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月明かりの池で

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 周辺を確認しながら、来た池に迄来た、ジュディスとシヴァ。

「………また来るよ。」
「うん。ここまで付き添ってくれてありがとう。…………コレ首から掛けておいて。」

 ジュディスはシヴァに鍵のペンダントを首に掛けた。
 初めて触れ合うぐらいに接近する。
 シヴァは胸の鼓動が早まる。
 触れたい、という衝動に駆られてしまう。
 でも、ここで誰かに見られる訳にはいかなかった。
 何とか理性を保つシヴァ。
 しかし、やはり少しは触れたい……と、ジュディスの髪の毛先を自分の指に絡めた。
 そして、その毛先にキスを落とす。
 ジュディスも驚く程自然に触れて来たシヴァから目が離せない。

「ジュリアナ………俺との結婚を前向きに考えて欲しい。…………君が………好きだ。」
「……………シヴァ………。」
「返事は急がないよ。もし、俺との未来を考えてくれたら、この髪だけでなく、君に触れる許可も欲しいんだ。」
「………………分かりました……考えます。」
「………じゃ、また。」
「うん。」

 ジュディスの心もほぼ決まっていた。
 今迄出会った男性とはシヴァは違う気持ちにさせてくれたのは気が付いていた。
 次会いに来た時に、気持ちを伝えよう、とジュディスも思ったのだった。
 その光景を見ていたアレクセイ王子。

(…………大人になったな、シヴァ。………それにしても……目の当たりすると複雑だな、どちらも取られた気分だ……。)

 2人の兄なのに、2人は兄妹でもなく、アレクセイ王子は2人を弟と妹の認識をしているので、どちらに対しても取られたように思える。
 心の整理は付けていたと思っていたのに、複雑のアレクセイ王子だった。


 池を通り、再び門にやって来たシヴァは、自分の胸の鼓動を抑える事が出来なかった。
 もし、あの告白の後、ジュディスから同じような告白をされたら、あのまま抱き締めたかもしれない。
 早く、ジュディスの温もりを感じたかった。
 そんな事を思い出すと余計に身体が疼く。

「………次……我慢出来るかな、俺………。」

 娼館にでも行って、捌け口に……と迄考えてしまいそうになるシヴァだった。
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