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エピローグ

エピローグ①

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 ローウェンがアルジャーノン国の王になりグレイシャーランドに戻って来た。
 まだ、悪阻が治まらないミレーユが迎えるより、先にローウェンと公爵になったヴァルムが着いてしまった様だ。

「足元気を付けなさい、リタ」
「はい」

 母エリザのエスコートで、ゆっくり歩く。

「部屋で待っていても良かったのではなくて?」
「お出迎えしたかったんです」

 漸く、王城前に着くと、馬車からローウェン達が降りたところだった。

「あなた」
「エリザ、ミルド、ミューゼ………迎えに来た」
「お父様、アルジャーノンに帰れるの?」
「ミューゼ、そうだよ」
「僕、姉上の赤ちゃん見たかったな」
「お父様、おじいちゃんになるんだよ!」

 ミルドとミューゼが嬉しそうに言うと、ヴァルム公爵が驚く。

「リタ!本当か!」
「お父様…………はい……ちょっと悪阻が重いようで、お母様から助言頂きながらなんとか…………」
「そうか………おめでとう……リタ」

 知らない間に、ミレーユも変わっていたのだ。

「あ、お父様泣いてる!」
「な、泣いてはいない!」
「泣いてたわね、お父様」
「うん!」

 翌日にローウェンとヴァルム公爵の家族達はアルジャーノンに帰って行った。

「寂しくなるな………」
「………えぇ……産まれたら、アルジャーノンのヴァルム公爵領に行かせてね?」
「勿論だ、ローウェンとナーシャの結婚式もあるからな……ローウェンには伝えてあるぞ、子が産まれてから式を挙げろ、とな」
「そんな無茶苦茶な……」
「ローウェンもナーシャも、子の顔を見たいのさ」

 その10ヶ月後、ミレーユは女児を出産する。その頃には、アルジャーノンも大分落ち着き、ローウェンとナーシャの結婚式の日程もグレイシャーランドに知らされた。
 アスランに抱かれた王女はイレーネと名付けられ、アスランはすっかり親馬鹿になっている。

「………あぁ、仕事しなきゃ……」
「陛下、そろそろ仕事して下さい」
「執務室に連れてってもいいか?」
「仕事しなくなりそうだから駄目です」

 アスランはミレーユに断られ、イレーネをミレーユに抱き渡すと、渋々執務室へと行った。

「子煩悩ですね、陛下は」
「本当ね………」

 ミレーユが妊娠中から、その気配はあったアスラン。しかも女の子だったから尚更かもしれない。世継ぎとしては王子が欲しかっただろうが、国中が歓喜に湧き、ミレーユの友人達もそれぞれ伴侶に恵まれ、連絡も取れる様になった。

「本日はご友人と会われるのですよね?」
「えぇ、アルジャーノンの事も知らせないとね………話せなかった彼女達の家族の事も話さなければ」
「王城の応接室の準備を整わせておりますので」
「ありがとう……私も出迎えに出なきゃね、そろそろ来る頃だし」

 数人の友人達が、初めて王城に通される。ミレーユは質素なドレスで砦で別れてしまった友人達を迎え入れた。

「マーニャ!ドーラ!マリエラ!」
「ミレーユ!………本当に王妃になったのね!」

 ミレーユは8年もの歳月を共に過ごした友人達とハグで迎え入れた。

「王妃になったからと言って、私は私よ………砦で皆と離れ離れになってから、如何してるか心配だったの………アルジャーノンの事も知らせなきゃならなかったし」
「皆、元気かしら………」
「…………それは、今から話すわ……」

 応接室にミレーユは招き入れて、アルジャーノンの事を友人達に話す。皆泣き崩れて意気消沈してしまった。

「来週なんだけど、私と国王陛下はアルジャーノンへ新国王即位の祝賀と結婚式に招待されているの………数日だけど、私達が育った村へ立ち寄るわ……ご主人達の了承があれば貴女達も同行しない?」
「い、行けるの?」
「帰れるの?」
「戻っても両親や妹達居ないと……」

 住み慣れた村がもう無い、家族も殺された可能性もあると聞かされたマーニャ達は、帰っても如何していいかも分からない様子。

「今の領主は私の父よ………埋葬し、共同墓地ではあるけれど、慰霊碑も建てたそうなの……今は村ではなく、大きな街に変わっていってるわ………共同墓地には村人全員の名を刻み、家族を待ってもらってる……前国王ライオネルの行なった事は許せないから、と……あの領地出身者の女性達の帰郷は、アスラン陛下から許可は取れてるの……あとは貴方達が行く気があるかどうか………ご主人がグレイシャーランドに居るのだから、戻って欲しい、という前提ね」
「…………ミレーユ…ありがとう……私……アルジャーノンにお父さんとお母さんを確認してくる!旦那に行かせてもらう様に話てみるわ!」
「マーニャ…………うん、話してみて……ドーラやマリエラは?」
「私も戻って確かめたいわ」
「うん、私も!」

 募る話はまだまだあったが、面会時間もあまり取れず、1時間程で解散したミレーユ達。しかし、直ぐにマーニャ達から手紙が届けられた。3人共に『同行する』と。それからは手紙のやり取りでしか出来ず、出発する日にマーニャ達に王城へ来てもらい、『侍女』として同行を許されアルジャーノンへと旅立った。

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