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 リアナはグリードにベッドに連れて行かれ、互いを見つめ合う。
 重なる唇はお互いに求め合いたいが為温かく、同じ香りがした。

「リリ………其方の唇は夢より柔らかいね」
「っ!…………グリードは思ってたより逞しい……」
「触れていい………ほら……好きに触れ」
「……………グリード……」

 グリードに手を取られ、白衣の間から胸板を触らせられるリアナ。

「見る?」
「こ、この明かり如何にかならない?」
「ならない………というか、明かりを落としたくない」
「出来るの?」
「勿論…………でもしない」
「っ!」

 明るいと、見られてしまうではないか、と赤面するリアナに、グリードは顔を寄せる。

「見られ慣れないとね………リリ」

 そっと、腹を差すグリードに、リアナは俯いた。
 キュン、と締まる下腹部に、夢で散々抱かれた快感を、思い出される。
 村での事で忘れられていたが、意識を其処に持って行くと疼くのだ。

「な、何で剃らなきゃならないの?」
「王や、王太子の伴侶の義務というか………魔術刻印が此処に入るんだよ」
「刻印?」
「そう、伴侶という証だ………封印の解呪は私の精液を流し込む事。そして解呪が完了したら、子宮の辺りに竜の刻印が入る。竜は伴侶を生涯愛し守るんだ。例え傍を離れていてもね」
「…………今日みたいに?」
「あぁ…………だから、その刻印を周知するから、剃ったんだ………正式な場でも見せるからね」
「……………え!」
「はははっ………露出すると言っても、刻印部分だけだし、全裸で居ろとは言わないよ………まぁ、3日後の着衣を見たら分かるさ」

 刻印の形がリアナには分からないので、何処まで露出する服を着なければならないかは分からないが、それはそれで恥ずかしくないのだろうか。

「封印前のリリは、私の母の刻印を見ているよ………だから抵抗は無いと思うけどね」
「……………み、見てたんだ……そっか……それも記憶が戻れば………」
「そう…………だから今夜、最初で最後の刻印の無いリリを現実で抱ける、大切な日なんだ………そして、この儀式が初夜となる」
「……………結婚式はしないんだね」
「結婚式は、後日ね………国内に、王太子が結婚した、と知らせなきゃならないだろ?」
「なる程…………もう分からない事ばっかり………」
「忘れてるだけだよ………10年前のリリはしっかり納得して、私の番いになる道を選んだんだ………自信を持てばいい」

 不安だから、アレコレ考えるのだろう。
 そう納得したら、リアナは覚悟を決めた。

「…………グリード!」
「っ!…………と……いきなり積極的になったな……リリ………私を押し倒すなんて」
「だって………夢の中でいつも翻弄されるから………さ、先にグリードを疲れさせちゃえ、って思って………男でも女にしてもらうのを好きな人居るでしょ?」
「……………そんな事、何処で知った?」
「え?…………村の酒場で男達が話してるのを聞いた………あ、あの………口に入れるんだよね?………私にしてたみたいに、吸ったり?」
「……………ふ~ん……そう……じゃあリリに任せてみようかな………宜しく」

 グリードを下にして、覆い被さったリアナ。
 グリードが喜ぶと思っていたが、どうやらそんな雰囲気では無かった。
 眉を釣り上げ、ヒクヒクとしたグリードの表情は、リアナは見た事はない。

「え…………怒ってる?」
「いや?怒ってはいないよ………さぁ、好きな様に、俺を気持ち良くさせてくれ」
「っ!」

 自分の白衣の腰紐をグリードは解き、厚い胸板を曝け出すと、筋肉室の逞しい上半身が眩しかった。

「グリード…………色気が凄い……」

 美しい銀髪を額に掛かって邪魔になったのか、グリードは上目遣いで髪を掻き上げ、頭の下に枕代わりに腕を回す。

「私からしたら、リリの色気に勝てる気がしないが?…………リリ……舐め回さないのか?キスもしてくれ…………何なら痕も付け捲くっていい。私もリリに沢山付けたいからな」
「っ!…………ご、ごめんなさい!」
「リリ?」
「ど、如何していいか分かんない!聞いただけだもん!見た事も無いし!」
「……………プッ……」
「わ、笑わないでよ!」
「揶揄い過ぎたか?………私がリリにしてきた様にすればいい………性感帯は男女大差は無いから…………私だって胸や首筋に愛撫されると気持ちが良いぞ?リリは私に翻弄されながら、しがみつくだろう?」

 まぐわっている時、真っ白になり考えられなくなるから、グリードに触れているのかも考えてしていないのだ。
 しがみつく事も無意識なので、それでも気持ちが良いなら、リアナは好きな場所を触れれば良いという事だ。

「…………わ、分かった……やってみる」

 リアナはグリードにキスを落とそうとしたが、グリードは目が開いたままだ。

「……………待ってるんだが?」
「目が開いてるから………」
「気にしなくていい……キスする顔も見たいんだ」
「っ!…………あんまりドキドキさせないで………」

 グリードがして欲しい事はしたかったから、目を瞑ってくれなくても、リアナは唇を重ね、舌を絡めていく。
 リアナの髪がグリードに掛かるのを避けたくて、何度も自分の耳に掛け直すリアナだが、グリードがリアナの髪を背中に束ねた。
 紙縒りを作る様に、指に掬い絡めて遊ぶグリードに、リアナは気になって仕方ないが、たまに背中に触れるグリードの手にリアナは甘い息を吐いた。
 口の中も気持ちが良く、白衣を着る背中側のグリードの気配も気持ちが良い。
 そう思っていると、グリードはリアナの白衣を捲り上げ、尻を擦り始めた。

「んっ………」
「キスは口だけか?リリ………もっと他の場所にもキスや手で触れてくれ」
「ゔっ…………う、うん……」

 ぎこちない手付きで胸に顔を埋めると、グリードの唸った声を耳にした。

「リリ………キスも上手いから………気持ち良いよ………」

 リアナは、グリードの胸も吸えば固くなる事を知る。
 すると、リアナの尻に当たるグリードの杭がムクムクと蠢くのに気が付いた。

「っ!…………此処も……キス……する?」
「ゔっ………い、いきなり握るなっ!………見えなかったから気が緩んでたのに……」
「……………グリードもそんなに顔が歪むのね……知らなかった………」
「そうだよ…………番いのリリにしか見せない……」
「……………もっと見たいから見せてね」
「リリ!ちょっと待った!」

 リアナはグリードの足元に入ろうとしたが、グリードに阻まれた。

「何?…………キスしなくて良いの?」
「違う…………リリのも舐めてやるから、こっちに尻向けて」
「っ!」

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