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散歩
しおりを挟む会社へ出勤前に、毎朝犬の散歩を日課にしている女が居た。
「あ、おはようございます」
「おはようございます、今日も良い天気になりましたね」
近所のカフェ店員から声を掛けられた女は、飼い犬の散歩で出逢うその店員に密かに恋心を抱いていた。
会えば挨拶をし、カフェ店員の男は、犬を撫でて一言二言、女と話す。
「毎朝、散歩ご苦労様です」
「また今日も出勤前に寄らせてもらいますね」
「いつものご用意しておきます」
当たり障りない言葉を交わしてはいるが、実は交際している2人。
「夜、いつもの場所で……」
「………お待ちしてます」
合言葉の様に言葉を交わし、その場は別れて、その夜に女は帰路を、カフェのある通りを歩いて、カフェを覗く。
―――居ない……かな?
そして、待ち合わせの場所へと向かうのだ。
「………っ!」
「………はぁ………はぁ………」
「あ………っん!」
待ち合わせ場所はカフェ近くの公園。その目と鼻の先で突如、女は腕を捕まえられ、公園の茂みに連れ込まれた。
「あ……っ………んんっ!」
唇を連れ込まれた者に奪われ、胸を弄られた女。割り入れられた舌は熱く、情熱的なキスだ。
「乳首固くして、期待してんだ………」
「………っ!」
抵抗も出来ない様に、手首は女の頭の上に上げられ、捕まえている者はポケットから紐を取り出し女の手首に括ると、茂みの中に生えている木の枝に引っ掛けてしまう。
助けを呼ばない女は、恐怖心で声が出ないのかもしれない。だが、その女の目の奥底には何やら期待に満ちた目をしていた。
「…………もう、濡れてるな……」
「………」
声を荒らげる訳でも、悲鳴を挙げる訳でもなく、女は目の前の男を見上げた。
女の足の間には、今から女を犯そうとしている男が自身の足を挟み入れていて、膝を女の足の付け根に押し当てていた。グリグリと押し当て、女の下着からはジワジワと染み溢れる蜜が、男のズボンの布越しから伝わっている様だ。
お互いをジッと見つめ、暫し静寂が流れると、男は女のスカートの裾から手を割り入れ、下着に手を掛けた。
「っ!………んんっ、ん………あ……」
小さく漏れる女の声が、秋の虫の静かに鳴く声と共に奏でられる。それ等と同じく、男が鳴らす女の蜜音が、メロディとも言い難い不協和音で邪魔をした。
「ココも犯して下さいって?」
「…………そ……な………事………言っ………てな……」
「言葉とココは反対だよな………え?」
男は趣に、空いた手で自身の肉を出し、女の下の口に当てる。避妊等お構い無しだ。
「んんんっ!」
「……………受け入れたな……楽しもうじゃないか」
何度も打ち付けられたその肉は、女の中に放出する迄続けられた。
「…………はぁ……はぁ………ちゃんとピル飲んでるんだよね?」
「うん……こういう時の為にね」
「それなら良いけどさ………本当、1つ間違えれば俺、捕まっちゃうからさ」
「でも、楽しんでるじゃない」
「…………まぁ、ね………で?続きはマンションで?」
「貴方が良ければ?」
「当然。まだ足りないよ」
この2人の趣味の情事だったのは、この2人だけの秘密だった。
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