8 / 19
NY迄の飛行機でも
しおりを挟む翌朝、城崎を会社に送り届けてから、瑠璃は空港の搭乗口に来る。ファーストクラスのラウンジに来るように連絡が入り、瑠璃はもう来ていた裕の近くに座った。
「瑠璃、隣に座れ」
「…………おはようございます」
「…………ちょっとお前達、離れろ」
「………」
裕は瑠璃の肩に腕を回す。さも、瑠璃は裕の女を主張するかの様だった。
「城崎と随分楽しんだ様だな」
「………知ってますよね………私がボスと城崎に刃向かえないの……」
「まぁな………そう仕込んだからな」
「!!」
裕はスーツのポケットから1枚の写真を取り出し、瑠璃に見せた。
「ベランダでセックスとはなぁ………城崎にしては珍しい」
「…………そう………ですね………」
「そのスーツ、城崎からか?」
「はい」
昨日の朝、裕から渡されたスーツとは違うスーツを着ている瑠璃。城崎から渡された物だ。
「このシャツも城崎のだろ?」
「……………セックスの後、ボスから頂いたワンピーススーツ着れませんでしたから借りました」
「……………コレに着替えてこい」
紙袋を渡された瑠璃。
「仕事には行くが、一応新婚旅行で通すんでな」
裕や部下達を見ると、幾分ラフな格好なのが分かる。瑠璃の姿はビジネス服で違和感があるのだ。これは、裕の差し金だろう。城崎への嫉妬が感じる。
「着替えてきます」
「直ぐに戻れよ」
ファーストクラスのラウンジはシャワールームや仮眠が出来る個室もあり、更衣室代わりに使わせて貰って着替えた瑠璃。与えられた服は、裕と城崎との趣味が違う。だが、それについて、瑠璃は何も言うつもりは無い。瑠璃が欲しいのは拓夢だけだからだ。
「似合うじゃねぇか」
「ありがとうございます」
飛行機に乗り込み、席も裕の隣に座らされた。ドリンクは朝から裕はシャンパンを飲み、瑠璃に仕事を説明する。
「今回、俺の替え玉も行ってはいるんだが、お前を連れて行く必要がありそうで、戻って来たんだ」
瑠璃の記憶では、裕は暫くNYだけでなく、あちこち行っていた筈だ。だからこそ戻って来ているのには驚いてはいたのだが、連絡1つで何とかなるだろうに、何故戻って来て迄、連れ出したのかは分からない。
「連絡くれれば行きましたけど?」
「言ったろ?マークされてると………日本で俺を狙う奴なんざ今は居ねぇ……あっちに行った途端、殺意がビリビリ感じるんだよ、だからビジネスじゃねぇ新婚旅行者風に装う必要が出来た」
「…………心当たりは?」
「あり過ぎて分かんねぇのは知ってんだろ」
「……………まぁ………」
「お前が筆頭だがな」
「…………よくご存知なのに、何故側に置くんです?」
シャンパンを口に含み、瑠璃は聞いた。淡々といつもポーカーフェイスを貫く瑠璃の横顔を裕は見る。
「んなもん、お前が俺の忠実な駒だからな…………親父が死んだ日から」
「………そうさせたのはボスじゃないですか」
瑠璃が初めて人を殺したのは、養父の咲田だ。瑠璃が咲田に抱かれている時に、頭を打ち抜いた。セックスの相手をさせられるのが嫌で、『止めて欲しいなら親父を殺せ』と裕に言われ、まだ素直だった瑠璃は言う通りにした。だが、裕は自分の父親の死体の横で、嫌がる瑠璃を無理矢理抱いた。『ご褒美』と称し。大学卒業間近な事だった。それからというもの、瑠璃の仕事が始まる。対抗組織の男に近付き、関係を持ってセックス中に殺す、というのが瑠璃の仕事となった。それにより、咲田 裕の側には殺し屋が居る、と噂され、日本では裕を狙える者が居ないのが現状だったのだ。
瑠璃は何度も逃げ出そうとしたが、直ぐに捕まる情報網に藻掻き苦しんでいる。そんな時、偶然なのか仕事終わりに立ち寄ったカフェで、幼馴染で同じ孤児院で育った拓夢と再会したのは。それで益々、瑠璃は裕から逃げ出したくなる衝動を抑え込みながら、何とか隙を見出そうとしていたのだ。
「そうだ、そう教育した………だからお前は俺から離れるのは許さん」
「!!」
「あっち着く迄、入れてろ」
「…………っ!!」
足を裕に掛けられると、毛布下から手を滑り込まされ、ローターが瑠璃の秘唇を割り入る。
「俺はこういう趣味は無いが、城崎と楽しんだ事に妬けてなぁ………何回かイったら俺のもイかせろ」
瑠璃は今は毎日ではないが、仕事が絡むと、裕や城崎とのセックスが続く。ここ最近休まる事が出来ない秘部は、どんな刺激でもすんなり受け入れてしまう。我慢が出来ないぐらいに、いつも濡れる締りのなく受け入れる身体が憎い瑠璃だった。
0
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
初色に囲われた秘書は、蜜色の秘処を暴かれる
ささゆき細雪
恋愛
樹理にはかつてひとまわり年上の婚約者がいた。けれど樹理は彼ではなく彼についてくる母親違いの弟の方に恋をしていた。
だが、高校一年生のときにとつぜん幼い頃からの婚約を破棄され、兄弟と逢うこともなくなってしまう。
あれから十年、中小企業の社長をしている父親の秘書として結婚から逃げるように働いていた樹理のもとにあらわれたのは……
幼馴染で初恋の彼が新社長になって、専属秘書にご指名ですか!?
これは、両片想いでゆるふわオフィスラブなひしょひしょばなし。
※ムーンライトノベルズで開催された「昼と夜の勝負服企画」参加作品です。他サイトにも掲載中。
「Grand Duo * グラン・デュオ ―シューベルトは初恋花嫁を諦めない―」で当て馬だった紡の弟が今回のヒーローです(未読でもぜんぜん問題ないです)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる