魔力を封印された女の解呪はまぐわいでした※新婚編※【完結】

Lynx🐈‍⬛

文字の大きさ
上 下
18 / 43

17

しおりを挟む

 リリアーナの城での生活は、グリードが起きて準備を始めた事で始まった。

「リリアーナは疲れているから、寝させておいてやって欲しい」
「畏まりました。起床後、入浴して頂き、本日はごゆっくり過ごして頂く旨で宜しいのですね?」
「そうだ………初日はゆっくりして欲しい……これから忙しくなるから………」
「グリード」

 侍女との会話で、リリアーナはベッドから起きて、身体を羽織る物が見当たらなかったので、ベッドにある毛布を羽織り、グリードに近付いた。

「リリ!まだ寝てて良いのだぞ?」
「起きるわよ、私も。貴方の妻として居る為には、国政の事を無視する訳にはいかないし、直ぐにとは言わないけど、后としての役割を担って行きたいわ」
「今日ぐらいは、と思ってたんだが………」
「初日から甘やかさないで」
「…………分かった……では、一緒に朝食を先ずは取ろう」
「えぇ」

 グリードは既に、身体を流していたのか、香を焚き染めた服に、髪も整えられて準備は出来ていた。
 リリアーナは全くそれに気付かずに眠っていたのが悔しい。
 素っ裸で、湿った下腹部が恥ずかしさもある。

「これからは、グリードが起きる時間に合わせて起きるから」
「…………いや、今日はちょっと早く起きた、というか………」
「そうなの?」
【朝から美味そうな身体を見せられて、また貪りそうだったからだ………今でもその気怠そうな顔をして!…………っ!………せっかく治めた熱がまた勃って来るじゃないか】
「っ!………そ、そうなのね………分かったわ……それなら私の方でも対処を考えるわね」

 どうやら、リリアーナの寝姿で、昂ぶらせた身体のグリードは、貪って仕事に遅れると困るから、無理矢理準備を早く始めた様だった。

 ---それなら、終わった後私が何か着ておけば良いのよね………なるべく肌が隠れる様にして……

「え!嫌だ!」
「…………思考読まないでよ!何で嫌だって言うの!朝から貴方が卑猥な事考えるから、私もそうならない様に、て思ったからじゃないの!」
「リリの寝顔や寝姿は私の活力剤だからだ!裸で眠っててくれていい………私が朝我慢すればいいだけだ」
「そ、そう………それなら……て私がそれで良いとは思えないから、何か着て寝る事にするわ」
「…………拷問じゃないか、それ」
「何言ってるのよ、着ても着てなくても、だと言ってるのはグリードじゃない」
「ゔっ………」
「私は手早く身体流して来るわね」

 裸で眠る姿が欲に駆られて抱きたくなり、その後支障が来たすなら、裸で眠らない様にすれば良いだけなのに、グリードは裸で眠る姿を見たいとは矛盾している。
 活力剤とリリアーナがなるのであれば、別の方法で幾らでもリリアーナはなれる筈だ。
 それだけ、リリアーナはグリードの事をよく分かっていて、喜ぶ事はまぐわいだけでは無いのも知っている。

【こ、こんな事なら、我慢せずに私が起きた時、起こして迄まぐわえば良かった………】
「…………そうね、仕事を始める時間に間に合わせられるなら、その方が良いんじゃないかしら?」
「っ!リ、リリ!良いのか?」
「今朝はもう無理よ」
「…………そ、そうだな……」

 リリアーナには聖魔法が使えるのだから、治癒回復出来るぐらい迄はグリードに付き合える。
 何故、グリードは遠慮をしたのかは、リリアーナは気になったが、夫婦になって始まったばかりで、グリードも手探り状態であったのかもしれない。
 リリアーナが封印解呪前の夢の中でさえ、グリードは夜明け前には解放してくれていた。
 その延長だとも言えるのだろう。

 ---朝、健康体の男性なら、勃つって聞くし、グリードは人一倍体力も魔力もあるのだもの、我慢させた方が、身体には良く無いわ

 リリアーナが風呂場で身体を流しながら、耽っていた時、不意にグリードから思念が送られて来た。

「っ!」
【では、寝起きは遠慮無く、眠っているリリの膣内挿入るから、明日から頼むよ。眠れなかったらごめん。睡眠不足には気を付けるから】

 ---思念を送る範囲って何処迄よ!

 リリアーナがグリードと使う寝室から、風呂場は一部屋分離れていた。
 夫婦共有の居間とダイニングがあるのだが、寝室はその奥にあり、風呂場は洗面室を挟んでいる。
 そして、グリードは今は寝室を出て、ダイニングに居る筈だった。
 ダイニングには朝食が運ばれて来るので、先に待っていて貰っている。
 王太子夫婦の部屋なのだ。
 かなり広い居住スペースである。
 リリアーナがボヤく思考は無視をされ、返答が無いまま、リリアーナは刻印が見えるデザインのドレスを着て、ダイニングへと向かった。

「お待たせしちゃって、ごめんなさい」
「構わないよ、お腹空いただろ?食べたら、執務室に行こう。ブライドとロブを呼びに行かせてあるから、食事を終えた頃には来ている筈だ」
「グリードにも護衛付いてるのに、私の護衛を呼ぶ必要あるの?」
「部屋を出たら何が起きるか分からないだろ?」

 四六時中、リリアーナはグリードと一緒に居る事は無い筈で、一緒にグリードの執務室に行ったとしても、同じ仕事をするとは限らないし、別行動する事の方が多いだろう。
 予め、傍に居た方が良い、とのグリードの判断だった。

「起床時間に、就寝時間、食事を取る時間はブライドに伝えてあるから、彼等もそれに合わせて動く」
「そっか」

 護衛は守る人の行動範囲を把握して動くので、生活リズムはもう伝えてある、という事だろう。

「ねぇ、グリード」
「何だ?」
「私達の思念って、どれぐらいの範囲を聞けるの?今、無視してたよね」
「…………全部が全部聞ける訳ではないし、範囲も定まってはいない………というか、分からないな」
「分からない?」
「私が思念を感じるのはリリだけだ、と話をしただろう?」
「うん」
「それでも、という存在を思い浮かべた時、そして距離が近ければ感じ取る思いも強いと思う。遠いとそれが届き難い。今迄も聞こえては来てないと思う………その説明は、顔を合わせて話したくてね」

 村でグリードに助けを乞うた時は強く念じていたが、お互いに考えていたから届いた、ともグリードは説明をする。
 しかし、それは封印解呪前の事。
 思念での会話とも少し違うだろう。

「…………封印解呪して、より強く思念を聞く事が出来てる?」
「恐らくね………父や母と、そんな話をした事は無いが、竜の王の力なのだと思う」

 国王と后にもそれが出来る、というのを聞くと、リリアーナは后に聞いて見たくなる。

「お后様にお話聞いてみても良い?」
「構わないんじゃないかな、母はリリになら答えてくれるだろう」

 グリードでさえも分からない力だというのだろうか。
 リリアーナには不思議な思念の会話で興味深かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【R18】ハメられましたわ!~海賊船に逃げ込んだ男装令嬢は、生きて祖国に帰りたい~

世界のボボ誤字王
恋愛
「婚約破棄だ、この魔女め! 役立たずめ! 私は真実の愛を見つけた!」  要約するとそんなようなことを王太子に言われた公爵令嬢ジョセフィーナ。  従妹のセシリアに黒魔術の疑いをかけられ、異端審問会に密告されて、とんとん拍子に海に沈められそうになった彼女は、自分が何かの陰謀に巻き込まれたのだと気づく。  命からがら、錨泊していた国籍不明の船に逃げ込むも、どうやらそれは海賊船で、しかも船長は自分をハメた王太子に瓜二つだった! 「わたくしには王家を守る使命がございますの! 必ず生き残って、国に帰ってやりますでげすわ!」  ざまぁありです。(教会にはそれほどありません) ※今気づいたけど、ヒーロー出るまで2万字以上かかってました。 (´>∀<`)ゝゴメンね❤

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

竜槍陛下は魔眼令嬢を溺愛して離さない

屋月 トム伽
恋愛
アルドウィン国の『魔眼』という遺物持ちの家系のミュリエル・バロウは、同じ遺物持ちの家系である王太子殿下ルイス様と密かに恋人だった。でも、遺物持ち同士は結ばれない。 そんなある日、二人の関係が周りにバレて別れることになったミュリエル。『魔眼』を宿して産まれたミュリエルは、家族から疎まれて虐げられていた。それが、ルイス様との恋人関係がバレてさらに酷くなっていた。 そして、隣国グリューネワルト王国の王太子殿下ゲオルグ様の後宮に身を隠すようにルイス様に提案された。 事情をしったゲオルグ様は、誰もいない後宮にミュリエルを受け入れてくれるが、彼はすぐに戦へと行ってしまう。 後宮では、何不自由なく、誰にも虐げられない生活をミュリエルは初めて味わった。 それから二年後。 ゲオルグ様が陛下となり、戦から帰還してくれば、彼は一番にミュリエルの元へと来て「君を好きになる」とわけのわからないことを言い始めた竜槍陛下。 そして、別れようと黒いウェディングドレスで決別の合図をすれば、竜槍陛下の溺愛が始まり…!?

高級娼婦×騎士

歌龍吟伶
恋愛
娼婦と騎士の、体から始まるお話。 全3話の短編です。 全話に性的な表現、性描写あり。 他所で知人限定公開していましたが、サービス終了との事でこちらに移しました。

旦那様が素敵すぎて困ります

秋風からこ
恋愛
私には重大な秘密があります。実は…大学一のイケメンが旦那様なのです! ドジで間抜けな奥様×クールでイケメン、だけどヤキモチ妬きな旦那様のいちゃラブストーリー。

処理中です...