上 下
64 / 64

おまけ♡

しおりを挟む

 おまけ1

 社長室で翡翠がXmasに出す新作のデザインを考えている。

「ねぇ、ノエルの初恋、ていつ?」

 何かヒントとなるようなエピソードが欲しい翡翠。
 バーカウンターで、ミネラルウォーターを飲んでいたノエルに聞いていた。 

「…………7歳。」
「……………じゃ、ファーストキスは?」
「7歳。」
「…………どんな子だった?」
「…………鈍くて、天然で、泣き虫、今は大人になったから付け加えて、笑うと可愛くて、フェロモンだだ漏れセクシーボディ、あとエロい。」
「…………今も会ってるの?」
「うん。」

 仕事の用事で社長室に来ていた、秘書の秋田は……。

(…………社長しか思いつかないんだけど……。)

  チラッと翡翠を見ると、ムカムカと嫉妬に駆られたような顔をしていた……。


 おまけ2

 翡翠が社長室で、デザインを書いている。
 ※おまけ1の時のデザインの物
 X'masの新作指輪だ。
 X'masの為に、特別な物にしたいから力が入る。

(そう言えば、黒いドレス着て接待に言った時、誰かが、黒い蝶だ、て言ってたなぁ………
。)

 ササッと、蝶の絵を描くと、どんどんイメージが湧いてくる翡翠。

(羽の柄は色入れずに穴を空けて………何処かは石入れたいなぁ……目にしちゃうと小さくなるし……。)

 急に翡翠が静かになったので、ノエルが近くに来て、デザインを見ている。

「羽の1カ所に石入れたら?人差し指用?中指にしたら?もう少し大きくして、さ。………て、デザインなんてよく分からない俺が言うのも何なんだが。」
「………………あっ、それ良いかも。」

 再び、デザインを描く翡翠。
 そして、もう一つ指輪のデザイン。
 そっちは蜘蛛の巣の様な柄で、蝶の指輪とチェーンで繋ぐ。
 中指と薬指用の指輪。
 蜘蛛の巣に捕まった蝶のようだった。

「ありがとう、ノエル。いい物作れそう。」
「………何で蜘蛛?」
「…………言わない。」
「何で?」
「…………恥ずかしいし、ノエル怒るから、多分。」
「言わない方が怒ると思うが?」
「……………蝶が私。蜘蛛は………………ノエル。」

 蜘蛛に囚われた蝶なのか、蝶に魅了された蜘蛛なのか………。
 それは翡翠のみが知る……。
 照れながら、ノエルに背を向けた翡翠。

(……………お、押し倒したい!!)

 夜まで我慢です!!



 おまけ3

 その日の業務が終わり、ノエルと夕飯の準備していた翡翠。
 業務中の嫉妬はどこへ………?

「なぁ、俺だけ初恋の話聞くのズルくない?」
「え?別に大した初恋じゃなかったし、私のはいいじゃない?」
「……………じゃ、初恋は?」
「小3かなぁ、クラスメイトの子。」

 ムカ!

「……………ファーストキス。」
「高1。」

 ムカムカ!

「……………初体験。」
「……………高2だったかなぁ、ファーストキスの相手。」

 ムカムカムカ!

(覚えてないのがムカつく!!!)

  ズカズカとキッチンに立つ翡翠を抱き上げ、ベッドに直行したノエルでした。



 おまけ4

 店舗に居たノエルの首筋にキスマークらしき痕を見たスタッフ。

(……………社長、ラブラブですね、ノエルさんと。)

 スタッフにキスマーク付いてますよ、とスタッフは自分の首筋にチョンチョン、とヒントを出す。
 ノエルをチラチラ……。

「私……………付けてない……………。何あれ!!!」

 店舗に翡翠の姿を見たノエルはウィンクの合図。
 無視した翡翠。

(あれ?どした?)

 横には青褪めたスタッフが、ノエルの首筋のキスマークが付いてますよ、のジェスチャー。

「!!!」

 化粧室に駆け込み確認したノエル。

(昨日、デニスと酒飲んで雑魚寝した!!!デニス~~~!!!どうしてくれる!!!)

 デニスが寝ぼけて、フィアンセのジェニーとの夢を見ていたらしい。
 その後、翡翠の前でデニスに平謝りさせたノエルでした。



 おまけ5

 ノエルとデニスは酒をマンションで飲んでいた。

『ジェニーはホント可愛いんだよぉ……。』
『翡翠も可愛いぞ。』

 彼女自慢ですね。

 『お前はいいよな、彼女が今側に居るし、ボディガードだし。俺は今遠く離れたイギリスと日本!』
『……………俺はお前のが羨ましいが……。』
『何でだよ。』
『日本人の奥ゆかしさ?て言うのか、素直じゃないんだよ、身体に聞くと素直でエロくて可愛いんだが、口に出して言わないんだよな、ねだりたいけど照れが入って、嫌々、て言うんだよ、それをねだらせる時の苦労ったら……。』
『…………………楽しんでるよな、お前。』
『……………確かに…………こんなに楽しんでSEXするの久々かも……。』
『ジェニー!!!会いたいよ~!!!』

 そして、おまけ4になる。



 おまけ6

 ウェディングドレスの試着に来ていたノエルと翡翠。

「翡翠には、ボディライン強調して、フェロモン増しまし、背中が開いてて、胸のラインが美しく見えて、Aラインの裾のドレスがいい!」
「……………ノエル、スタッフさんが困ってる。」

 照れた顔で困惑したスタッフ一同。
 試着したら試着したで、あれもこれも、と着せ替え人形の翡翠。
 やっと終わったと思い、次はノエルのタキシードに、翡翠が注文。

「ノエルの金髪碧眼の瞳に合うような、モデルも逃げ出すぐらいのイケメンに!」
「翡翠、困ってる困ってる……。」

  結果、バランスの良いので手を打ちました。


 おまけ7

 翡翠4歳、ノエル7歳。
 ノエルの母ステラが、翡翠の可愛さを気に入ったのと、紫の美人な顔立ちに、ノエルの嫁を目論む。

『ねぇ、紫。翡翠をノエルのお嫁さんにしない?』
『ステラ、まだそんな気が早いわよ!』
『だって、将来美人になる要素あるんだもん、ノエルと翡翠の子なら、可愛いと思わない?』
『うっ!!………それは思うかも………。』
『…………ダメ!翡翠は翡翠が好きになった相手にしかあげない。』
『琥珀!!……………ノエル、翡翠がノエルを好きになるように頑張って!!』

 そんな大人達の横で、楽しそうだな、としか見ていなかった翡翠は、ノエルと目が合い、ニッコリ笑った。

(…………可愛い……。)

 ノエルはその瞬間、翡翠にキスをして、大人達の度肝を抜いたのであった。



 おまけ8♡

 結婚式を終え、軽井沢のホテルでブュッフェスタイルで披露宴をした、翡翠とノエル。
 イギリスでも式を挙げる事になっている為、着ているドレスとタキシードは汚す訳にはいかなかった。
 そう、汚せない………。
 無事に披露宴が済、泊まる部屋に戻った翡翠とノエル……。
 ノエルはかなり我慢しておりました。

「……………ひ~す~い♡」

 ビクッ

「……………な、何?わ、私シャワー浴びたいなぁ…………。」
「後でな。」
 ノエルは翡翠の方に振り向く。

 注:部屋に入って直ぐです。

「……………ん♡………ノ、ノエル…………待って!」
「…………待てる訳ないだろっ!!…………我慢の限界!!」

 ノエルは翡翠の口の中の性感帯を一つ一つ確かめるように、ゆっくりとねっとりと甘くキスをする。
 時には激しく、舌を吸い、唾液を絡めてくるノエル。

「はぁ♡…………ん、ノエルっ!」
「…………もう、エロいって!」

 翡翠をエロくしているのはノエルだと、分って欲しい翡翠。

(…………これ以上、開発しないで欲しい。)
「ひ………すい……ドレス………はぁ………裾持って。」

 ノエルの息遣いも荒くなる。

「…………す………そ?………ん…はぁん。」

 ドレスの裾を持たされた翡翠は、

「……………もう………こうだから………。」

 下着も濡れた状態に。
 裾を捲った翡翠を見ようと、ノエルは跪いていた。

「………ふっ……………ホント、エロい。」

 ストッキングを脱がせ、下着も脱がせるかと思った翡翠にノエルは下着の上から触れる。

「!!んっ…………はぁん………ノエルっ!」
「………ココも硬い……舐めて欲しい?翡翠。」

 コリコリと下着の上から弄るノエルに、翡翠は………。

「……………な、舐めて…………くれるの?」

 舐めて欲しいのに、そんな男心を擽るような台詞。

「!!!………………も~~っ!!反則!!」

 翡翠はこうなる事を見越していたのか、履いていた下着は紐のタイプ。
 それを見たノエルには、余計に脱がせる意欲が沸くようで、口で紐を解く。

「…………期待してたんだ、翡翠。」
「!!!……………うん。」
(……………やべっ!エロくし過ぎた、俺!!)

 クチュクチュと音を立て、指は奥に一気に3本挿れたノエル。
 舐めながら、

「今日は加減しないからな。」
「……………はぁぁぁぁっ!!……………も、好きにして…………くれて………いい…………からっ。」
 
 プツン

 理性切れました。

「翡翠、後ろむいて。」
「………後ろ?…………………あっああああ!!」

 一気に最奥に侵るノエル。

「ドレス汚すなよ、またイギリスで着るんだから。」

 腰を激しく動かし、翡翠の一番気持ちよくなる所を攻めてくるノエル。

「あっ、ダメ!ドレス脱ぐからっ……………イクッ!!………………んんんっ!!」
「………ひぃちゃん♡出すよ。」
「ああああああああっっ!!!」

 翡翠の中でビクつきながら流れる、ノエルの熱。

「…………可愛い、翡翠。………1回抜くよ。このまま抱き上げてベッドに連れて行くと、ドレス汚しそうだから、自分のペースでベッド迄おいで。俺は先に待ってるから。……いい?ドレスは脱がずにベッドに来るんだよ?ここで脱いだら汚しそうだしね、翡翠から出たよだれで……。」

 翡翠の、耳元で囁く意地悪な声。
 まだ翡翠の体内に、ノエルからの熱がそのまま残っていて、動いたら垂れそう………。

「……………そんな!意地悪っ!!」
「待ってるよ♡」

 ノエルは翡翠から出ると、サッサとベッドへ行ってしまった。
 翡翠がその後ろ姿を睨み付けたのは言うまでもない。
 何とか、ドレスの裾を持ち上げながら、ベッドに来れた翡翠。
 その間も、秘所から漏れる体液に何度も悩まされた。

「…………脱いでいい?」
「いいけど、俺の上で脱いで。」

 ノエルはベッドの上で、裸になりそそり立つモノと待っていた。

「……………ノエル、そんな意地悪だったっけ?」
「……………翡翠が可愛すぎるからいけない。」
「…………う~~~、可愛くないもん、私。」

 ベッドの足元で、裾を持ち上げ、股からエロいニオイとエロい液を漏らして、ノエルを受け入れてる女が、可愛くない訳がない。

「…………いいからおいで。俺には可愛くて仕方ないんだから。」

 照れながらおずおずと、翡翠はベッドに上がり、ノエルの足元に。

「…………いっぱい漏らしてる。…………俺のも出ちゃったね、翡翠。もっと見せて。」
「………………。」

 恥ずかしそうに、ノエルの腰の辺りに来る翡翠。
 翡翠の太ももの内側に伝う液を掬うノエル。

「エロい………そのままここに咥えてよ。俺のを。」
「…………ヤダ、恥ずかしいのに………。」
「前、やってくれたじゃん。上で上手にイケるでしょ?挿れたらここでドレス脱いでいいからさ。」

 ノエルはどこまでも意地悪く、色っぽく翡翠に囁く。

 「挿れてる時、何もしないでよ?脱げなくなるから。」
「……………脱いでるとこ見たいだけなんだけどな。」
「!!!…………んくっ!!」

 下から、突き入るノエル。
 逃げられないように、腰を支えられて翡翠の奥に。

「………さぁ、脱いで、翡翠。ドレス汚しちゃうよ?」
「……………………あぁぁぁぁぁぁっ!!」

 一気に挿入った為に直ぐ絶頂に達してしまった翡翠。

「翡翠、イッちゃった?…………ほら、頑張って。」

 ノエルは、翡翠の尖った秘所を撫で始める。

「!!!だめ!今……………イッて……………ん~~~~!!!」
「…………可愛いなぁ、翡翠、愛し過ぎて壊しそうだ……。」
「お願い!脱ぐからっ!!……………そ…………したら………好きにして…………いいからっ!!」

 ドクン。

「あっあん!!」
「あ、出ちゃった。」
「……………………。」

 ビクビクとノエルの上で軽く痙攣している翡翠は、力尽きてノエルの胸に倒れた。

「…………翡翠が可愛すぎるんだよっ!」
「……………ノエルのばかぁ………。脱ぐって言ったのに…………。」

 はい、いつまでも仲良くね♡



おまけ9

 結婚式後、イギリスに行く為、暫く来れないから、と奥多摩の家に来た2人。
 翡翠が挨拶したいと言うので、やって来た。
 翡翠が、岩に手を添える。


『まぁ、可愛い!!初めまして、翡翠。』
「……………。」

 金髪のお姫様のような母と親しい女性、ステラに声を掛けられ、恥ずかしいからか、紫の後に隠れる翡翠。
 その女性の横には、同じ金髪の男の子。
 父親に連れて来られたのだろう、父親達は何やら話こんでいる。

「やぁ、ボク、ノエルだよ。」
「……………。」
「ごめんね、ノエル君、この子恥ずかしがりやさんで。」
「ううん、日本の女の子は恥ずかしがりやさん、てお父さん言ってたから。」
『ノエル、それお母さんに対する嫌味?』

 ステラは聞き取りは出来るが、日本語を話すのは苦手らしい。
 しかし、紫は英語も出来る為、ステラには英語で会話をし、母親同士意気投合していた。

『ねぇ、紫。ウチのノエルのお嫁に、翡翠くれない?貴女の娘だもん、絶対に美人になるわ!』
『ステラ、気が早いわよ~。』
『ノエル!翡翠を誘惑しなさい!』
『翡翠がノエル君を好きにならなきゃ、琥珀が許さないわよ。』

 綺麗な翡翠の瞳のノエルを見ていた翡翠は、ニコニコと微笑んでいた。

(綺麗な目。)
(………か、可愛い。)

 ノエルがそう思った時、父親達が紫達の所へ来た瞬間、ノエルは行動を起こす。
 ノエルは翡翠の頭を鷲掴みし、キスをしたのだった。


「………………何、これ。」

 岩から離れた翡翠。
 ノエルが後ろから見守る。
 振り向いた翡翠が言う。

「どうした?」
「…………香港で、お母さんが言ってたのホントだったんだ………。」
「何が?」
「小さい頃ノエルが私にキスしたの……。」
「!!!……………見たのか!」

 急に顔を赤らめるノエル。
 翡翠は肩を震わせて、クスクスと笑い始める。

「ははははははっ!!ノ、ノエル!可愛い!!」
「笑うな!!」
「………言ってくれたら良かったのに……ぷっ!……………ははは!」

 笑いが堪えられない翡翠。
 
「………言える訳がないだろ、俺を忘れてたんだから。」
「…………ごめんね、覚えてなくて。」

 翡翠は、ノエルに近付いて、頬に手を当てる。

「………翡翠が覚えてたら、どんな付き合い方してたのかな?」

 ノエルは翡翠の腰に手を回す。
 その時、翡翠は何やら思いつくのだが、ノエルに悟られないようにする。

「…………私、覚えてたら、付き合ってなかったかも。」
「え!!」
「…………ノエルと再会する迄に付き合ってきた人、自分が好きにならないと始まらない恋だったから、ぐいぐい来られたノエルにはなびかなかったかなぁ……。記憶に残ってたら、アレがトラウマになって好きにならなかったかも。」
「…………じゃ、俺を好きになったのいつ?」
「…………作業室でノエルがうたた寝してた日。寝顔が可愛くて…………はっ!」

 それ迄、翡翠はノエルの事を何とも思ってなかった、という事。
 ノエルは、翡翠への気持ちが盛り上がっていたのだが………。

「…………可愛い?………俺が?」
「………今はかっこいいと思ってるよ?でも好きになった顔は可愛いかったの。」
「ちょっと待て、あの日、て初めてSEXした日………。もし、あの直前に翡翠が自覚しなかったら……。」
「多分、拒んでたかも………………あはっ。」

 嬉しいような悲しいような感覚のノエル。

「でもね、ノエル。好きだ、て気持ちが嬉しかったの。ぐいぐい来られる恋愛がずっと苦手だったのは、ノエルみたいに気持ちが私に伝わって来なかったからなんだな、て。今迄、好きになって告白した恋が多かったけど、それ以上積極的になれなかったから、結果的に振られてお終いだったんだ。………あ、でも、付き合う前に教えられてても、好きになったかどうか……。アレ見ちゃったら毛嫌いしたかも!」
「……………….。」

 ショックを隠せないノエル。
 言い過ぎたかな、と思った翡翠は薄情する。

「………嘘よ。ごめん、意地悪言っちゃった。好きになったのはあの日だけど、どんな形であれ、ノエルの事好きになるのは時間掛からなったと思う。私が覚えてたとしても………。」
「え?」
「ノエルも私を覚えててくれてありがとう、大好きよ、愛してるわノエル。」

 翡翠が背伸びをして、自分からキスをした。
 
「昨日の意地悪のお返し。」

 キスは何度と数えられないぐらいしてきたが、翡翠からしてきた事はほぼ無い。
 呆然とするノエル。

「私、ノエルの外見のその瞳の色も好きだけど、包み込んでくれる包容力も、頭の回転の良さも、私に無い所を持っているノエルを尊敬してるの。どんな出会いだったとしても、恋をしたと思う。……でも、別れが来るのが一番怖かったから、面倒くさい事になった事もあったけど、それを私が諦める事をさせないで支えてくれてた事感謝してます。…………これからは、私がノエルを支えます、こんな私だけど、末永く宜しくお願いします。」

 翡翠なりの愛の告白だった。
 ノエルは、翡翠の前で涙を零す。

「…………あ、あれ。」
「…………はい。」

 ハンカチを渡されたノエル。

「………もう、愛し過ぎて………。翡翠を啼かせるのは俺の特権なのに……。意外な所で男前なんだから、翡翠は………。」
「………お母さんがアレだしね。」
「確かに。………翡翠、抱き締めさせて。」

 ノエルは両手を広げ待ち構える。
 翡翠も応じ、ノエルの胸に委ねた。

「琥珀さん、翡翠を必ず幸せにします。大人になった俺達を見て欲しかった。貴方が望んだ結果じゃなかったかもしれない。貴方の弟がやって来た事は今でも許せないが、翡翠を守ってくれて、俺と再会させてくれてありがとうございます。これからは俺が翡翠を守ってみせます。」
「…………ノエル………ありがとう。」



 おまけ10

 イギリスに2人が住むようになって1年。
 イギリスのNEO EARTHの店舗も起動に乗り、翡翠も毎日忙しくしていた。
 ノエルもイギリスだけでなく、世界中飛び回る日々だった。
 しかし、この日はイギリスに居たノエル。
 
『はぁはぁ……………。つ、着いた。』

 走ったのか息切れをしているノエル。
 息を整え、ノエルはとある建物の前に。
 建物の中に入り、デニスの妻のジェニーに会ったノエル。

『ジェニー、連絡くれてありがとう、翡翠は?』

 ジェニーは、デニスからプロポーズをOKしてから、NEO EARTHのファン熱が冷めやまず、ノエルと、NEO EARTHのオーナーの翡翠が結婚し、イギリスで店舗を出すと聞いた途端、勤めていた会社を辞め、翡翠の仕事を手伝うようになった。今はイギリスの店舗の店長になっている。

『ノエル、今翡翠は分娩室に入ったわ。』
『そうか、後ははいいよ、店で仕事あるだろ?』
『えぇ、仕事は残ってるけど、翡翠が心配だから、後でまた連絡してね、きっとよ。』
『分かったよ。』

 ノエルが病室で待っていると、ステラもやって来た。

『翡翠は?まだ?』
『………連絡来て、俺が着いてから30分ぐらいかな。朝は陣痛来てなかったから、仕事行ったんだけど、そんなに急に来るものなのか?』
『人に寄るわよ。私がノエル妊娠してた時だって、翡翠の悪阻と違いもあったんだから。……日本に連絡した?』
『あ、まだだった。』
『…………抜けてるわね、忘れちゃ駄目じゃない、紫だって楽しみにしてるのよ?』
『予定日は伝えてあるし、こっちに来る予定は経ててる、て言ってたけど、急には変えて来れないよな、きっと。』

 スマートフォンの電話帳を出したが、時差があるので、メールを入れるノエル。

『………そうね………。まぁ、とりあえず入院に、必要になるものだけは持ってきといたから、待ちましょ。』

 2時間後、紫から連絡が入るノエル。
 
「もしもし、お義母さん?」
【メール見たわ、翡翠産気づいた、て?】
「えぇ、産まれたらまた連絡入れる予定でいましたが、まだ産まれてなくて。」
【ステラが居るし、心配してないけど、チケット取れ次第、イギリスに行くわね。………お父様達もイギリス行く、てウダウダ言ってたから、予定してた日に耀に付き添い頼んでおくわ、皆来ちゃうと騒がしくなっちゃうけど………。ひ孫に会いたくて仕方ないみたい。】
「翡翠も喜ぶと思いますよ。」

 ♫♫♫

 病室の電話が鳴るので、ステラが出た。

『はい。』
【産まれました。分娩室で会われますか?】
「お義母さん、産まれたそうなんで、翡翠に会ってきます。」

 電話先の紫に産まれた事を伝え、それを聞いていたステラは、

『はい、今行きます。』

 代わりに答えた。
 電話を切ったノエルは、勇み足で翡翠に会いに行く。

「………翡翠。」
「…………ノエル……仕事中なのに来てくれたんだ……。」
「当たり前だろ?…………お疲れ様、翡翠。」

 ノエルは翡翠のおでこにキスをする。

『抱っこされます?可愛い女の子ですよ。』
『………はい………こ、怖っ!』

 恐る恐る、新しい命を抱くノエル。
 娘はノエルに似た髪色の金髪の子。
 小さい手を握るノエルは、涙を零す。

『翡翠………ありがとう……。親バカになりそうだ。』

 そのノエルの顔を見た翡翠もまた涙を零す。

『涙脆くなってない?ノエル。』
『…………う、うるさい。』
『ふふふ…………。頑張らないとね、パパ。』

 ノエルは真っ赤になって照れていた。


 ノエル達は娘にアレキサンドラと名付けた。
 アレキサンドライトのような、瞳の色が光によって変わるのが分かり、瞳に因んだ名前にした。

『サンドラには、能力が宿るかな……。』

 ベビーベットに寝ている娘の髪を撫でながら、翡翠は言う。
 ノエルがベットを挟む位置に居て、翡翠に返す。

『宿ったとしても、俺達が守ればいい。踏み間違いのないように、真っ直ぐにこの子が行きたい道に誘導するんだ。翡翠が教えられたようにね。』
『そうね、宿ってなくても同じよね、私達の子だもの。』
『そうさ………後はサンドラに変な虫が付かないようにしなきゃ……。』
『…………私が、ノエルという蜘蛛に引っかかったように、この子が捕まらないように?…………もしかしたら逆かもよ?』

 クスクスと笑いながら、翡翠は蝶と蜘蛛の指輪をノエルに見せた。
 そう、翡翠がデザインした指輪だ。

『………俺が、蝶に魅了されたんだよ…………もう分かってるだろ?』
『うん。…………照れた顔、可愛い、ノエル。』
『…………。』

 惚れた弱み、ですね。


 





 


しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(3件)

2021.08.19 ユーザー名の登録がありません

退会済ユーザのコメントです

Lynx🐈‍⬛
2021.08.19 Lynx🐈‍⬛

応援、ありがとうございます(^^)

解除
スパークノークス
ネタバレ含む
Lynx🐈‍⬛
2021.08.16 Lynx🐈‍⬛

ありがとうございます(*ᴗˬᴗ)⁾⁾💕ペコリン

解除
花雨
2021.08.11 花雨

お気に入り登録しときますね(^^)

Lynx🐈‍⬛
2021.08.11 Lynx🐈‍⬛

ありがとうございます(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾

解除

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

【R18】散らされて

月島れいわ
恋愛
風邪を引いて寝ていた夜。 いきなり黒い袋を頭に被せられ四肢を拘束された。 抵抗する間もなく躰を開かされた鞠花。 絶望の果てに待っていたのは更なる絶望だった……

先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…

ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。 しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。 気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…

下品な男に下品に調教される清楚だった図書委員の話

神谷 愛
恋愛
クラスで目立つこともない彼女。半ば押し付けれられる形でなった図書委員の仕事のなかで出会った体育教師に堕とされる話。 つまらない学校、つまらない日常の中の唯一のスパイスである体育教師に身も心も墜ちていくハートフルストーリー。ある時は図書室で、ある時は職員室で、様々な場所で繰り広げられる終わりのない蜜月の軌跡。 歪んだ愛と実らぬ恋の衝突 ノクターンノベルズにもある ☆とブックマークをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。