いを殿下に言っただけよ?その証拠に、私は一度も妊娠した事無いもの。清いまま………ふふふ……世の中、上手く立ち回れない者程、不幸になる仕組みがあるのよ?お姉様………ふふふ」
「サブリナ………何故そんなに変わってしまったの?」
「…………お姉様も王都にお行儀見返り行ってたら変わるわよ!大した美人でもないのに、侯爵令嬢から王太子妃になった女に媚び売って、私も侯爵令嬢なのよ!?お行儀見習い、なんて屈辱以外何者でもなかったわ!」
「………サブリナ……」
「………あぁ!もういい!アンタと話したくない!!ロベルト!もうヤッちゃったら?お姉様はもう処女じゃないけど、ロベルトが執着してた女を抱けるんならいいでしょ!アンタの手腕でお姉様を手篭めにしちゃいなさいよ!そうしたら、中絶も考えてくれるんじゃない?……………ははははははっ!!」
ロゼッタはもう妹は狂っている、と思った。何を言っても聞き入れない態度で唖然としていたら、サブリナから信じられない言葉が出る。姉の身体の気遣いも、悲しみも、嬉しい事も、サブリナはロゼッタに寄り添う様に話を聞き、相談に乗ってきてくれたかけがいのない妹だったのだ。その妹が狂ってしまった、と思った途端、ロゼッタは身動きが取れなかった。目の前にはロベルトが着脱をし始める。見たくない男の裸。好きでもない男の肌を誰が見たいと思うのか。
「ロベルト来ないで!」
「聞くかよ、中絶する、て言うなら優しくしてやる」
ロベルトもまた狂った男だ。常識も通じない。部屋には鍵が内側から掛けられてはいるが、サブリナが扉の前に居て退いてもらうにしても、ロベルトと挟まれてしまう。移転魔具を使えばいいが、ウエディングドレスを着させられた時、サブリナに奪われた。何故か気に入られサブリナの手首に嵌っている。サブリナにそれを知られたら、取り上げられたまま悪用されてしまいそうだった。だが、サブリナから奪えば逃げられる、そう思ったロゼッタは一か八かの掛けに出て、サブリナに駆け寄った。
「そのブレスレット返して!サブリナ!」
「!!」
だが、悪阻で体力が落ちたロゼッタはサブリナに払われ、ロゼッタは床に倒れた。
「返して……サブリナ……」
「…………ロベルト、これ壊してくれる?貰っちゃおうと思ってたけど、これ大事な物みたいね~………マキシマスから貰った?じゃあ目の前で壊したら、未練無いわよね?」
「や、やめて!!」
「へへへ………あんな男の物身に付けるなら、俺の所有物として、着飾らせてやるよ、ロゼッタ」
バキッバキバキッ!
力任せに壊されたブレスレットはロゼッタが倒れた目の前で砕け落ちた。放心状態になったロゼッタはロベルトに抱き抱えられ、ベッドに放り込まれると、腕を縛られベッドの梁に結ばれてしまった。ドレスを引き裂くロベルトは、汚らしく涎を垂らす。
「サブリナ!助けて!」
サブリナを呼んだところで助けてくれるとは思ってない。だが、このまま手をこまねく訳にはいかない。
「誰が………ふん!ロベルト、お姉様を壊さないでよ?その人は領主でなきゃならないんだから」
「壊れたら、お前が領主になりゃいいじゃねぇか」
「やめてくれる?馬車馬の様に働くなんて、真っ平ごめんだわ、私はね高見を目指すの……その為にお姉様は金づるなのよ、最低でも侯爵、それ以上の爵位の男じゃなきゃ、ね」
「サブリナっ!」
「じゃ、せいぜい楽しみなさい」
バタン。
サブリナはロゼッタの部屋を出て行く。
『アンタ達!口外したらアンタ達は露頭に迷うからね!!給料欲しかったら、領主様を守りなさい!強いては、私も守るの…………分かった!?お姉様が子作り専念している間は、私が仕方なく領主代理をしてあげるから、この事漏らしてみろ?…………タダじゃおかないからね!…………散りなさい!!邪魔よ!!』
泣くしかなかったロゼッタ。ロベルトにどんなに触られても何も感じない。身体の中で蠢く感触は、本当におぞましい物だった。
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