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プロポーズ
しおりを挟む「武田さん。」
ノエルが、和解が出来た所で、祖父に声を掛ける。
「!!!」
何故か、祖父は急に緊張感を醸し出す。
和解の余韻は一気に消し飛んだ。
「…………何だ?」
ノエルは真っ直ぐ祖父を見つめ話を始める。
「本来なら、了承を得るのは、琥珀さんと紫さんになんですが琥珀さんは他界していますし、祖父母のお二人は健在なので、敢えてお願いがあります。」
(な、何なんだろ。)
ノエルは翡翠に振り向く。
「翡翠と結婚する許可を下さい。」
「!!!」
「おぉ!!姉さん、やったじゃん!」
「………ふん、仕方あるまい?儂らに許可取る迄もなかろう?紫が認めとるならな。」
「私はいつかいつかと、待ちくたびれたわ。………翡翠幸せにね。」
「………………無理。無理だから!」
祝辞が飛び交う部屋で、翡翠は部屋を飛び出して、そのまま外に駆け出す。
勿論、ノエルは飛び出して行った翡翠を追っていった。
「翡翠!!待て!!」
ノエルの足のが早く直ぐに追い付かれた翡翠。
腕を掴まれ、足を止められた。
ノエルはまた逃げられないように、掴んだ腕を掴みながら、翡翠の前に跪く。
「!!!」
「翡翠…………。」
「……………ごめんなさい……私………。」
「俺は翡翠がいい。」
「……………。」
「翡翠は俺をもう必要とはしないのか?」
「!!!」
首を横に振る翡翠。
ノエルは翡翠の手を取る。
「……………翡翠、言ってくれないと分からないよ?」
優しくゆっくりと手を撫でるノエル。
「………………怖いの、またあの感覚が蘇りそうで、ノエルを受け入れられなかったら、て思うと………。」
「…………うん、それは俺も怖いよ。…………でもそれで翡翠が俺の側から離れるより断然いい。」
「…………。」
「………結婚したら子供も欲しくなる。でも、翡翠がそれに応じなくても俺の側には翡翠が居て欲しいんだ。」
「………………ずっと受け入れる事が出来なくても?」
「愛情を確かめ合う方法はそれ以外にもあるよ。………見つめ合ったり、手を繋いだり、寄り添ったり……。翡翠は無い?俺と居て。」
(……………今………。)
翡翠はノエルの手を握り返す。
「……………。」
ノエルは翡翠の左手薬指にキスを落とす。
「…………OKと受け取っても?」
「…………。」
頷く翡翠。
「………………や、ヤバイ……めちゃくちゃ嬉しい。」
ノエルは顔を赤らめて目を反らしてしまう。
(…………そうだ、私この角度から見るノエルの顔見て好きになったんだっけ。)
「ノエル。」
「………ん?」
「……………私、臆病だから逃げ出すかもしれない。飛び込める場所が欲しい。」
翡翠は両手を広げる。
「……………翡翠!!」
ノエルは翡翠を抱き締めた。
「ノエル!!」
「…………愛してる、翡翠。」
その光景を遠くで見つめる紫達。
「良かった。」
「だね。」
「ひ孫が楽しみだ。」
「…………気が早い。」
しかし、紫にはやはり気掛かりだった。
(うまく行けばいいけど……。)
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