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エピローグ

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 結婚式当日。
 茉穂の準備を終えて、彬良が覗きに控室にやって来る。

「茉穂、綺麗!」
「本当!暫く見ない内にまた綺麗になったんじゃない?」

 茉穂は結局、悩んだ末、転職をした。
 彬良を支えるには同じ職場に居たい、というのが1番の理由だ。
 前会社の友人である英美達が、スマートフォン片手に、写真撮影が始まっていた。

「茉穂」
「彬良…………どう?」
「っ!………綺麗過ぎて、襲いたいっ!」
「村雨君、肉食なんだね」

 英美が、茉穂とのイチャ付きを皮肉りつつ、2人を撮っている。

「高橋は相変わらず合コン三昧か?」
「悪かったわね」
「失礼致します、支配人にご友人と申される方々の面会が」
「通してくれ」

 すっかり板に着いた役職と素振りに、久々に見た元同僚達は、目を丸くしている。

「本当、もっと早く目付けとけば、今頃ウエディングドレス着て村雨君の横に居たかも……」
「本当だね………」
「あり得んな、茉穂以外の女は」
「……………あ、そ」
「よぉ、彬良おめでとうさん」
「彬良君、茉穂さんおめでとう」

 航と羽美が入室して来る。羽美は産まれたばかりの息子、翔也を抱いていた。

「航に羽美……忙しいのにありがとうな」
「店は今日は臨時休業してるさ……裕司と律也ももう来るぜ」
「茉穂、茉穂!誰誰?」
「彬良の友達の航さんに、妹の羽美さん」
「合コンセッティングして!」

 茉穂の元同僚達は、航に興味を示しているが、暫くしてもう3人入室来ると、また目移りした様子。

「羽美、翔也を抱いててやるから、茉穂ちゃんと写真撮りな」
「ありがとう、律也さん………茉穂さん、紗耶香さん、写真撮りましょ」
「あ、撮る撮る!」

 羽美と遅れて入ってきた紗耶香。そして律也と裕司。
 入室して来た男達は、パートナー付と知り、英美達は残念そうだ。

「彬良がまさかこのホテルの後継者になる決心付けたとはな」

 裕司がしみじみ呟く。

「俺はかなり驚いたよ……まさかたまにパーティーで利用していたホテルが彬良の父親が経営しているホテルだとはね」
「俺も驚いたさ……まさか律也が速水物産の常務とはな」
「仕事面で世話になるかもな」
「そうだな、その時は頼むぜ」

 律也とは、アダルトグッズの事で意気投合し、懇意のある会社だと知ったのだ。

「茉穂ちゃんも、転職してプランナー部門に入ったんだろ?我社のパーティーの時、茉穂ちゃんにも頼む事あるかもな」
「夫婦揃って、世話させてもらうさ……羽美には子育ての先輩としてアドバイスも貰わねぇと」
「茉穂ちゃん、おめでたなのか?」
「いや、まだ………新婚旅行後に仕込む」
「俺は新婚旅行中に仕込んだぞ」
「それが出来ればな………我慢しねぇがよ」
「めでたい場所で止めやがれ!鬼畜野郎め!」

 この2人が揃うと、いつも性話になる様で、その都度航が割って入る。

「航、お前だって最近女出来たって聞いたぞ?」
「俺はお前等の様なスケベ丸出しじゃねぇよ……それ言うなら、裕司の方が先に結婚するだろ、紗耶香ちゃんも待ってるだろうし」
「俺?………まだ社長のOK出ねぇからな、もう少し先だろ」

 裕司は数カ月後に紗耶香との結婚が決まるのだが、この時点ではまだ誰も知らない。
 一方の茉穂サイドは、卑猥な言葉が飛び交う彬良と律也の会話で、茉穂と羽美も困り顔だ。

「相変わらずだわ、律也さん」
「羽美さんも大変ね」
「彬良君がまた変な物をくれたみたいだから……」
「………あぁ、………私は貰ってくれて助かっちゃった」

 とはアダルトグッズの事だ。
 同じ様に鬼畜な夫を持つ妻達としては、少々遠慮をしてもらいたいと思っている同じ見解の茉穂と羽美。

「大変よね……彬良さん迄、律也さんのと気が合うとは」
「紗耶香さん、知ってたの?律也さんの

 茉穂が、紗耶香に聞いた。

「裕司が面白そうに言ってたのよ」
「なるほど」

 紗耶香は隠し通す事に決めているのだ。本当は、調律也のを知ったのだが、彬良がアダルトグッズを律也に譲った事で、茉穂も羽美もその会話が出来るから、裕司を介して聞いたと言えば納得する。

「紗耶香さんははないの?」
「…………私達、プラトニックな関係が長かったから、あんまりそういう事に踏み込めてないの………本当に最近……」
「プラトニックだったんだ、裕司さんと紗耶香さん」

 茉穂は意外そうに紗耶香を見ていた。

「でも、私達はそれでいいの……大事にしてもらってるのよく分かるから」

 納得している紗耶香の顔を見たら、本当にそれぞれの恋愛の形があるのだと茉穂は思う。

 コンコン。

「式のお時間になりますので、ご準備お願い致します」

 スタッフが知らせに来る。
 控室に集まっていた友人達が、宴場へと向かう中、茉穂と彬良は入場時間迄待機だ。
 2人きりになり、お互い何故か照れている。

「茉穂………めっちゃ似合ってる……綺麗だ」
「彬良も素敵」

 お互いに見つめ合っていると、同時に口を開いた。

「「愛してる………!」」

 同じ言葉を紡ぎ、同じタイミングで笑い合ったのは、2人だけが知る。




        ˖*꒰ .. 𝐻𝒶𝓅𝓅𝓎 𝐸𝓃𝒹.. ꒱*˖


※この後、【プラトニックの恋が突然実ったら】を公開していきます

 
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