魔力を封印された女の解呪はまぐわいでした※独身編※【一旦完結】

Lynx🐈‍⬛

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 グリードに如何やって現実世界で会えるのか聞けない日々がリアナに続いて、1ヶ月程経ってしまった。
 聞こうとすると、はぐらかされる様な気がしている。
 話をすり替えたり、絶頂に導かれたり、とリアナから質問されるのを拒み、しいては自分で考えろ、と返ってくる。
 そんなリアナは、この日も乗り合い馬車を使い、隣街にリサと向かった。
 診療所に納品の後、リサと買い物を予定していたからだ。

「なんか………リアナ……急に色気放つ様になったよね」
「…………え?」
「色気がダダ漏れっていうか」
「そ、そんな事如何やってやるのよ」

 自分では気が付かない変化が、リアナにある。
 変わった事と言えば、グリードとの関係だけだが、それ以外は身体の疼きぐらいの変化だけだ。

「ん~………好きな人、出来た?」
「っ!」

 乗り合い馬車に乗る若い男も居たが、いつしか彼等からの求婚も無くなり、一線を引く様に距離を置かれる様になったのは、リアナには有り難い事だった。
 その彼等が、リサの言葉でリアナに注目し、聞く耳を立てている。

「な、何でそんな事聞くの?」
「だってさ………でも、相手誰だろう、て思っても思い付かないから、直接聞いた方が良いかな、て………村の男ではないのは分かるよ………で?何処の誰?」

 何処の誰、と聞かれても、リアナが分からないのだから答えようが無い。
 リアナが思うに、魔力を膨大に所有する何処かの貴族で、王都辺りに住む男だろう、というだけだ。

「い、居な………っ!」
「リアナ?」

 居ない、と嘘を吐けない。
 嘘で居ないと言えば、グリードが居ないものだと、自分で否定する。
 夢で起きている事は、リアナには実感し、幸せの時間だ。
 それを全否定する様な気がして、口を閉ざした。

「た…………多分だけど……王都に住む人……」
「王都!………え!王都に住む人が、何でこんな田舎の村に来るのよ!村から王都迄、馬車で向かっても10日は掛かるんだよ?魔法使って来たとしても、転移魔法なんて高度な魔法………リアナだって持ってないでしょ?あ、相手が使って来るの?」
「……………わ、分からない……一瞬過ぎて、魔力の形跡も残ってなかったから……」
「騙されてんじゃないでしょうね、リアナ」

 リサとは付き合いの長いリアナだ。
 リサがリアナを心配するのも理解出来る。

「騙されては無いと思う………毎夜、会いに来てくれるから………」
「ま………毎夜………って……リアナ………はぁ………だから、そので色気ダダ漏れな訳ね………」
「え!」

 それと、色気がどう繫がるのかリアナには理解不能だ。
 身体の疼きはあるものの、それが色気に結び付くとは思えない。

「…………抱かれてんでしょ?毎日」
「っ!」
「あぁあ………皆、諦め付くんじゃない?リアナの事」
「え?」
「ほら、あいつ等の顔見てみなよ、リアナ」
「…………」

 リサが指差す方には、村の男達が焦る様にアタフタしている。

「幾ら口説いても、リアナを抱く事は疎か、手も触れられなかった男達だよ?それが、リアナを抱ける男が現れたんじゃ、勝ち目無いよね」
「リ、リサ!声が大きいってば!」

 卑猥な言葉を口にするリサを何とか止めようとはしたが、リサは続けた。

「ロブが良い証明よ………リアナの家の防御魔法を破れない事で、ロブは負けを認めたんだから」
「え?…………ロブ?」
「ロブは言ってたわ………リアナの家の防御魔法……あれは、リアナの魔力じゃないのも知ってたのよ、ロブは………膨大な魔力らしくて、ロブはその男に守られてるリアナを取られた、て思ったって」
「…………」
「あんな狼藉者のロブだって、あの魔力は村にも隣街にも居ない強さなのに、あの人が負けを認める、て相当よ?」
「そ、そんな話をリサはロブとしたの?」
「……………最近……ね………えへへ………ちょっとだけ、ロブは私を見てくれる様になった、っていうか………」

 リサは、自分の首筋に手を添えて、顔を赤らめていた。
 リアナはその手が気になり見てみると、赤く腫れた内出血がある。

「…………リサ………それ……」
「えへへ………その話、リアナに早く聞いて貰いたかったんだ………付き合う事になったの………ロブと」
「リサ!…………良かったね!片想いが実って!」

 友人の恋路が実る事が嬉しく思うとも思わなかったリアナだが、リサが長くロブを好きだったのを知っていたので、リアナは自分の事の様に喜んだ。

「だから………ロブも心配しているリアナの事を今日は聞くから覚悟してよ?」
「っ!…………わ、私の事は今言ったじゃない!」
「足りないから!」
「足りて!」
「満足してない!」
「リサ~!」

 それから、リアナは気にする男達の前で、根掘り葉掘り聞いてくるリサに小声で分かる範囲のみ、隠しておきたい事は言わない様に、荷馬車の座席でコソコソと話す羽目になったのだった。
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