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注意予報
しおりを挟む撮影日-スタジオ
メイクが必要なノエルとデニス。
されるがままに、大人しく言う事を聞いている。
『………モデルやるなんて……。』
『まだ言ってる……。諦めろ。』
『お前はいいよ、自らやる、て言ったんだから、俺は考える余地なかったじゃないか!ジェニーに知られる前にプロポーズしなきゃ!』
『あ、動かないで!デニスさん!』
メイクに注意されるデニス。
メイク中の2人に気を取られはするものの、最終確認に余念がない翡翠。
「女性モデルさんも、外人さんなんですね、背が高いなぁ、かっこいい。」
「ノエルさんとデニスさんも背が高いですしね。しかも、あの鍛えられた肉体も嫌味ですよ。」
酒井が悔しそうに呟く。
(そりゃ、本業が本業だけに……。)
「それにしても、翡翠さんが作るジュエリーは惚れ惚れしますね。俺男だし、そんなに身に付ける事はないけど、ノエルさん用のは付けてみたいな、て思いましたもん。デニスさんのもかっこいいけど。」
「ありがとうございます。」
「撮影OKです。」
「楽しみですね、社長!」
「えぇ。」
撮影が始まり、モデル同士で話をしている。
時折、女性モデルの方から、ノエルとデニスに誘いを掛けているような会話。
デニスともう1人の女性モデルの撮影中、撮影してない隙を狙って誘われているのだ。
(な、何あれ!)
ノエルものらりくらりと交わしてはいるが、満更でもなさそう。
男同士の撮影中も、女性モデル達の視線はノエル達。
「…………目つけられちゃいましたね、ノエルさん。」
小林の余計な一言。
「……キスマーク付けときゃ良かった。」
「………………社長、それ面白いですね。」
(本心で言ったのかな?)
お互いに思った言葉だった。
幾つかいい出来映えのを見せてもらった、翡翠。
デニスは冷静で見れるが、ノエルはそうではない。
ノエルが2人の女性モデルに挟まれ、ノエルが首から掛けているネックレスを2人の女性モデルが触れている。
ノエルとデニスは上半身裸な為、ネックレスではなく、身体に触られてるようにも見える。
「…………。」
他にも、かなりベタベタと触られてる写真が何十枚、何百枚……。
「…………。」
苛々する事この上ない。
「どうです?翡翠さん。」
「………いいと思います。」
(触らないで欲しい……。)
「[NEO EARTH2]はどちらの女性モデルに掛けてもらいます?」
「あ、それは両方の方に。違う雰囲気でのもあってもいいかな、と。………!!!」
ノエルと目線が合う。
何か企んでそうな笑顔。
そして、何やらジェスチャーをする。
(私?口?私?ノエル?胸?…………ハートマーク?何あれ?)
「あれ、キスマーク付ける?て言ってません?」
「え!!」
「だって、社長の口でノエルさんの胸、て事じゃ?」
「え~!!」
ノエルのジェスチャーを見ていたデニスは、
『お前、そんなに妬かせたいの?』
『妬かせたいね、あいつ鈍いから。』
『何何?何の話?』
『あぁ、こいつの彼女があそこに居るんだけど、妬かせたいらしいんだ。』
デニスが面白がって、女性モデルに暴露する。
『NEO EARTHの社長でしょ?彼女。』
『そう。そして、このジュエリーのデザイナーでもある。』
『面白そうね、やりましょ。』
休憩を挟み撮影再開すると、モデル達の雰囲気が変わる。
ノエルを奪い合うような色気を出してきたのだ。
「………きゃあ、何あれ色っぽい!」
小林や撮影現場の女性陣は色めき立つ。
ムカムカムカムカムカムカ……………。
翡翠の苛々は頂点に。
それでも、必死に冷静を保つ。
『もう少し、ジュエリーを強調させてもらえますか?』
翡翠はノエルと女性モデル達に言う。
(……面白くない!)
『ねぇ、ネックレス、少し引っ張ってくれない?』
撮影陣達に聞こえない程の声で、ノエルが女性モデルに言う。
キスするかしないか、のギリギリの距離。
切れない程度に近くにノエルから寄ったのだ。
『壊さないで下さいね、まだ一点しか作ってないんですから。』
翡翠から冷たい空気が流れているが、女性モデル達に分かる訳もなく…。
『何?彼女、本当に貴方の事好きなの?』
『仕事に嫉妬するよ……。』
翡翠は、全く面白くない。
ずっとポーカーフェイスを保つのに必死だったのだ。
爆発寸前で、キスしようものなら、撮影をぶち壊すだろう。
まんまとノエルの策略にハマったのだが、ノエルもまだ気が付かない程、平静を装っていたのだ。
さぁ、注意報から警報、警報から災害になるのも間近。
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